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アートと巡る建物探訪

Vol.11

国立国際美術館

国立国際美術館

2024年11月に新築移転20周年を迎える大阪・中之島の国立国際美術館。世界的にも珍しい地下3階構造で、設計はニューヨーク近代美術館の増築などを手掛けたアメリカの建築家、シーザー・ペリが担いました。

目印は地中から地上へと伸びるモニュメント。現代アートを発信する完全地下型美術館

目印は地中から地上へと伸びるモニュメント
現代アートを発信する完全地下型美術館

国内外の現代アート作品を中心に収集・保管・展示する国立国際美術館。前身の建物は大阪府吹田市の万博記念公園内にあった万国博美術館で、1995(平成7)年の阪神・淡路大震災で被災したことを機に移転し新築することになりました。
移転先は大阪市立科学館の敷地の地下。現在、文化や学術の集積地として再開発中の中之島西部地区で、2004(平成16)年に先駆けて開館しました。「地下という閉塞的な印象を払拭したい」という美術館側の意向を、設計者のシーザー・ペリが丁寧に汲んだと館長の島敦彦さんは言います。「1階のエントランスゲートの屋根をガラス張りにすることで、地下3階から地上まで続く吹き抜け空間に自然光が降り注ぎ、開放的な空間が生まれました。地下1階から地上へと伸びるモニュメントの支柱の角度も、時間帯で異なる自然光との調和が反映されるように考慮されています」。

国立国際美術館地上の目印は、高さ約50m、幅約60mのステンレス製パイプの巨大なモニュメントです。地下からニョキニョキと生えているようにも見えるデザインで、モチーフは竹。「ペリ氏は、モニュメントにこの美術館がグイグイと成長していくイメージを託してくれました」と話す島館長。また、移転前に所在した万博記念公園は、かつて竹林が広がる丘陵地だったことから、その記憶も引き継いでいます。
島館長は「パイプのモニュメントは、僕には帆にも見えます。この美術館をひとつの船として、川を伝って大阪湾から世界へと出航していくイメージです」と話します。絵画・彫刻・版画・写真など約8,200点に及ぶコレクションを有し、1945(昭和20)年以降の現代アートを発信する国立国際美術館。フラッグシップとしても文化の地・中之島をけん引しています。

  • 吹き抜け空間に展示されているスペインの画家、ジョアン・ミロの陶板壁画。天井から降り注ぐ自然光により様々な表情を浮かべます。

    吹き抜け空間に展示されているスペインの画家、ジョアン・ミロの陶板壁画。天井から降り注ぐ自然光により様々な表情を浮かべます。

  • 自然光と照明が調和した、やわらかくほのかな明かりが印象的な地下3階の展示室入口。静かで穏やかな空気が漂っています。
    自然光と照明が調和した、やわらかくほのかな明かりが印象的な地下3階の展示室入口。静かで穏やかな空気が漂っています。
  • 高松次郎の壁画「影」は、既存の建築デザインに合わせて制作するコミッションアートという方式で1977(昭和52)年に作られました。
    高松次郎の壁画「影」は、既存の建築デザインに合わせて制作するコミッションアートという方式で1977(昭和52)年に作られました。

国立国際美術館 館長 島 敦彦 さん

展示室の床には木の断面が見える「木口(こぐち)」を使用しています。お客さまの歩く靴音が響かず、落ち着いて鑑賞してもらえると思います。

国立国際美術館 館長 
島 敦彦(しま あつひこ) さん

1956(昭和31)年、富山県生まれ。早稲田大学理工学部金属工学科卒業。1992(平成4)年より国立国際美術館に勤務。後に愛知県美術館館長、金沢21世紀美術館館長を歴任し、2021年4月より現職に就任。

今後の主な展示

特別展「梅津庸一 クリスタルパレス」

10月6日(日)まで

特別展「線表現の可能性」

11月2日(土)~2025年1月26日(日)

特別展「梅津庸一 クリスタルパレス」

SPOT DATA

国立国際美術館

  • 10時~16時30分(入場)
    ※金・土曜は19時30分(入場)まで
    月曜(祝・休日は翌日)休館 ※ほか休館日あり
  • 06-6447-4680
  • 大阪市北区中之島4-2-55
  • 渡辺橋駅下車 南西へ徒歩約5分

国立国際美術館周辺のアートの余韻を楽しむスポット

CAFE

BOOCHiCブーチック

ライスなどが付く「手ごねチーズハンバーグ/1,550円」。平日の14時までは1,390円、さらに+200円でドリンクバーがセットに
ライスなどが付く「手ごねチーズハンバーグ/1,550円」。平日の14時までは1,390円、さらに+200円でドリンクバーがセットに

ヨーロピアンクラシックなインテリアとシャンソンのBGMが非日常感を演出するカフェ。14時までのランチタイムはカレーやグラタンなど5種類のメニューを用意。カフェタイムは季節のフルーツを使ったスイーツが人気です。

  • 11時30分~17時(L.O.)
    不定休
  • 06-6136-5008
  • 大阪市北区中之島3-6-32 ダイビル本館 2F
  • 渡辺橋駅下車 西へ徒歩約5分
SWEETS

PALM Dolce&Crêpe1987パーム ドルチェアンドクレープ1987

自家製イチゴジャム、チョコレートなどをトッピングしたクレープ「ストロベリー&チョコレート/1,081円」
自家製イチゴジャム、チョコレートなどをトッピングしたクレープ「ストロベリー&チョコレート/1,081円」

フランス・ヴィロン社の小麦を使用した、しっとりモチモチ食感の生地が好評のクレープとガレットの専門店。スイーツ系から食事系まで幅広いメニューがそろいます。
※クレープ、ガレットともワンドリンクオーダー制

  • 11時30分~17時
    18時~21時(L.O.)
    ※土・日・祝・休日は11時~21時(L.O.)
    水曜休業
  • 06-6940-7899
  • 大阪市福島区福島1-2-17
  • 中之島駅下車 北へ徒歩約5分
制作:2024年9月
バックナンバー
Vol.1 大阪中之島美術館
Vol.2 京都市京セラ美術館
Vol.3 京都文化博物館(別館)
Vol.4 京都国立博物館(平成知新館)
Vol.5 こども本の森 中之島
Vol.6 藤田美術館
Vol.7 京都国際マンガミュージアム
Vol.8 京都府立堂本印象美術館
Vol.9 京都国立近代美術館
Vol.10 龍谷ミュージアム
Vol.11 国立国際美術館