京都ツウのススメ

第九回 京阪沿線 初詣ガイド

[正しい社寺参拝の仕方]初詣に七福神めぐり、十日ゑびすと、神社・寺院を訪れる機会が多い1月。そこで社寺の正しい参拝について、らくたびの山村純也さんがご紹介します。

参拝の基礎知識

其の一、
まずは心身を清めます
其の二、
本殿・本堂での作法を正しく身に付けます
其の三、
お守りやご朱印の持つ意味を知ることも大切です
京都の歴史は社寺とともにあります。

全国でも、とりわけ神仏の多く集まる京都。その時代背景によって様々な社寺が建てられ、古くからある社寺と共存しながら、現在まで受け継がれてきました。千年の都・京都にある社寺は、日本人が長い歴史の中で積み重ねてきた財産とも言えます。初詣のこの機会に、正しい参拝方法を覚えてみませんか。

神様をまつる神社編 さあ、まずは基本を覚えましょう!

step1 心身を清める

鳥居の画像

ココがツウ

「恐れ多い」という気持ちを表すため、真ん中は避けて通ります

神様の前へ出るために心身ともに清らかな状態になりましょう。手水所で手や口を清めます。

御手洗川の画像

ココがツウ

神社の川は「けがれを流す」ためのもの。川に架かる橋を渡ることも身を清める方法のひとつ

御手洗川

step2 本殿参拝

おさい銭を入れ、鈴を鳴らします。正面を向き、姿勢を正して深々と二礼します。手を合わせ、一節目分ほど右手を少し手前に引き、二度、拍手を打ちます。手前に引いた右手を元に戻し、目を閉じてお参りします。最後に深く礼を一度して終了です。

参拝時の手の画像

ココがツウ

おさい銭箱にお金を投げ入れる音、鈴の音、柏手(かしわで)を打つ音はどれも、「音による清め」を表しています

ココがツウ

礼をする角度は90°くらいに

ココがツウ

右手を少し引くことで「謙虚」な気持ちを表します

step3 参拝後

おみくじを「むすぶ」という行為は、「もっと良い縁(運)を得られますように」との願いをかけること。境内の指定の場所に結んでも、持ち帰って1年間お守りの代わりにしてもいいのです。お守りは、神様にいつもそばで見守ってもらえるうれしい存在です。家族や友人のために求めてみるのもいいでしょう。自分の願い事をより明確に神様に届けるために、絵馬を奉納します。

絵馬の画像

ココがツウ

かつては神様の乗り物である馬を奉納、やがて馬の絵を板に描いて奉納するようになり、現在の「絵馬」が誕生しました

【1】下鴨神社 厄除開運・縁結び
下鴨神社の地図
下鴨神社の画像

京都で最も古い神社の一つ。1日(祝・木)6時から「歳旦(さいたん)祭」、4日(日)13時30分から「蹴鞠(けまり)はじめ」が行われます。

仏様をまつる寺院編 ※宗派や寺院ごとに作法などの変わる部分があります。 ※下記の参拝方法は知恩院などでも実践できます

step1 心身を清める

山門をくぐり、手水で心身を清めます。また、本堂の前にある香炉でお香をたくことでけがれや邪気を払います。

香炉の画像

ココがツウ

寺の入り口にある門(三門・山門)は悟りの世界に入ることを意味します

step2 本堂参拝

心身を清めたら、まずご本尊へ参拝。本堂の入り口で帽子・コートを脱いで入ります。 ご本尊の前に来たら、焼香をします。右手でお香をつまんで香炉に静かにくべます。※焼香の回数は宗派によって異なります ※寺院によっては、お香のかわりに線香を供えるところもあります ※諸事情により、焼香を省略しているところもあります 静かに手を合わせ、お経を唱えます。木魚が置いてある時は、お経を唱えながらたたきます。※お経は宗派によって異なります。

ココがツウ

本堂内部のお供え物やきらびやかな装飾は、光り輝く仏の世界を表しています

ココがツウ

お香をつまんだ右手を「少し掲げる」のではなく、左手を添え、額のところまで掲げましょう

ココがツウ

お供え物の「あかり(ろうそく)」「お香(線香)」「花」にも意味があります。あかりは仏の知恵を、お香は仏の慈悲の心を、花は仏の広大な心を表しています

step3 参拝後

寺院にある庭園は、仏の住む悟りの世界を表した精神的な空間です。庭を眺めながら、自分自身と向き合ってみるのもいいでしょう。お守りは仏様の化身。身につけることで、仏様がそばで守ってくれます。

ご朱印を持つことは、仏の加護を受けるということを意味します。

ココがツウ

寺院にお経を書き写したものを納めた人に、その証明として「朱の印」を押して返したことがルーツ。今では、お布施を納めることでご朱印をいただけるところもあります  

お守りの画像

【2】六波羅蜜寺 縁結び・無病息災など
六波羅蜜寺の地図
六波羅蜜寺の画像

空也上人(くうやしょうにん)が悪疫退散のために献じたという故事にちなんで、無病息災の「皇服茶(おうぶくちゃ)」(300円)が、1日(祝・木)~3日(土)に授与されます。

