京都ツウのススメ
第二十一回 京の幕末
- 其の一、
- 天皇が住んでいた京都御所を中心に幕末の動乱が始まりました
- 其の二、
- 新選組や坂本龍馬をはじめ、多くの志士たちが上洛しました
- 其の三、
- 二条城で政権を朝廷に返す「大政奉還」が行われました
動乱の始まり
1853(嘉永6)年、アメリカからペリー率いる黒船が神奈川県浦賀に来航し、開国を迫りました。翌年にはロシアからプチャーチンが長崎に来航し、条約締結を求めました。迫り来る西洋列強に対する危機感から、外国人を武力で排斥しようという攘夷(じょうい)論が高まり、やがて天皇を尊ぶ尊王思想と結びついて、倒幕運動へと発展します。天皇が住んでいた京都は、天皇中心の政治を目指す倒幕派が集まるようになり、幕府を守ろうとする佐幕派との抗争の舞台となりました。
時代のうねり 大政奉還
様々な策略が渦巻く幕末の京都には、信念を持って抗争に身を投じる多くの志士たちが集いました。維新三傑と呼ばれる西郷隆盛・大久保利通・桂小五郎、京都の治安維持のために結成された新選組、薩長同盟成立に奔走した坂本龍馬ら、自らの命を惜しまぬ志士たちの闘いの果て、江戸幕府はついに終わりの時を迎えます。1867(慶応3)年10月14日、第15代将軍・徳川慶喜は二条城で大政奉還を表明。これにより265年続いた江戸時代は幕を閉じ、明治という新しい時代が誕生しました。
薩長同盟…薩摩藩と長州藩の間で締結された軍事同盟。

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●神宮丸太町駅・
出町柳駅下車
西へ徒歩約10分


長州勢が猛攻をかけた蛤御門には、当時の弾痕と思われる傷跡が残っています

紫宸殿(ししんでん)を中心とする天皇のかつての住まい。激動の幕末は京都御所を中心に政局が展開。「猿ヶ辻の変」「蛤御門(はまぐりごもん)の変」など、歴史を揺るがす様々な事件が起こりました。



土佐藩士。脱藩後、中岡慎太郎らとともに薩長同盟を成立させ、大政奉還の実現に尽力しましたが、1867(慶応3)年、京都・近江屋にて暗殺されました。



1862(文久2)年、薩摩藩の内紛の場となった寺田屋事件と、1866(慶応2)年、坂本龍馬が伏見奉行所の幕吏(ばくり)に襲撃され、後の妻・お龍(りょう)の機転によって難を逃れたというふたつの事件の舞台となりました。
- ●中書島駅下車 北へ徒歩約5分

龍馬は河原町三条下ルに今も残る酢屋の2階に海援隊京都本部を置きました


倒幕とは薩摩・長州藩を中心とする反幕府運動のこと。天皇に政治の実権を返すことを目標とし、これに外国勢力を武力で追い払う攘夷論が結びついたのが「尊王攘夷」です。一方、佐幕とは「幕府を補佐する」という意味。幕府の存続を支持し、倒幕派の反対勢力として佐幕派と呼ばれます。


長州藩士。京都の芸妓・幾松(いくまつ)との恋でも有名。長州藩の代表として薩長同盟を締結。明治維新後も活躍した幕末志士のひとり。


新選組局長。京都守護職の下で土方歳三らとともに新選組を組織。尊王攘夷派の志士たちを弾圧しました。




長州藩のクーデター計画を阻止すべく、1864(元治元)年、尊皇攘夷派の志士の密会を察知した近藤勇らは旅館・池田屋を襲撃し、有力者を討ち果たしました。

池田屋騒動では三条大橋付近でも戦いが繰り広げられ、三条大橋の擬宝珠(ぎぼし)にはその時の刀傷が伝えられています





江戸幕府第15代将軍にして最後の将軍。弱体化した幕府を立て直そうとしましたが叶わず、大政奉還を行い、新政府軍への江戸城無血開城を断行しました。



1867(慶応3)年、将軍・徳川慶喜は在京40藩の重臣を二条 城に集めて政権を朝廷に返す意を表明。翌日、朝廷がこれを受け入れ、歴史的な「大政奉還」が実現しました。
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●地下鉄二条城前駅
下車すぐ
写真提供:元離宮二条城事務所(二条城)、宮内庁京都事務所(京都御所)、国立国会図書館(桂小五郎・近藤勇)、
高知県立坂本龍馬記念館(坂本龍馬)、茨城県立歴史館(徳川慶喜)
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