京都ツウのススメ

第二十五回 葵祭

華麗に繰り広げられる 平安王朝絵巻]年間300を超す祭礼があると言われる京都で最も古い祭りとして知られる葵祭。平安装束を身にまとった古式ゆかしい王朝行列をらくたびの佐藤理菜子さんがご案内します。

葵祭の基礎知識

其の一、
祇園祭・時代祭と並ぶ、京都三大祭のひとつです
其の二、
毎年5月15日に行われる賀茂社の例祭です
其の三、
祭りの一番の見所は華やかな行列が練り歩く「路頭(ろとう)の儀」です

よみがえる王朝風俗・葵祭

賀茂社(上賀茂神社と下鴨神社の総称)の例祭として知られる葵祭は、正式には「賀茂祭」と言います。祭りに奉仕する人や牛車(ぎっしゃ)を、神紋にかたどられている葵の葉で飾ることなどから、「葵祭」と呼ばれるようになったと言われています。祭りの起源は古く、飛鳥時代の欽明天皇の代に風水害による凶作が続いたため、賀茂の神々の怒りを鎮めるべく天皇の命により祭礼を行ったのが始まりとされています。平安時代には祭りと言えば葵祭を指し、『源氏物語』にもその様子が記されました。

 祭りの一番の見所は、きらびやかな平安装束をまとった行列が京都御所から下鴨神社、上賀茂神社へと向かう「路頭の儀」。行列は、天皇の使者である勅使(ちょくし)を中心にした本列と斎王代(さいおうだい)を中心とした斎王代列からなる、総勢約500人。約1kmに及ぶ行列が、新緑の都大路をあでやかに練り歩きます。

葵祭の行列 路頭の儀 下鴨・上賀茂両神社に到着すると勅使が供え物を届ける「社頭の儀」が行われます。「路頭の儀」は、その道中を彩る行列です。

近衛使代を最高位とする本列 本列

銀面を付けた馬にまたがる近衛使代

4列からなる本列は、6騎の騎馬を先頭に、検非違使(けびいし)など警護の列、内蔵寮史生(くらりょうのししょう)など天皇からの供え物を運ぶ列が巡行。続いて行列中の最高位である近衛使代を中心とした勅使列、勅使のお供で雅楽を演奏する陪従(べいじゅう)などの列が続きます。

ココがツウ

明治時代の東京遷都により京都御所には天皇が不在となりましたが、現在も東京から勅使が参列しています

斎王代を中心とする女人列 斎王代列

腰輿に乗る斎王代

斎王とは巫女(みこ)として神に奉仕した未婚の皇女のことで、現代ではその代役として「斎王代」が参列します。祭りのヒロインとして十二単(じゅうにひとえ)をまとい、腰輿(およよ)という輿(こし)に乗って、華麗な女官たちに続いて登場します。

ココがツウ

女人列の最後を飾る斎王代の牛車からは、十二単のすそがのぞいています。これを出衣(いだしぎぬ)と呼び、高貴な人の姿をすその部分で見せるという京の奥ゆかしさを表しています

行列コースと先頭通過予定時刻
路頭の儀
  • 5/15(土) ※雨天時は翌日
    行列出発:10時30分
  • 075-781-0010(下鴨神社)
  • shimogamo-jinja.or.jp
  • 京都御所:神宮丸太町駅・出町柳駅下車
    西へ徒歩約10分
  • 下鴨神社:出町柳駅下車 北へ徒歩約10分
  • 上賀茂神社:出町柳駅から京都バス 32・34~37系 統市バス 4系統 上賀茂神社前下車すぐ

※コースは変更される場合があります

行列を飾る「葵柱」

葵祭では葵と桂を飾ります。これは、賀茂社の祭神が誕生の際に発した「葵と楓(後に桂に変化)の飾りを作ってまつりなさい」(『年中行事秘抄』より)とのお告げに基づく風習と言われています。

ココがツウ

春に花を付ける双葉葵(ふたばあおい)は、賀茂社の祭礼に使われることから賀茂葵(かもあおい)とも呼ばれます。賀茂社を信仰した徳川家は、この葵を図案化した「三つ葉葵」を家紋にしています

葵祭写真提供:星野佑佳

ハレの日のごちそう 鯖ずし

葵祭の日、賀茂社の氏子や近隣の家庭の食卓には鯖ずしが並びます。京都では祭りの日や祝い事のある“ハレの日”に付きもののごちそう。かつて、貴重な海産物として珍重された鯖を、縁起をかついでめでたい日に食べようと、京の町衆が生んだ食文化のひとつです。

鯖街道 花折 下鴨店

下鴨神社のすぐそば。日本海産の真鯖を使った「鯖寿し」が人気のお店です。

  • 9時~18時 ※食事は15時30分(L.O.)まで
  • 075-712-5245
  • www.hanaore.co.jp
  • 出町柳駅下車
    北へ徒歩約10分
制作:2010年4月
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