※焼香・庭鑑賞はできません

正しい参拝の仕方を実践!初詣に出かけましょう 京都 【3】伏見稲荷大社 商売繁盛・家内安全など
伏見稲荷大社の地図
伏見稲荷大社の画像

全国各地におまつりされている稲荷神社の総本宮です。1日(祝・木)6時から「歳旦祭」、5日(月)12時から「大山祭」が行われます。

【4】八坂神社 厄除開運
八坂神社の地図
八坂神社の画像

日本で初めて31文字の和歌を詠んだご祭神にちなみ、3日(土)13時から十二単に身を包んだかるた姫が古式ゆかしいかるた競技を披露する「かるた始め式」が行われます。

【5】平安神宮 厄除開運・家内安全
平安神宮の地図
平安神宮の画像

1日(祝・木)6時から「歳旦祭」、12時から「初能奉納」、また5日(月)まで甘酒・神酒(300 円)が、額殿や中神苑(拝観料:大人600円・小中生300円)のあずまやでいただけます。

【6】石清水八幡宮 厄除開運・勝運
石清水八幡宮の地図
石清水八幡宮の画像

1日(祝・木)3時から「若水神事」、5時から「歳旦祭」が行われます。長さ7~8mもの「ジャンボ御神矢」が本殿正面に飾られ、参拝客を出迎えます。

【7】御香宮神社 安産・厄除開運

1日(祝・木)0時から「若水神事」。7日(水)には6時から「七種(ななくさ)神事」が行われ、9時から七草がゆ(300円)の接待があります。

【8】貴船神社 縁結び・諸願成就

貴船大神が丑の年、丑の月、丑の日、丑の刻に降臨したという伝説にちなみ、丑年の今年最初の丑の日に当たる8日(木)に「初丑特別祈願」が終日行われます。 

  • 075-741-2016
  • kibune.jp/jinja
  • 叡電貴船口駅下車 北へ徒歩約30分
    または京都バス貴船下車すぐ

※京都バスは1/1(祝・木)~4日(日)に運行
※4日以降は土・日・祝日のみ運行

【9】車折神社 商売繁盛・良縁・芸能(芸術)など

建立当初より、桜の宮と呼ばれていました。今の神社名は、後嵯峨天皇が嵐山へ行かれた際、牛車の引棒が社前で折れてしまったことからついたそうです。

沿線の初詣スポットはまだまだあります。大阪・滋賀でもお参りしましょう!大阪
【10】大阪天満宮 学徳成就・家内安全
大阪天満宮の地図
大阪天満宮の画像

ご祭神は菅原道真公。1日(祝・木)0時~2時は白酒が振る舞われ、1~3日(土)10時~15時は「新春書き初め大会」が行われます。

【11】成田山不動尊 交通安全・開運厄除
成田山不動尊の地図
成田山不動尊の画像

高さ約13mの根付き松・古木の梅・孟宗竹などで作られた大門松が山門前に飾られます。1日(祝・木)~7日(水)は「新年特別大護摩供」が厳修されます。

滋賀
【12】日吉大社 厄除・方除・家内安全など
日吉大社の地図
日吉大社の画像

(株)びわこビジターズビューロー

各地にある山王(さんのう)さんの総本宮。1日(祝・木)5時から行われる「歳旦祭大戸開神事」では、能が西本宮にて、謡曲が東本宮にて奉納されます。

【13】石山寺 安産・福徳・厄除
石山寺の地図
石山寺の画像

1日(祝・木)~3日(土)は入山無料で、13時から「修正会大祈祷」が行われます。寺名の由来となった硅灰石(けいかいせき)が境内中心部にあります。

【14】近江神宮 開運厄除・交通安全・産業発展

小倉百人一首の頭歌がご祭神の天智天皇によることにちなみ、10日(土)10時から「小倉百人一首 競技かるた名人位・クィーン位決定戦」、11日(日)9時から「かるた祭」が行われます。

【15】三井寺(園城寺) 家内安全・福寿

8日(木)10時から「仁王会法要」、続いて「寒中説法」が行われます。天台寺門宗の総本山で、国宝・重要文化財など100点以上所有しています。

【16】建部退社 厄除開運

1日(祝・木)7時30分から「伊勢神楽奉納」。1日・2日(金)はお神酒が振る舞われます。源頼朝をはじめ、多くの武将たちに信仰された神社です。

  • 077-545-0038
  • 丹波橋駅station_info_no=83">唐橋前駅下車 東へ徒歩約20分
京阪沿線初詣MAP
制作:2008年12月
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第百九十四回 京都と将棋(しょうぎ)
第百九十三回 秋の京菓子
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第百九十一回 京都の風習
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第百八十九回 京都と魚
第百八十八回 京都とお花見
第百八十七回 京の歌枕(うたまくら)の地
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第三十二回 京の狛犬
第三十一回 伏見の酒
第三十回 京ことば
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第十六回 京のお盆行事
第十五回 京野菜
第十四回 京都の路地
第十三回 宇治茶
第十一回 京菓子の歴史
第十回 枯山水庭園の眺め方
第九回 京阪沿線 初詣ガイド
第八回 顔見世を楽しむ
第七回 特別拝観の楽しみ方
第六回 京都の着物
第五回 仏像の見方
第四回 送り火の神秘
第三回 祇園祭の楽しみ方
第二回 京の名水めぐり
第一回 池泉庭園の眺め方