京都ツウのススメ
第九十八回 京の鍾馗(しょうき)さん
- 其の一、
- 鍾馗さんは、家の屋根に置かれる守り神です
- 其の二、
- ひげを生やし帽子をかぶり、刃物を持っている姿が一般的です
- 其の三、
- 京都の鍾馗さんには、京都人の気質がよく表れています
鍾馗さんの登場から現在まで
京町家の屋根の上によく見かける瓦製の人形・鍾馗さん。中国で唐の時代に信仰された魔物を払うという伝説の人物がルーツで、日本では、平安時代の作とされる『益田家本地獄草子』の中の「辟邪(へきじゃ)絵巻」に登場します。この頃は、災厄や邪気、鬼などを追い払うため、新年に絵を描いた平面の札を家の戸に貼っていたと言われています。室町時代になると陶器で作られるようになり、江戸時代後半には現在のような瓦製になりました。京都以外でも鍾馗さんは見られますが、瓦製のものは京都が発祥です。
鬼よりも強い鍾馗さん
「辟邪絵巻」に描かれている鍾馗さんは、鬼をこらしめており、鬼の天敵となる存在でした。そのため、寺院の屋根に使われている鬼瓦によって払われた邪気、つまり災いが降りかからないようにするため、周辺の家の屋根には鍾馗さんを置くようになりました。今でも街のあちこちで見ることができ、親しみを込めて「鍾馗さん」と“さん付け”で呼ばれています。

鍾馗さんは、寺院の鬼瓦に対して周辺の家に置くのが一般的で、「お寺鍾馗」と呼ばれます。また、向かいの家の鍾馗さんにはじかれた邪気を払うために置くものを「お向かい鍾馗」と言います。寺院や町家が密集する京都では、街のいたるところにこれらの鍾馗さんが存在します。
鍾馗さんを供養してくれる寺院があります(妙蓮寺の塔頭・円常院〈京都市下京区〉)
「人間関係に角を立てないが、プライドはきっちり表に出す」という京都人。「お向かい鍾馗」を設置する際、後から置く家はお向かいの鍾馗さんとにらみ合わないように、斜め上方向を向いた鍾馗さんを設置するなど、京都人ならではの気遣いがよく表れています。


京都の鍾馗さんは高さ約20~30cmのものが多く、他の地域に比べて小さめです。「大げさに思われないようにしたい」、「間口が狭いため大きな鍾馗さんだと家と釣り合わない」、また「お向かいに威圧感を与えないようにしたい」といったことが理由だと言われています。
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- 第百五十回 京のお雑煮
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- 第百三十五回 京都と鬼門(きもん)
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- 第三十二回 京の狛犬
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- 第二十七回 京の納涼床
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- 第二十四回 京の絵師
- 第二十三回 涅槃会
- 第二十二回 京のお漬物
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- 第十七回 京の近代建築
- 第十六回 京のお盆行事
- 第十五回 京野菜
- 第十四回 京都の路地
- 第十三回 宇治茶
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- 第十回 枯山水庭園の眺め方
- 第九回 京阪沿線 初詣ガイド
- 第八回 顔見世を楽しむ
- 第七回 特別拝観の楽しみ方
- 第六回 京都の着物
- 第五回 仏像の見方
- 第四回 送り火の神秘
- 第三回 祇園祭の楽しみ方
- 第二回 京の名水めぐり
- 第一回 池泉庭園の眺め方