京都ツウのススメ

第百三回 御土居(おどい)

[京都を囲む大城壁・御土居] 戦乱で荒れ果てた京都を改造するために、豊臣秀吉が建設した御土居。巨大な城壁で洛中洛外の境界ともなった御土居をらくたびの山村純也さんが紹介します。

御土居の基礎知識

其の一、
豊臣秀吉が1591(天正19)年に築いた城壁です
其の二、
全長約23kmにわたり洛中を取り囲んでいました
其の三、
江戸時代以降、堤防の役割をする部分以外は取り壊されました

京都改造計画と御土居

天下統一後、豊臣秀吉は応仁の乱で荒れ果てた京都を再建するため、大規模な京都改造計画に取り組みました。御所の修復や政庁兼邸宅・聚楽第(じゅらくだい)の建設を行い、周辺に大名や公家の屋敷町と80もの寺院を集めた寺町を造りました。1591(天正19)年には京都を広範囲にわたって囲む巨大な城壁・御土居を築き上げ、その中に街を完成させました。

秀吉が築いた御土居とは

御土居は、敵の来襲に備えたり、鴨川の氾濫(はんらん)から京都の街を守るために築かれた台形の土塁と堀から成ります。約23kmに及び、東は鴨川、北は鷹ヶ峯、西は紙屋川、南は九条まで建築されました。土塁の内側を洛中、外側を洛外と呼び、要所には洛外との出入り口になる「七口(ななくち)」が設けられました。江戸時代に入ると洛外まで街が広がり、次第に御土居は堤防の役割を果たすもの以外は取り壊されていきました。現在、市内に残る御土居のうち、9カ所が史跡に指定されています。

[秀吉の都市改造計画 京の街を囲む 御土居]京都を大きく取り囲む土塁と堀でできた御土居。史跡として指定されている御土居を紹介します。

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[北区紫竹上長目町・上堀川町]京都市内を1周する御土居造りには数万人が携わり、わずか4カ月で完成したと言われています
[北区大宮土居町]保存状態が最も良い約250mにわたって残る御土居。外側からのみの見学ですが、堀と土塁の構造がわかります。
[北区鷹峯旧土居町2]北西角に当たる場 所。名物「御土居餅」を売る和菓子屋・光悦堂で鍵を借りて中へ入ることもできます。
[北区鷹峯旧土居町3]御土居跡公園として整備されていて、土塁の頂上へ登るとその高さや大きさを確認できます。
[北区紫野土居町]住宅地の中に一部の土塁と石碑が残ります。
[北区平野鳥居前町]台形の土塁には芝生が植えられ、現存する中でも、はっきりと形状がわかる御土居です。また、御土居から出土した石仏がまつられています。
[上京区馬喰町]北野天満宮の境内西側を流れる紙屋川に沿って残る御土居。見晴らし台があり、御土居の完成時に植えられたと伝わるケヤキの大木が目印です。秋には約300本の紅葉も楽しめます。
[中京区西ノ京原町]御土居が神体となっている市五郎稲荷神社。土塁に接して社殿があり、鳥居の続く参道が堀の跡だと言われています。
[上京区北之辺町]廬山寺境内の東側に、御土居の一部が約50m残り、実際に登って見学できます。

土居町や鞍馬口町などの地名は、御土居と、京都各所へ通じた「七口」の名残です

ココがツウ

建設当時は堀を含んで「土居堀」と呼んでいましたが、江戸時代以降は土塁と竹林部分を指して「御土居」と言われるようになりました

ココがツウ

御土居の規模と構造

断面図で御土居を見ると、基礎部分の幅約20m、頂上部の幅と高さが約5mの台形状です。土塁の外側には堀があり、幅は約10m、深さ最大約4mと巨大であることがわかります。基盤となる土塁を作るための膨大な土をどこから調達したかは今も不明で、御土居からは多くの石仏が出土しています。また、御土居の上には美観のため、竹が植えられていました。

断面図

京都市内を1周する御土居造りには数万人が携わり、わずか4カ月で完成したと言われています

ココがツウ

制作:2016年11月
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