京阪沿線でお気に入りのアートを見つけよう!
アートと巡る建物探訪
Vol.9
京都国立近代美術館
平安神宮をはじめ美術館やコンサートホール、動物園などが点在する京都・岡崎エリア。そのランドマークでもある朱色の大鳥居の西隣に、日本を代表する建築家のひとり、槇文彦が設計した京都国立近代美術館がたたずんでいます。
神殿のような白亜の大階段がシンボル
京都を代表する景勝地を堪能できる美術館
岡崎エリアの一角に位置する京都国立近代美術館。前身は1963(昭和38)年に設置された国立近代美術館京都分館で、その4年後に現在の名称で独立しました。1986(昭和61)年に竣工した現在の建物は、建築界のノーベル賞とも言われるプリツカー賞などを受賞した世界的にも著名な建築家・槇文彦の設計です。
館内に入ってまず目に飛び込んでくるのは真っ白な大階段です。3階の企画展示室に直接つながっており、踊り場の天井は最上階まで吹き抜けに。天井のガラスを通して自然光が降り注ぎ、刻々と表情を変えています。
「この大階段が槇建築の最大の特徴。大理石の壁面には丸や三角などのデザインがあしらわれ、遊び心のある意匠がアクセントになっています」と話す館長の福永治さん。
また、外壁はポルトガル産の花こう岩を使用し、壁面に浮かび上がる格子線は碁盤の目がモチーフ。正面玄関は左右対称のデザインになっています。建物は岡崎エリア内にあるため、景観保全の観点から平安神宮の大鳥居より高く建てることができません。ですが、だからこそ見られる最上階からの景色は唯一無二のものと福永館長は続けます。「4階ロビーでは、高い位置から大鳥居を間近に見ることができます。ほかにも帝冠様式の京都市京セラ美術館や東山の山頂にある将軍塚青龍殿なども望めます」。
窓の向こうに広がる東山のパノラマ、南東の階段から眺められる白川など、館内からしか見られない景色が楽しめるスポットも随所に点在しています。「岡崎エリアという京都を代表する文化の集積地にお越しになったその足で、京都ゆかりの工芸や絵画とともに、美術館の窓から見える景色も楽しんでください」。
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チケットなしで入場できる4階ロビーからは、平安神宮の大鳥居や東山の山並みを一望。窓に向かってベンチが並ぶ、くつろぎの空間です。
館内で1番好きな場所はやはり4階ロビーですね。四季折々に色付く光景を見るたびに、ほっと落ち着きます。
京都国立近代美術館 館長
福永 治(ふくなが おさむ) さん
1955(昭和30)年生まれ、広島県出身。広島市現代美術館の館長などを経て、2021年に京都国立近代美術館の館長に就任。「京都のやきものの先達たち−明治から現代まで」など著書も多数。
『開館60周年記念
小林正和とその時代
─ファイバーアート、その向こうへ』
3月10日(日)まで
『没後100年 富岡鉄斎』
4月2日(火)~5月26日(日)
小林正和《KAZAOTO-87》
1987年 国立国際美術館蔵
京都国立近代美術館
- 10時~17時30分(入館)
※企画展開催中の金曜は19時30分(入館)まで
月曜(祝日は翌日)休館 - 075-761-4111
- 京都市左京区岡崎円勝寺町26-1
- 三条駅下車 北東へ徒歩約15分/地下鉄東山駅下車 北東へ徒歩約10分
京都国立近代美術館周辺のアートの余韻を楽しむスポット
Three HORSESスリー ホースィズ
白川沿いにあるスタイリッシュなカフェ。窓際やテラス席からは、平安神宮の大鳥居が望めます。スコーンをはじめ、手作りのスイーツやドリンクのほか、キッシュやサーモンサンドなどが選べるワンプレートランチも人気です。
- 9時~17時 ※土・日・祝日は18時まで
第3木曜休業 - 080-2579-1050
- 京都市左京区岡崎円勝寺町65
- 三条駅下車 北東へ徒歩約15分/地下鉄東山駅下車 北東へ徒歩約10分
茶と糀 つきあかりちゃとこうじ つきあかり
フレンチと和食で経験を積んだシェフによる発酵料理店。塩麹(こうじ)や麹甘酒などの調味料は手作りで、旬の食材と合わせた体に優しい料理を提供。鈴鹿山脈の豊かな自然に育まれた、滋賀県甲賀市産のほうじ茶も味わえます。
- 11時~14時30分(L.O.)
17時~20時(L.O.) ※夜は要予約
水曜休業 ※ほか月1回不定休あり - 075-754-8544
- 京都市左京区正往寺町462-2
- 三条駅下車 北東へ徒歩約10分/地下鉄東山駅下車 北西へ徒歩約10分