京都ツウのススメ
第九十三回 ご朱印
- 其の一、
- 寺院に写経を納めた証しとしていただいた印が朱印の始まりです
- 其の二、
- 集印は、寺院を巡ってご利益をいただく巡礼が起源です
- 其の三、
- 江戸時代以降、お参りをすることで朱印を受けられるようになりました
朱印の起源と歴史
986(寛和2)年に19歳で出家した花山法皇が、三十三カ所観音霊場巡礼を再興したのが現在の西国三十三所霊場巡りの起源と言われます。そして鎌倉時代前期の、社寺に奉納した際に受ける「納経請取状」が朱印の始まりであるとする説があることから、朱印とは、寺院に経を納めた際の受付印であったと考えられています。江戸時代になると、参拝の証しとして朱印をもらうようになります。やがて、京都では都七福神巡りや京都十三佛霊場巡りが誕生するなど全国各所で霊場巡りが盛んになり、朱印を集める人も増えていきました。こうした慣習は、明治時代以降に神社にも広がりました。
集印することの意味
現在では、社寺に参拝し朱印代を納めれば朱印が受けられます。朱印を受けるということは、その社寺からご利益をいただくことであり、朱印を集めるということはそのご利益を重ねていく意味があります。最近では、朱印帳を持って社寺を巡り、集印を楽しむ人が増えています。
一般的に寺院の朱印は押印が3カ所あり、中央には本尊の名が大きく、そして左側に寺院名が記されます。
一般的に神社の朱印は押印が2カ所あり、
中央に神社名が記されます。
- 朱印を受けるには、和紙が綴じられた専用の帳面を用意します。社寺でも販売されていますが、デザインなどの好みに応じて選べる市販の朱印帳も増えてきたので、文具店や雑貨店などで購入してもOK。
- 朱印は、参拝の証しとしていただくものです。手水舎(ちょうずや)で手を清め、さい銭を納めて、本堂や拝殿にお参りをします。
- 納経所や授与所へ行き、書いてほしいページを開いて朱印帳を渡します。朱印をいただいたら、朱印代を納めます。
奈良時代が起源と言われる「西国三十三所霊場巡り」や京都府内の寺院を巡る「洛陽三十三所観音巡礼」など、すべてを回りきることに意味がある巡礼の際に集印をすると、ご利益と同時に達成感も得ることができます。
都七福神めぐり
室町時代に京都で発祥した七福神信仰。日本最古の「都七福神めぐり」では、恵美須神社、松ヶ崎大黒天、東寺、六波羅蜜寺、赤山禅院、革堂、萬福寺の七福神を巡ります。お正月に巡るとご利益が大きいと言われています。
西国三十三所霊場巡り
日本で最も歴史のある巡礼。近畿2府4 県と岐阜県に点在する33カ所を巡れば、現世でのあらる罪が消滅し極楽往生できるとされています。
西国三十三所霊場巡りの札所では、ご詠歌という歌を書いた朱印があり、納経所でお願いするといただくことができます
動物や植物にゆかりのある社寺は多く、それらをモチーフにした朱印も多くあります。自分でテーマを設定し集印してみることもおすすめです。他にも、梵字が書かれているもの、イラスト入りのものなど特徴的な朱印がありますので、自分の好みや興味に応じて楽しむことができます。
- 熊野若王子神社 神の使いであり勝利の神として信仰されている八咫烏(やたがらす)が描かれています
- 八坂庚申堂 申(=さる)の字にちなみ、サルの押し印がされています
- 石清水八幡宮 2羽のハトが寄り添うように書かれている朱印を希望する際は「鳩のご朱印で」と必ず伝えましょう
- 東福寺 創建者にちなんだ寺紋・九條家下り藤紋が押されています
- 下鴨神社 境内に400本以上もあるという桜をかたどった印がかわいい
- 平野神社 神紋の双葉葵は神様の大きな力に出会う植物と言われています
泉涌寺の塔頭を巡る「泉山七福神巡り」のひとつ即成院では、1月限定で鶴の形の金彩銀彩をあしらった福禄寿朱印がいただけます。
神社創建を詠んだ和歌「白妙のとよみてぐらを とりもちて いはひぞ初むる 紫の野に」(藤原長能)が綴られています。社印と装束の文様に使用されている松菱の印が押された3面にわたる朱印です(専用の台紙に墨書・押印して授与されます)。
春は桜をイメージした薄桃色、夏は透明感ある空を表した青色など、季節によって色が変わる和紙の朱印を受けることができます。
- 第百九十五回 京都の巨木
- 第百九十四回 京都と将棋(しょうぎ)
- 第百九十三回 秋の京菓子
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- 第百九十一回 京都の風習
- 第百九十回 幻の巨椋池(おぐらいけ)
