京都ツウのススメ
第百六十二回 京都のフォークソング
60's&70'sの京都フォーク生活を歌い、メッセージを伝えていた京都のフォーク全盛期について、らくたびの谷口真由美さんが紹介します。
基礎知識
其の一、
- フォークソングは日本のミュージックシーンの礎と言えます
其の二、
- 京都から、プロ・アマチュア含め多くのフォークソングが発信されました
其の三、
- 国の名勝指定・円山(まるやま)公園音楽堂は、京都におけるフォークの聖地です
日本のフォークソング
1950年代後半にアメリカでブームとなったフォークソング。60年代に東京の大学生たちがコピーを始め、マイク真木や森山良子らに代表される「カレッジフォーク」が生まれます。60年代後半には京都・大阪を中心とする「関西フォーク」が登場し、自分たちの言葉でメッセージを伝える日本のフォークが全国に広まりました。70年代に吉田拓郎・かぐや姫・井上陽水らの活躍でフォークソングの黄金期を迎えると、その後はニューミュージック、Jポップ、ジャパニーズロックなどへと発展しました。
熱狂的な京都のフォークソングシーン
京都でも、数々の熱いフォークソングが生まれました。高石友也、高田渡、岡林信康など、フォーク界の中心的ミュージシャンが京都に集まっただけでなく、ザ・フォーク・クルセダーズやジローズ(杉田二郎)など学生によるグループも京都から誕生。東山の円山公園音楽堂などで頻繁にコンサートが開かれました。京都中にフォーク熱があふれ、独自のフォークソング文化を生み出しました。その熱は、様々なジャンルの現代の「京都発」ミュージシャンに引き継がれていると言えます。
1960年代後半は世界中で反体制運動などが起きた時代。世界の変化は日本にも影響を与え、多くの若者が自由に自分たちの言葉でフォークソングを作り始めます。特に「学生の町」京都ではフォークグループが数多く誕生。さらにライブハウスなど多くの演奏場所があり、彼らの活動を後押ししました。
京都からフォークを発信した1960〜70年代のフォークシンガーは、人生を大事にする生き方に魅力がありました。
高石友也(たかいし ともや)※現・高石ともや
代表曲「受験生ブルース」など
関西フォークの礎を築いたとされ、1960年代にはメッセージフォークを、70年代からはバンジョーやマンドリンも使い新たな日本のフォークソングを作り上げています。
岡林信康(おかばやし のぶやす)
代表曲「くそくらえ節」「山谷ブルース」など
同志社大学在学中に東京で日雇い労働者生活を体験。その頃に見た高石友也フォークコンサートに感銘を受け、作詞作曲を独学で開始。1969〜71年頃には「フォークの神様」と呼ばれる存在に。
高田渡(たかだ わたる)
代表曲「コーヒーブルース」「自衛隊に入ろう」など
働く者の日常について社会風刺を込め、淡々と歌う独特のスタイルが共感を呼びました。京都在住は3年ほどですが、1960年代後半〜70年代の関西フォークムーブメントの中心的存在でした。
「コーヒーブルース」のヒットにより、歌詞に登場する三条通の老舗喫茶店「イノダコーヒ」の名前が全国に知れ渡るようになったと言われます
バンバン
代表曲「『いちご白書』をもう一度」など
立命館大学出身のばんばひろふみ、今井ひろしらにより結成。1975(昭和50)年のシングル「『いちご白書』をもう一度」(作詞作曲・荒井由実)がミリオンセラーに。
アマチュアを含めたフォークシンガーを積極的に紹介したラジオ局の近畿放送(現・KBS京都)や、日本初のインディーズレーベル・URCレコード、関西の音楽制作レーベル・京都レコードの存在が、京都をはじめ関西のフォークシーンを支えました。また、社会的メッセージを伝えようとする若い学生たちなどのアマチュアフォークグループをバックアップしたコンサート団体「AFL」や「カレッジアン・クラブ」が京都にはありました。
1927(昭和2)年にオープンした円山公園の南側にある、自然に囲まれた野外施設。関西フォークキャンプや宵々山コンサートなど、多くのフォークコンサートが行われたことから、フォークの聖地と呼ばれる場所。現在もフォークやポップス、クラシックなどのコンサート、パフォーマンスや伝統芸能、マルシェなどが行われています。
1967〜69年に、京都や大阪で開催されたフォークソング・ポップスの集会とコンサート。日本の野外音楽イベントの先駆けのひとつでした。
1973〜2011年(中断期間あり)の祇園祭の時期に、合計30回開催された屋外音楽イベント。高石友也、永六輔らによる企画で、毎回多彩なゲストが出演していました。
円山公園音楽堂は94年の歴史があり、国内で当時の面影を残す数少ない野外音楽堂のひとつ。アコースティックが良く似合う音楽堂です
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