京都ツウのススメ
第九十回 琳派(りんぱ)
- 其の一、
- 琳派は、400年前に本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)が京都に芸術村を開いたのが始まりです
- 其の二、
- 華やかな装飾性を特徴とする作品が多く生み出されました
- 其の三、
- 3世代の芸術家によって、約100年間隔で、芸術様式が受け継がれました
琳派の始まり
琳派は、平安時代の日本画様式・大和絵の技法や題材を元に、金箔を使ったきらびやかで大胆な装飾性を特徴とし、400年もの歴史を持ちます。1615(元和元)年、本阿弥光悦は親交のあった徳川家康から京都・鷹峯(京都市北区)に広大な土地を与えられ、各分野で活躍する文化人や職人などを集めて「光悦村」と呼ばれる芸術村を開きました。そこでは絵画だけでなく、陶芸、工芸品などが生み出され、琳派発祥の地とされています。
多くの芸術家が影響を受けた様式
光悦と俵屋宗達(たわらや そうたつ)が活躍した約100年後に尾形光琳(おがた こうりん)・乾山(けんざん)の兄弟が現れ、先人である彼らの画風を取り入れつつ発展させました。さらにその約100年後には京都から江戸へと広がり、酒井抱一(さかい ほういつ)などが、後に江戸琳派と呼ばれる自由な発想と文化の担い手として、世間に知られるようになりました。作品への憧れや尊敬を表す模写も多数あり、中でも宗達、光琳、抱一が描いた風神雷神図屏風は、題材は同じですがそれぞれの個性が表現されています。現代にも琳派の様式は受け継がれ、様々な芸術家に影響を与えています。
琳派と呼ばれる芸術家たちの間には師弟関係はなく、それぞれが作風や意匠を取り込んで独自に発展させてきたものだったと考えられています。各時代の芸術家たちが直接的なつながりを持たないという特殊な形の中で発展しました。
琳派という名称は、美術史関係者が創り出した略称で、京都出身の絵師・尾形光琳の一文字をとって名付けられました。昭和40年代の美術辞書にも琳派についての解説はなく、琳派と呼ばれるようになったのは近年になってからです
制作:2015年9月
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