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- 第百三十六回 京都とビール
- 第百三十五回 京都と鬼門(きもん)
- 第百三十四回 精進料理
- 第百三十三回 明治時代の京の町
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- 第百二十三回 京の七不思議<通り編>
- 第百二十二回 京都とフランス
- 第百二十一回 京の石仏
- 第百二十回 京の襖絵(ふすまえ)
- 第百十九回 生き物由来の地名
- 第百十八回 京都の路面電車
- 第百十七回 神様への願いを込めて奉納
- 第百十六回 京の歴食
- 第百十五回 曲水の宴
- 第百十四回 大政奉還(たいせいほうかん)
- 第百十三回 パンと京都
- 第百十二回 京に伝わる恋物語
- 第百十一回 鵜飼(うかい)
- 第百十回 扇子(せんす)
- 第百九回 京の社寺と山
- 第百八回 春の京菓子
- 第百七回 幻の京都
- 第百六回 京の家紋
- 第百五回 京の門前菓子
- 第百四回 京の通り名
- 第百三回 御土居(おどい)
- 第百二回 文学に描かれた京都
- 第百一回 重陽(ちょうよう)の節句
- 第百回 夏の京野菜
- 第九十九回 若冲と近世日本画
- 第九十八回 京の鍾馗さん
- 第九十七回 言いまわし・ことわざ
- 第九十六回 京の仏師
- 第九十五回 鴨川
- 第九十四回 京の梅
- 第九十三回 ご朱印
- 第九十二回 京の冬の食習慣
- 第九十一回 京の庭園
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- 第八十九回 京の麩(ふ)
- 第八十八回 妖怪紀行
- 第八十七回 夏の京菓子
- 第八十六回 小野小町(おののこまち)と一族
- 第八十五回 新選組
- 第八十四回 京のお弁当
- 第八十三回 京都の湯
- 第八十二回 京の禅寺
- 第八十一回 京の落語
- 第八十回 義士ゆかりの地・山科
- 第七十九回 京の紅葉
- 第七十八回 京の漫画
- 第七十七回 京の井戸
- 第七十六回 京のお地蔵さん
- 第七十五回 京の名僧
- 第七十四回 京の別邸
- 第七十三回 糺(ただす)の森
- 第七十二回 京舞
- 第七十一回 香道
- 第七十回 天神さん
- 第六十九回 平安京
- 第六十八回 冬の京野菜
- 第六十七回 茶の湯(茶道)
- 第六十六回 京の女流文学
- 第六十五回 京の銭湯
- 第六十四回 京の離宮
- 第六十三回 京の町名
- 第六十二回 能・狂言
- 第六十一回 京の伝説
- 第六十回 京狩野派
- 第五十九回 京寿司
- 第五十八回 京のしきたり
- 第五十七回 百人一首
- 第五十六回 京の年末
- 第五十五回 いけばな
- 第五十四回 京の城
- 第五十三回 観月行事
- 第五十二回 京の塔
- 第五十一回 錦市場
- 第五十回 京の暖簾
- 第四十九回 大原女
- 第四十八回 京友禅
- 第四十七回 京のひな祭り
- 第四十六回 京料理
- 第四十五回 京の町家〈内観編〉
- 第四十四回 京の町家〈外観編〉
- 第四十三回 京都と映画
- 第四十二回 京の門
- 第四十一回 おばんざい
- 第四十回 京の焼きもの
- 第三十九回 京の七不思議
- 第三十八回 京の作庭家
- 第三十七回 室町文化
- 第三十六回 京都御所
- 第三十五回 京の通り
- 第三十四回 節分祭
- 第三十三回 京の七福神
- 第三十二回 京の狛犬
- 第三十一回 伏見の酒
- 第三十回 京ことば
- 第二十九回 京の文明開化
- 第二十八回 京の魔界
- 第二十七回 京の納涼床
- 第二十六回 夏越祓
- 第二十五回 葵祭
- 第二十四回 京の絵師
- 第二十三回 涅槃会
- 第二十二回 京のお漬物
- 第二十一回 京の幕末
- 第二十回 京の梵鐘
- 第十九回 京のお豆腐
- 第十八回 時代祭
- 第十七回 京の近代建築
- 第十六回 京のお盆行事
- 第十五回 京野菜
- 第十四回 京都の路地
- 第十三回 宇治茶
- 第十一回 京菓子の歴史
- 第十回 枯山水庭園の眺め方
- 第九回 京阪沿線 初詣ガイド
- 第八回 顔見世を楽しむ
- 第七回 特別拝観の楽しみ方
- 第六回 京都の着物
- 第五回 仏像の見方
- 第四回 送り火の神秘
- 第三回 祇園祭の楽しみ方
- 第二回 京の名水めぐり
- 第一回 池泉庭園の眺め方