京都ツウのススメ
第百七十三回 京の縁日
都林泉名勝図会「東寺御影供」(部分)
国際日本文化研究センター蔵
神仏との縁から生まれた縁日本尊の誕生日や神様がこの世に現れた日など、神仏に縁がある日が縁日です。そのはじまりや、縁日で行われることを「らくたび」の若村 亮さんがご紹介します。
基礎知識
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其の一、
- 縁日は、社寺の祭神や本尊などに縁のある日のことです
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其の二、
- この日にお参りする事で、より一層ご利益があると言われます
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其の三、
- 弘法(こうぼう)市や天神(てんじん)市など、縁日にあわせて行われている市もあります
神様や仏様への信仰を深める日
縁日とは神仏と縁のある日のことです。社寺にとっては、祭神や本尊の誕生日や命日、神様がこの世に現れた日などを意味する特別な日で、縁日に社寺にお参りすると、普段より大きなご利益が得られると言われます。平安時代後期の説話集『今昔物語集(こんじゃくものがたりしゅう)』には、毎月24日の地蔵の縁日に必ず地蔵菩薩を念じてきた男の話などがあり、縁日が信仰を深める日ということが古くから定着していたと考えられます。
京都の社寺にはいろいろな縁日が
京都の人にとって、縁日はとても身近なものです。東寺(南区)の弘法市や北野天満宮(上京区)の天神市は、それぞれ弘法大師空海や菅原道真にゆかりのある縁日にお参りに訪れた人のための茶店などから始まったもの。1月の「初弘法」や12月の「終(しま)い弘法」のように、その年の最初や最後の縁日や市は、京の風物詩として定着しています。京都各地で地蔵菩薩の縁日の24日を中心に行われる8月の地蔵盆も、大切に受け継がれています。
東寺を真言密教の根本道場とした空海の命日(3月21日)から東寺では21日が、北野天満宮は祭神の菅原道真の誕生日(6月25日)、命日(2月25日)から25日が縁日になりました。
伏見稲荷大社の初午大祭など、祭神や本尊にゆかりのある縁日に、十二支の動物名が使われているものがあります。昔は、数字の代わりに十二支で日にちを表していた名残です。
「8日は薬師如来」のように仏様により日にちが決まっている縁日があります。1ヵ月のそれぞれの日に決まった仏様を信仰する、中国の「三十日秘仏」が由来と言われます。
六道珍皇寺(東山区)では1月16日が閻魔(えんま)様の初縁日で、滅罪と除災招福を祈る初えんま詣が2023年は14日から3日間行われます。この期間、閻魔庁の役人と伝わる小野篁(おののたかむら)作の閻魔大王坐像などが公開されます
京都の社寺で行われるいろいろな縁日をご紹介します。
東寺(とうじ)
南区
【弘法市/毎月21日】
空海の月命日である21日には、空海をまつる御影堂で御影供(みえく)の法要が営まれます。700年ほど前、この御影供に訪れる人のために開かれた茶店が弘法市の始まりです。
北野天満宮(きたのてんまんぐう)
上京区
【天神市/毎月25日】
6月25日は祭神・菅原道真の誕生日にあたり「御誕辰(ごたんしん)祭」が、また祥月命日の2月25日にはその遺徳をしのぶ「梅花祭」が営まれます。毎月25日の天神市では、神社境内や周辺にたくさんの店が並びます。
400年ほど前、北野天満宮の縁日で、ある老人の売る餅が評判に。これが現在も天神市で味わえる「長五郎餅」です。また和菓子店の笹屋伊織で弘法市の前後3日間だけ販売される「どら焼」は、江戸時代末期に東寺のお坊さんから「副食となる菓子を」と依頼された5代目当主が考えたものです
伏見稲荷大社(ふしみいなりたいしゃ)
伏見区
【初午大祭(はつうまたいさい)】
稲荷大神が稲荷山の三ヶ峰に初めて鎮座したのが、711(和銅4)年2月の初午の日。これに由来する稲荷大神の縁日が、2月の初午の日に斎行される初午大祭です。
毘沙門堂(びしゃもんどう)
山科区
【初寅会(はつとらえ)】
本尊の毘沙門天のお供が寅であること、また毘沙門天が寅の年・日・刻に現れたとされる縁などから、年の初めの寅の日に 初寅会が営まれ、福笹の授与などがあります。
千本ゑんま堂(せんぼんえんまどう)
〈引接寺(いんじょうじ)〉
上京区
【ゑんま様の日】
本尊の閻魔法王は亡くなった人の送り先を決める裁判官と言われます。毎月16日の縁日には閻魔法王像がご開帳され、先祖を供養する塔婆流しに参加できます。
安井金比羅宮(やすいこんぴらぐう)
東山区
【金比羅大神様のご縁日】
1月10日は年の最初の金比羅大神の縁日。前年12月10日の終い金比羅からこの日までの間、縁起物の稲宝来(いねほうらい)が授与されます。毎月10日の縁日には月次祭が行われます。
狸谷山不動院(たぬきだにさんふどういん)
左京区
【不動明王ご縁日】
不動明王の縁日の毎月28日には護摩がたかれ、狸谷不動明王を参拝できます。年の最初の縁日の1月28日の初不動ではガン封じの笹酒の接待も行われます。
地蔵菩薩の縁日は24日。毎年8月24日前後には、京都市内のあちこちで地域行事として地蔵盆が行われます。また地蔵盆の一環で、大日如来の縁日28日を中心に大日盆を行う地域もあります
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