京都ツウのススメ
第百十一回 京の鵜飼(うかい)
夏の夜を楽しむ鵜飼 夏の訪れを告げる風物詩・鵜飼の見どころをらくたびの山村純也さんが紹介します。
基礎知識
其の一、
- 鵜飼は古代から行われている川魚を捕る方法です
其の二、
- 平安時代には、宇治川・桂川で鮎漁として村人たちが鵜飼を行っていました
其の三、
- 平安時代、清和天皇が嵐山の大堰(おおい)川で貴族の舟遊びとして鵜飼を始めました
村人の漁から王朝人の風流な楽しみに
鵜飼は、川での漁法のひとつです。平安時代の『蜻蛉(かげろう)日記』には、宇治川の鵜飼の様子が記され、嵐山の大堰川では、平安時代に清和天皇が、貴族の優雅な船遊びとして宮廷鵜飼を始めたと言われています。在原業平の「大堰川 うかべる舟のかがり火に をぐらの山も 名のみなりけり」という歌は、嵐山の鵜飼を詠んだものです。
鵜飼の復活と現在の様子
かつては全国各地で行われていた鵜飼ですが、江戸時代から明治時代にかけて、その多くが途絶えてしまいました。しかし、宇治川では1926(大正15)年に、嵐山では1950(昭和25)年に再興し、宇治川では全国でも珍しい女性鵜匠がいち早く登場。また日本で初めて海鵜(うみう)の人工ふ化に成功し、鵜匠によって育てられた鵜が毎年鵜飼デビューを果たしています。現在の鵜飼は夏のイベントショーとして行われ、伝統的な川漁を今に伝えています。
夏の風物詩 鵜飼
観覧船と鵜船の距離が近く、
臨場感たっぷりの鵜飼の見どころなどを写真とともに紹介します。
鵜飼とは?
水に潜って魚を捕る鵜の習性を利用した漁法。ひとりの鵜匠が紐につないだ5羽ほどの鵜を、船の上から巧みに操ります。鵜が魚を飲み込んだところで、鵜匠は紐を引き寄せ、鵜ののどにたまった魚を吐き出させます。
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観覧船 - 観客は船に乗ったまま、目の前を行き来する鵜飼の様子を楽しみます。乗合船と貸切船(要予約・飲食可)があります。
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かがり火 - 鵜船の舳先にかがり火を焚きます。かがり火は照明としてだけではなく、魚を驚かせておびき出す役割もあります。
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鵜 - 鋭いくちばしと爪を持つ海鵜。鵜は魚のうろこが光に反射するのを見て水中に潜り、魚を捕らえます。
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とも乗り・中(なか)乗り - 鵜船には、鵜匠のほかに、とも乗り・中乗りと呼ばれる2人の船頭が乗り込み、船を漕ぎ、櫂(かい)で船の縁をたたくなどして魚を驚かすなど鵜匠のサポートをします。
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鵜匠 - 伝統的な装束を身に付け、声をあげながら鵜を操ります。
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船 - 鵜匠たちが乗る船で、鵜船(うぶね)と呼びます。
宇治川の中洲・塔の島にある鵜小屋では、日中くつろぐ鵜の姿や、鵜匠が餌やりなどの世話をする様子も見ることができます
鵜匠(うしょう)
- 風折烏帽子(かざおれえぼし)
- 90cmほどの長さの藍染めの木綿生地を頭に巻き付け、かがり火から頭髪を守ります。
- 漁服・胸あて
- 藍染めの木綿の服を着ます。その上に火の粉から身を守る胸あてを付けます。
- 腰蓑(こしみの)
- ワラを束ねたもので、水しぶきから身を守る防水と、体が冷えないようにする防寒の役割があります。
鵜(う)
- ・海鵜を鵜小屋で年中飼育し、シーズン前になると訓練をします。
- ・ある大きさ以上の魚は 飲み込まないよう、のどに紐を巻いています。紐の巻き加減で捕る魚の大きさが決まり、小さい魚は飲み込ませます。
宇治川では、人が飼育する環境では卵を産まないと言われていた海鵜の人工ふ化に全国で初めて成功しました(2014年以降毎年ふ化し、今年誕生した5羽を7/9(日)までの土・日曜に公開中)
嵐山で行われている鵜飼には、平安装束をまとった船頭が操る、華やかな王朝風に装飾された観覧船「平安王朝復元宮廷鵜飼」もあり、貴族になった気分で楽しめます
制作:2017年7月
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