京都ツウのススメ
第十回 枯山水庭園(かれさんすいていえん)の眺め方
- 其の一、
- 水を用いず、白砂や石組みなどで、風景を表現した庭園様式を言います
- 其の二、
- 仏教や神仙思想などを反映した、精神性の高い空間となっています
- 其の三、
- 都として高い文化を誇った京都の、禅寺に数多く見られます
庭園には、池を中心に水を使った「池泉(ちせん)庭園」、水を使わず白砂や石組み、苔や樹木などで構成された「枯山水庭園」、茶の湯の発展に伴い茶室に面して作られた「露地庭園」の3つがあります。そのひとつ枯山水庭園は、京都の禅寺に数多く見られる様式。鎌倉時代に広まった禅宗の教えに始まり、やがて思想や文化にまで浸透した室町時代、京都の禅寺を中心に作られるようになりました。高い精神性と抽象性を併せ持つこの庭園は、ある人には大海原に浮かぶ島々が、ある人には広い青空に浮かぶ大きな雲が見えると言うように、見る人の心境によってその様々な感じ方・解釈が生まれます。
平面的に白砂や石が配された「平庭(ひらにわ)式」、池の形をしていながら水を使わない「枯池(かれいけ)式」、白砂で水の流れを表した「枯流(かれながれ)式」などがあります。
「鶴は千年、亀は万年」と言われるのにちなみ、長寿を願って配置されます。
亀島は、亀の頭や足を石組みで表現。中には石をひとつ置いて、頭や甲羅だけが水面から浮かんでいる様子を表したものもあります
鶴島は、立石の左右に翼をあらわす羽石(はねいし)を持った構成になっています
庭園の外にある山や竹林など、自然風景を庭園の背景として一体化させた作庭技法です。京都では、東山・比叡山・嵐山などを借景とする庭園が数多くあります。
庭園を構成する重要な要素で、立石・砂・樹木を配して、神仙思想を象徴する蓬莱島(ほうらいじま)や、仏教思想を象徴する須弥山(しゅみせん)など、仙人や仏が住む深山幽谷の趣を表します。
三尊仏に見立てて、中央に立石(りっしゃく)を、両脇に小立石(しょうりっしゃく)を配した3個の石組を三尊石組と言います。
仏像が建物内の中心にまつられるように、三尊石組が庭の中心であり原点と言えます
建仁寺
縦じま模様の石によって流れ落ちる水を表現したり、角のない丸い石を敷きつめて滝下で渦巻く水を表現しています
霊雲院
枯滝石組の手前に架けられる橋を表しています。
室町時代には厚みが薄い自然石が多く、安土桃山時代にかけて次第に厚みのある石が好まれるように。また、江戸時代以降は加工した切石が使われるようになりました
圓徳院
本来は社寺の参道を照らすもの。茶の湯や庭園文化の発展とともに、鑑賞を目的として庭園内に設置されるようになりました。
船形の石を白砂に配して、深山幽谷へ向かう船を表しています。
本来は神前や仏前で身を清めるための水を入れる器。灯籠と同じく、茶の湯の発展とともに鑑賞を目的として使われるようになりました。
建仁寺
砂紋によって水の流れなどが表現されています。
本坊裏にある潮音庭を建物内部から見ると、天からの光が三尊石組を照らし出し、神秘的な雰囲気です。本坊前にある坪庭は、「世の中はすべて○△□で成り立つ」という禅の教えを形にした庭。苔・砂盛・井戸をそれぞれ○△□で表現しています。
- ●祇園四条駅下車 南東へ徒歩約5分
伏見城化粧御殿の前庭を移築したもの。安土桃山時代当時の原型をほぼそのまま残し、庭園北東部の築山を中心に多数の巨岩大岩を配した豪快かつ豪華な枯滝石組や橋石組が見られます。後に小堀遠州(こぼりえんしゅう)が手を加えたと伝えられています。
- ●祇園四条駅下車 南東へ徒歩約15分
九山八海の庭と呼ばれる書院前庭は、仏教の世界観を表現。また西庭の臥雲の庭は、渓谷から流れ出た水が、夕日に染まった赤い雲の下を潜って大海へと注ぎ込んでいる様子を表しています。昭和初期に重森三玲(しげもりみれい)によって復元されました。
- ●東福寺駅下車 南東へ徒歩約5分
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- 第四回 送り火の神秘
- 第三回 祇園祭の楽しみ方
- 第二回 京の名水めぐり
- 第一回 池泉庭園の眺め方