京阪沿線でお気に入りのアートを見つけよう!
アートと巡る建物探訪
Vol.6
藤田美術館

明治時代の実業家・藤田傳三郎(でんざぶろう)のコレクションを保存・展示している藤田美術館。2022年に敷地を囲っていた高い塀を取り払って建物を一新。ガラス張りの開放的な空間となり、注目を集めています。
代々伝わる古美術品を次世代へとつなぐため
知る人ぞ知る蔵から、開かれた美術館に様変わり
藤田家邸宅の蔵を展示室にした藤田美術館は、1954(昭和29)年に開館しました。しかし「近所の方もその存在を知らなかった」と館長の藤田清さんが語るように、長らく愛好家などごく限られた人だけが知る美術館でした。老朽化に伴い、2017(平成29)年に一時閉館。藤田館長が陣頭指揮を執り、リニューアルに向けて動き始めました。
名付けて『あみじまプロジェクト』。館名ではなく所在地名とした意図を次のように話します。「美術館が街に与える影響は大きいので、単なるリニューアルにとどまらず、ここが地域活性化の起爆剤のひとつになれたらという思いを込めて、この名称で進めました」。
塀を取り払い、道路に面した建物の外壁は全面ガラス張りに。エントランスには蔵を思わせる漆喰の白壁が広がり、展示室はその奥にあります。入り口の装飾や鉄扉などは旧建物のものを再利用。また「“今から蔵に入る”という気持ちを高めてもらいたい」と、展示室の手前には、低い天井のほの暗い空間や、静謐(せいひつ)な土壁の空間も設けました。
展示室には美術品をより良く見せる工夫が随所にあり、照明もそのひとつです。「作品が生まれた時代や環境に近づけるため、照明はろうそくや障子越しの光をイメージしています。通常、美術館では絶対に使わない色ですが、建物すべての照明を黄色にすることで目が慣れるので、違和感なく見てもらえます」。
コレクションを次世代に継承していくためにも「まずは美術館に来てほしい」と藤田館長。エントランスには茶屋も併設、誰もが利用できる空間へと大きく舵を切ることで、藤田美術館そのものを「広く見せる場」へと生まれ変わらせました。
展示室の壁は可動式で、テーマごとにレイアウトを変更。また、じっくりと鑑賞できるよう、展示品の数も絞られています。 展示室を出たギャラリーでは、蔵で使われていた鉄窓がお出迎え。四季折々の姿を見せる日本庭園を、額縁のように切り取ってくれます。 夕方になると庭園の竹林の影が外壁に映り、まるでモノトーンのアートのよう。絶好の撮影スポットとして広い世代が集います。
漆喰(しっくい)の白壁と土壁は左官職人の久住有生さんが手掛けました。すべて手塗りで、特に土壁の天井の角の部分は難易度が高かったそうです。
館長 藤田 清(ふじた きよし) さん
1978年生まれ。藤田傳三郎から数えて5代目にあたる藤田家五男。2002年から学芸員として藤田美術館に勤務。2013年に館長就任。茶道や近代建築にも精通しており、美術館のホームページでは茶人との対談や建築評論などを展開。
毎月新たなテーマを設けそれぞれ3カ月間展示
6月 | 7月 | 8月 |
---|---|---|
禅 | 贅 | |
旅 | 顔 | |
鱻 |
「国宝 曜変天目茶碗」
※「禅」にて展示 藤田美術館所蔵
藤田美術館
- 10時~18時
- 06-6351-0582
- 大阪市都島区網島町10-32
- 京橋駅下車 南西へ徒歩約10分
藤田美術館周辺のアートの余韻を楽しむスポット
ブロード

ビルの地下にある隠れ家のようなビストロ。全国から仕入れた野菜や群馬県産上州豚など、シェフの目利きで選んだ素材を使用。ローストビーフや鮮魚のポワレなど、ディナーは肉・魚料理ともに充実しています。
- 11時~14時30分(L.O.) 18時~23時(L.O.)
日曜休業 - 06-6882-0707
- 大阪市都島区片町2-10-6
- 京橋駅下車 南西へ徒歩約5分
tables cook & jonathan's bookstore
タブレス クック & ジョナサンズ ブックストア

ブックコーディネーターが選んだ本を読みながらフードやドリンクを味わえるブックカフェ。定番のパンケーキや季節のフルーツを使用したパフェなどスイーツが人気です。また、ハンバーグやドリアなど軽食もそろいます。
- 11時~21時(L.O.) 不定休
- 06-6949-8699
- 大阪市都島区東野田町2-1-38 京阪モールホテル館2階
- 京橋駅下車すぐ
おけいはんポイント進呈
※一部店舗・サービス・商品を除く
e-kenet VISAカードで支払いまたは提示・現金支払いで割引や記念品進呈など
(e-kenetポイント専用カードは対象外)