
第142回
京の社寺と動物

第142回
京の社寺と動物

石清水八幡宮
京阪的京都ツウのススメ
第142回 京の社寺と動物
社寺ゆかりの動物
京都の社寺にはいろいろな動物の石像やお守りなどがあります。その動物たちの意味を、らくたびの田中昭美さんが説明します。
京の社寺と動物の基礎知識
其の一、
古来より、自然界には様々な神仏が存在すると考えられていました
其の二、
人々は、動物や空想上の生き物も神仏の使いとして見るようになりました
其の三、
社寺によって、まつられる動物や意味が異なります
神社や寺院にいる動物は神仏の使い
古来、自然の中に神様の存在を感じてきた日本人は、動物や空想上の生き物たちを神仏の使いとし、神仏の気持ちを代行すると考えていました。例えば、稲作文化が定着して行く中で、穀物を食い荒らす鼠(ねずみ)を食べる狐が稲の神(=稲荷大明神)の使いとなったという説があります。また、禅宗寺院の法堂の天井に描かれている龍は、釈迦が生まれた時や悟りを開いた時に龍が駆け付けたと伝わることから、仏教の守護獣とされています。
様々な形で社寺を守る動物たち
社寺には多くの動物がまつられており、魔除けとして入り口や本殿・本堂の脇に置かれる狛犬、狛鳩(こまばと)、狛猪(こまいのしし)などが代表的です。動物をモチーフにした像・お守り・お札などもあり、いろいろな形で社寺を守り続けています。まつられている動物の意味を知ると、社寺参拝がもっと楽しくなりそうです。
由来になるほど!
社寺と動物の深いつながり
この神社・寺院にはなぜこの動物が?その理由を知ると社寺参拝がより面白くなります。
龍(りゅう)妙心寺/右京区・建仁寺/東山区・貴船神社/左京区など

妙心寺
禅寺の多くでは、法堂(はっとう)の天井に龍が描かれています。龍は仏教を守護する異教8種の神・八部衆(はちぶしゅう)のひとりで龍神とも呼ばれ、法の雨〈仏教の教え〉を降らすと言われています。また、龍神は水を司ることから「火災から守る」というご利益があり、水神として神社でもまつられています。
牛(うし)北野天満宮/上京区

祭神・菅原道真が丑(うし)年生まれで、丑の月・丑の日に亡くなったことが理由のひとつです。また、道真が九州の太宰府へ向かう際に乗っていた牛が刺客から守ったなどの説があり、ゆかりの深い動物です。
狐(きつね)伏見稲荷大社/伏見区

稲荷大明神の使いである狐は、野山の狐ではなく、目には見えない存在であるため白〈透明〉の白狐(びゃっこ)です。
猫(ねこ)檀王法林寺(だんのうほうりんじ)/左京区

古くからまつられている主夜神(しゅやじん)の使いが猫。江戸時代中期に作られた右手を挙げた黒い招き猫が有名です。
社寺に置かれた招き猫としては最古のものと伝えられています
鳩(はと)石清水八幡宮/八幡市・三宅八幡宮/左京区

三宅八幡宮
宇佐八幡宮(現・大分県の宇佐神宮)の八幡神を全国にまつる際、白い鳩が使者の道案内をしたと言われることから神の使いに。
烏(からす)新熊野神社(いまくまのじんじゃ)/東山区・熊野神社/左京区・熊野若王子神社(にゃくおうじじんじゃ)/左京区

平安時代に紀州(現・和歌山県)の熊野大神を勧進して創建。神武天皇の道案内をした3本足の八咫烏(やたがらす)は、全国にある熊野神社に関係する神社の御神鳥です。
狸(たぬき)狸谷山不動院(たぬきだにさんふどういん)/左京区

平安京造営の際、北東の鬼門守護として一乗寺村の狸谷に創建された寺。参拝者たちが、地名や本尊の咤怒鬼(たぬき)不動明王にちなんで狸の置き物を置いていきました。
狸の置き物は、願掛けのために、また、願いが叶ったお礼として置かれ、増えていきました
馬(うま)藤森神社/伏見区

菖蒲(しょうぶ)の節句発祥と言われる神社。“勝負”にかけて勝ち運と馬の神様として親しまれ、馬の神事である駈馬(かけうま)神事も行われています。
虎(とら)鞍馬寺/左京区

鞍馬寺を開山した鑑真(がんじん)の高弟・鑑禎(がんてい)が、寅(とら)の年・寅の月・寅の日・寅の時刻に鞍馬山にたどり着いたことや、本尊の毘沙門天の使いが虎であることに由来します。
猪(いのしし)護王神社(ごおうじんじゃ)/上京区

平安京遷都に尽力した和気清麻呂(わけのきよまろ)を祭神とする神社。天皇の位を奪おうとした僧・道鏡(どうきょう)のたくらみを阻止した清麻呂が、道鏡に足を切られるも猪の守護で歩けるようになった故事にちなみます。
猪を使いとする摩利支天(まりしてん)をまつる建仁寺の塔頭・禅居庵(ぜんきょあん)も猪の寺として知られています
※由来には諸説あります

ナビゲーターらくたび 田中 昭美さん
らくたびは、京都ツアーの企画を行うほか、京都学講座や京都本の執筆など、多彩な京都の魅力を発信しています。
制作:2020年2月

