京都ツウのススメ

第一回 池泉庭園の眺め方

[花が咲き四季が移ろう庭園]日本庭園の中でも水をたたえる池を中心とした「池泉庭園」。千年の歴史を誇る名庭の宝庫である京都で自然が美しく配置された池泉庭園を京都・旅ソムリエ、らくたび若村亮さんが案内します。

池泉庭園とは?

日本の伝統的な庭園のスタイルは「池泉庭園」、「枯山水庭園」、「露地庭園」の3つに大別されますがその一つ、池泉庭園は池を中心とした自然美あふれる庭園です。平安・鎌倉時代の主流は、池に舟を浮かべる「舟遊(しゅうゆう)式庭園」や池の周囲を巡る「回遊(かいゆう)式庭園」などで、貴族好みの華美な池泉庭園でした。その後安土桃山〜江戸時代は、大胆な石組みなどが施された勇壮な池泉庭園が大名にもてはやされます。そして明治時代以降は、山などを借景にした自然風景的な作庭に。このように時代の風潮を反映しながら変わってきた形式や趣を見るのも、池泉庭園の楽しみの一つです。

京都の池泉庭園

其の一、
庭は仏教や神仙思想などを反映した精神の空間です
其の二、
長く都として栄えたため、時代ごとの形式や趣が見られます
其の三、
歴代の作庭家による、趣向を凝らした名庭が点在しています
智積院

智積院(七条)利休好みの名勝庭園

書院の庭園は、祥雲禅寺の時代に築かれた部分と、1674(延宝2)年に僧・運敞(うんしょう)によって修築された部分があり、安土桃山・江戸、それぞれの時代の趣向を反映しているのが大きな特徴です。利休好みと伝えられる庭は、刈り込みに自然石を配して深山幽谷(しんざんゆうこく)を表し、仏教の霊山とされる中国の廬山(ろざん)をかたどって作られたと言われています。

ココがツウ

書院などの建物に座って眺める池泉庭園の形式を「池泉鑑賞式庭園」と言います。座敷から最も素晴らしい景色を眺めることができるように、石組みや樹木、手水鉢(ちょうずばち)や灯ろうなどが配されています。つい縁側に座りたくなりますが、ここはぐっと我慢して、主人や客人が座る床の間あたりから庭園を眺めてみましょう。

池泉鑑賞式庭園

智積院 大書院の庭

ここの庭もチェック!

白沙村荘

白沙村荘(出町柳)

関雪が国内外から集めた石仏や石塔が庭園内に点在

ココがツウ

日本画家の橋本関雪が、東山を借景として邸宅内に設計した緑が美しい庭園です。邸宅もあわせ、その空間そのものを楽しみましょう。

  • 10時〜16時30分(受付)
  • 大人800円・小中高大生500円 ※小学生は同伴者付の場合無料
  • 075-751-0446
  • www.kansetsu.or.jp
  • 出町柳駅から京都バス 51・55系統 市バス 17・102・203系統
    銀閣寺道下車 東へ徒歩約5分
等持院

等持院(嵐電(京福電車)等持院)

方丈西側の庭は、5月下旬から6月上旬にかけてサツキが見頃に

ココがツウ

方丈東側の庭は、天龍寺や苔寺の庭園を手がけた名作庭家・夢窓疎石(むそうそせき)の作と伝えられています。少し奥にありますがぜひ見てほしいところです。

  • 8時〜16時30分(受付)
  • 大人500円・小中生300円
  • 075-461-5786
  • 三条駅から市バス10系統 等持院南町下車 北へ徒歩約15分
    嵐電(京福)等持院駅下車 北へ徒歩約10分
制作:2008年4月
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第二回 京の名水めぐり
第一回 池泉庭園の眺め方