京都ツウのススメ

第二十六回 夏越祓(なごしのはらえ)

[半年の厄を払う 茅の輪くぐりと水無月]1年の折り返しにあたる6月30日。京都の多くの神社で行われる夏越祓とこの日に欠かせない水無月についてらくたびの若村亮さんがご紹介します。

夏越祓の基礎知識

其の一、
毎年6月30日を中心に、神社で行われる厄払いの行事です
其の二、
茅の輪をくぐって半年の厄を払い、残りの半年の無病息災を願います
其の三、
京都ではこの行事に合わせ、「水無月」という和菓子を食べる風習があります

6月末日の宮中の伝統行事

6月と12月の末日に行われる大祓(おおはらえ)は、半年の厄を払い、次の半年を無病息災で過ごせるように祈願する日本古来の厄払いの行事です。6月の大祓は夏越祓と呼ばれ、この頃になると京都の多くの神社では境内に大きな茅の輪が設けられ、茅の輪くぐりが行われます。これは、日本神話に登場する説話で、旅の途中のスサノオノミコトを貧しい家ながら迎え入れた蘇民将来(そみんしょうらい)が、スサノオの教えに従って茅の輪を腰に付けたところ、疫病から逃れられ、子々孫々まで繁栄したという故事に基づく風習です。

京の夏越祓に欠かせない和菓子

京都ではこの日、厄除けのまじないに「水無月」という和菓子を食べる風習があります。かつて宮中では旧暦6月1日に「氷の節句」が行われ、氷を保存する氷室(ひむろ)から取り寄せた氷を口にして夏を健康に過ごせるよう祈りました。しかし、庶民にとっては氷は大変貴重だったことから、氷をかたどった三角形の生地に厄除けの小豆を散らした水無月が作られるようになり、現在では夏越祓の日の和菓子として親しまれています。

厄払いと無病息災の願いを込めて 夏越祓の参拝方法と水無月についてご紹介します。

左→右→左と3度くぐるのが基本

神社によって茅の輪のくぐり方は様々ですが、独特の神歌(かみうた)を唱えながら、左回り・右回り・左回りと8の字を描くように3度くぐるのが一般的な作法です。

くぐり方
神歌1番を唱えながら左足からまたいで輪をくぐり、左に回って元の位置に戻る。
神歌2番を唱えながら右足からまたいで輪をくぐり、右に回って元の位置に戻る。
神歌3番を唱えながら左足からまたいで輪をくぐり、左に回って元の位置に戻る。
左足からまたいで輪をくぐり、本殿の前まで進んで参拝する。
茅の輪くぐりの神歌
ココがツウ

茅の輪は茅葺(かやぶき)屋根などに使われる茅(チ・チガヤ)という植物で作られ、魔除けや災難除けの力があると考えられてきました

夏越祓の神事では、紙の人形に名前や年齢を書き、身体をなでて息を3回吹きかけて、罪やけがれを託します。作法にのっとり3度茅の輪をくぐった後、人形を奉納したり川に流すなどしてけがれを払います。

ココがツウ

蘇民将来をまつる八坂神社境内の疫神社では、祇園祭の最終日の7月31日に夏越祓が行われ、人形を奉納した後に「蘇民将来子孫也」と書かれた茅之輪護符が授与されます

6月末日の和菓子 水無月
沿線の夏越祓ガイド

期間中、茅の輪くぐりと人形流しが行われ、境内で授与される人形を禊(みそぎ)の小川に流して半年間の罪やけがれを払います。また7月1日(木)からは車の茅の輪くぐりが行われます。

[茅の輪くぐり] 6/25(金)~30(水)9時~16時
[車の茅の輪くぐり] 7/1(木)~7(水)9時~16時
[神事] 6/30(水)15時

  • 075-623-0846
  • www.jonangu.com
  • 中書島駅から市バス 19系統 城南宮下車すぐ、
    または市バス 南3系統 京阪バス 6系統
    京阪シティバス24(A)系統 城南宮東口下車
    西へ徒歩約5分

神事の後、宮司以下の神職に続いて参列者も茅の輪をくぐります。

[神事] 6/30(水)15時

  • 075-641-7331
  • inari.jp
  • 伏見稲荷駅下車 東へ徒歩約5分

期間中、茅の輪が設けられ、30日(水)の神事の後、貴船川に人形を流します。

[茅の輪くぐり] 6/25(金)~30(水)6時~20時
[神事] 6/30(水)15時

  • 075-741-2016
  • kibune.jp/jinja
  • 叡電貴船口駅から京都バス 貴船下車すぐ
制作:2010年5月
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