京都ツウのススメ

第八回 顔見世を楽しむ

[庭園史のひとつの頂点 禅寺の庭]禅宗の高い精神性と抽象性を凝縮した芸術的な枯山水庭園。全国でも京都以外ではあまり見られない様式だと言われます。その庭の鑑賞ポイントを、らくたびの若村亮さんがご紹介します。 ※記事・写真は2008年時点のものです

枯山水庭園の基礎知識

其の一、
かつては歌舞伎役者の年始行事でした
其の二、
東西の人気役者が顔をそろえるオールスター公演です
其の三、
京の人々にとって欠かせない冬の一大イベントです

京都と顔見世

12月、四条大橋東詰に位置する南座では『吉例顔見世興行』が行われます。江戸時代、1年ごとに劇場と契約していた役者にとって、この時期が新年の始まりにあたり、顔見世は「これから1年はこの顔ぶれでよろしくお願いします」というお披露目興行でした。現在は形式的なものですが、京都の人々にとっては年中行事のひとつ。南座に役者の名前が書かれた「まねき」が上がると、町は一気に華やかな雰囲気に。花街をはじめ、いたるところで、今年の演目や顔ぶれなど顔見世の話題で盛り上がります。

出雲阿国像

出雲阿国像

四条河原付近は歌舞伎発祥の地と言われています。そばにある川端通の交差点には、歌舞伎の創始者・出雲阿国の像が。阿国がこの地で踊ったのが歌舞伎の原形「かぶき踊り」。南座を訪れたらぜひ立ち寄ってみましょう

出雲阿国像

祇園四条駅下車すぐ

顔見世がやってきた!

まねきの書体

まねきの書体

勘亭流という力強い書体。すき間なく書くことで客席が埋まることを、ハネを内側にすることで劇場の中にたくさんのお客が呼び込まれることを祈願します

まねき

江戸時代から続く宣伝手法のひとつが出演者の名前を書いたまねき看板。通称「まねき」と呼ばれます。顔見世の期間中、南座の正面にずらりと上げられたまねきは、京の師走の風物詩です。

錦絵

まねきの下には、その年の演目の出演者を描いた鮮やかな錦絵が飾られます

錦絵

東西スターの競演

歌舞伎界の一大イベントであるため、東西からスターが集結します。まねきも、向かって右側(西)に上方の役者、左側(東)に江戸の役者の名前がずらり。得意演目の上演や豪華な顔合わせも顔見世ならでは。

演目と配役

多くのスターが出演するので通常の歌舞伎興行より演目数が多く、たっぷりと観劇を楽しむことができます。また、同じ演目でも役者によって個性が出るので、誰がどの役…という配役も楽しみのひとつ。

【南座】の中はこうなっています

南座

写真提供/松竹株式会社

桟敷

客席の左右両側にある特別席。顔見世では、「総見(そうけん)」と言って、花街の芸妓さん・舞妓さんがずらりと並んで観劇する日があります

花道

舞台の下手にある、客席の間を通る道。花道から登場するシーンは大きな見せ場となります

制作:2008年11月
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第百八十八回 京都とお花見
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第四十三回 京都と映画
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第四十回 京の焼きもの
第三十九回 京の七不思議
第三十八回 京の作庭家
第三十七回 室町文化
第三十六回 京都御所
第三十五回 京の通り
第三十四回 節分祭
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第三十二回 京の狛犬
第三十一回 伏見の酒
第三十回 京ことば
第二十九回 京の文明開化
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第二十七回 京の納涼床
第二十六回 夏越祓
第二十五回 葵祭
第二十四回 京の絵師
第二十三回 涅槃会
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第十八回 時代祭
第十七回 京の近代建築
第十六回 京のお盆行事
第十五回 京野菜
第十四回 京都の路地
第十三回 宇治茶
第十一回 京菓子の歴史
第十回 枯山水庭園の眺め方
第九回 京阪沿線 初詣ガイド
第八回 顔見世を楽しむ
第七回 特別拝観の楽しみ方
第六回 京都の着物
第五回 仏像の見方
第四回 送り火の神秘
第三回 祇園祭の楽しみ方
第二回 京の名水めぐり
第一回 池泉庭園の眺め方