京都ツウのススメ
第八十五回 新選組
- 其の一、
- 新選組は、幕末の京都で治安維持にあたる警察部隊として誕生しました
- 其の二、
- 長州藩士と戦った池田屋事件で、新選組の名が世間に広まりました
- 其の三、
- 戊辰戦争の発端となった鳥羽伏見の戦いに敗れ、やがて解散しました
新選組の誕生
1862(文久2)年、14代将軍・徳川家茂(いえもち)が上洛する際、幕府は警護のために浪士隊を結成。これが後の新選組の母体となります。翌年、浪士隊は分裂し、その中から数十人が京都守護職・松平容保(かたもり)の元に集まり、主に京都の警備や討幕派の浪士たちを取り締まるための警備部隊が発足しました。その後、長州藩士たちを京都から追放した八月十八日の政変の功績によって、幕府より新選組の隊名を授かりました。
新選組の結成から解散
新選組は当初、複数の派閥に分かれていましたが、2年後には局長・近藤勇(いさみ)、副長・土方歳三(ひじかたとしぞう)の体制で隊は統率されました。京都では約5年間活動し、御所での決起計画を実行しようとした討幕派を襲撃した池田屋事件や、京都を追放された長州藩士たちと御所で戦った禁門の変では、幕府側に加勢して勝利し、京都の治安を守りながら活躍しました。1868(慶応4)年1月、旧幕府軍として鳥羽伏見の戦いに参加するも新政府軍に敗北、多くの隊士を失い新選組は衰退しました。江戸に帰還後、箱館戦争の戦いに敗れ降伏し、翌年に解散しました。
幕末の京都で活躍した新選組は、反幕府勢力を取り締まる警備活動に従事した後、大政奉還後は旧幕府軍の一員として戊辰戦争で戦いました。市内各地で繰り広げられた事件や、隊士たちにまつわるエピソードをご紹介します。
1864(元治元)年6月、京都に潜伏し、宿・池田屋で過激なクーデターを計画していた長州藩士たちの会合に、近藤が指揮をとる新選組が突入。2時間にわたる壮絶な斬り合いの末、鎮圧しました。この池田屋事件によって治安が一時的に回復したと言われています。
浪士隊として上洛し、そのまま京都に残り新選組の局長となりました。武士道に命を懸け、真面目で几帳面な性格だったそうです。京都で起こったすべての事件に関わっていたとされています。
八木邸は、隊士たちが江戸から京都に来て最初に屯所となった場所。1863(文久3)年、素行の悪さが問題となっていた芹沢が島原の角屋で遊んだ後、八木邸で寝ているところを土方や沖田総司らに急襲され、殺害されました。
芹沢が亡くなった部屋の鴨居や柱には、新選組隊士がつけたと思われる刀傷が今も残っています
門前近くに新選組の馬小屋があり、総長の山南敬助をはじめとした隊士たちが毎日通っていました。ここの住職と山南が同じ年齢だったことなどから親交が生まれ、山南ら隊士たちの墓が残ります。
隊士たちの軍事演習が行われた場所。境内では、新選組の中で最も剣の腕前が優れていた沖田が子供と遊んだり、土方ら隊士が壬生狂言の観賞をしたなどの逸話が残っています。
新選組が相撲興行を企画し、寺の池の魚やスッポンを料理して力士に振る舞ったそうです
近藤や沖田とともに上洛し、副長として隊を率いました。隊の中では、法の番人として規律違反や脱走の責任を厳しく追及し、切腹を命じたと言われています。隊士として、箱館戦争に参戦し亡くなりました。
長身で美男子であった土方は人気があり、京都で多くの恋文をもらったことを故郷の仲間に自慢したと言われています
結成時は幹部22人と平隊士が約30人でしたが、政治情勢により体制を変え、最も多い時には200人が在籍していました。ひとつの隊が数十人の10番隊に分かれて各隊を維持し、組織力を向上させました。
隊士は、階級・職業・年齢には関係なく、武士の志があれば誰でも入隊できました。その中で、隊規と言われる厳しい規則で統率を図り、武芸の心得がない者は除隊、脱走するものは切腹となりました。
新選組の資金は少なく、豪商から多額の資金提供を受けていました。また、隊士の月給は当時のほかの職業よりも高給取りだったそうです。
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