京都ツウのススメ
第三十三回 京の七福神
- 其の一、
- 七福神とは、ゑびす神・大黒天(だいこくてん)・毘沙門天(びしゃもんてん)・弁財天(べんざいてん)・福禄寿神(ふくろくじゅじん)・寿老神(じゅろうじん)・布袋尊(ほていそん)を指します
- 其の二、
- 七福神信仰は室町時代に京都の町衆の間で始まりました
- 其の三、
- 京都では正月に七福神をまつる社寺を巡る「七福神巡り」が行われます
町衆から生まれた七福神信仰
インド・中国・日本の神々が連れ立って人々に幸運をもたらすという七福神信仰は、室町時代に京都の民衆の間で始まったものです。元は海の彼方にある神の国から海を渡って神がやって来ると信じられていた古代の福神信仰に由来するもので、商工業が発展したこの時代は、庶民が個人の富や利益を願うようになり、次第に福神が財宝の神などとして崇められるようになりました。初めは商売繁盛を願う人たちの間でゑびす神と大黒天の二神信仰が生まれ、やがて7人の神様が組み合わされて現在の七福神が誕生しました。
京都における七福神
京都では日本最古と言われる「都七福神」のほか、「京の七福神」や「京都七福神」など、様々な組み合わせの巡り方があります。正月の松の内や節分などに七福神を拝めば、「七難即滅(そくめつ)、七福即生(そくじょう)極まりなし〔七つの災いがたちまち消え、七つの福がたちまちやってくる〕」と言われ、開運招福のご利益を求めて多くの人々が巡ります。
右手に釣竿、左手に鯛を抱え、ふくよかにほほ笑む姿をしています。元は海の神様で、現在も豊漁の守護神であるとともに商売繁盛や旅行安全の神として親しまれています。
恵美須神社 など
京都の恵美須神社は、兵庫の西宮神社・大阪の今宮戎神社と並び、日本三大ゑびすのひとつです
福袋を背負い打ち出の小づちを持ち、「上を見ない」という謙虚さを表す大きな頭巾をかぶっています。福徳を招く商売繁盛の神で、古代インドの軍神が元となっています。
松ヶ崎大黒天、圓徳院、大黒寺 など
松ヶ崎大黒天の本尊である大黒天像は、伝教大師・最澄の作で、日蓮が開眼したものと伝えられています
北方の守護神であり、仏教を守護する四天王のひとり。福徳・知恵・美ぼう・力・能弁など10種類のご利益があるとされます。また甲冑(かっちゅう)姿から戦勝の神としても知られ、戦国時代の武将・上杉謙信にも信仰されていました。
東寺、毘沙門堂、鞍馬寺、盧山寺 など
琵琶(びわ)を弾く美しい姿をした、七福神の中で唯一の女神。元々インドの水の神様で、水の流れる音にちなみ、音楽や芸能の神として諸芸上達や、財運などのご利益があるとされています。
六波羅蜜寺、三千院、長建寺 など
中国の道教の聖地・泰山(たいざん)に住むという神様・泰山府君(たいざんふくん)の化身とされ、幸福・高禄・長寿の3つの願いを表すとされています。短身で長い頭にひげを生やした姿で、長寿・健康・除災にご利益があります。
赤山禅院 など
古代中国の哲学者・老子が仙人となった姿。巻物を付けた杖を持ち、3000年の長寿を保つという鹿を連れた姿などで表現され、長寿・子宝・病気平癒・金運のご利益があるとされています。
革堂 など
七福神の中で唯一、中国・唐の時代に実在した布袋和尚がモデルと言われています。吉凶をつかさどり、大きなお腹や福耳、満面の笑顔などから、招福の神とされています。
萬福寺、長楽寺 など
七福神の「七」という数は、室町時代に掛け軸の題材として好まれた、中国の7人の賢者を指す「竹林の七賢人」にならったとか、仏法の経典である「仁王般若経 」の文言「七難即滅、七福即生」にちなんだなど、諸説あります
「都七福神まいり」は、京都の代表的な七福神巡りとして知られています。宝船の大護符(色紙・有料)に7社寺の朱印(各300円)を集めて祈願すると“7つの福”が授かると言われ、特に新春に巡るとそのご利益が大きいと言われています。
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