京阪沿線でお気に入りのアートを見つけよう!
アートと巡る建物探訪
Vol.3
京都文化博物館(別館)
多彩な企画展示から映画の上映まで行っている京都文化博物館。
三条通に面する別館は、辰野金吾らが設計した旧日本銀行京都支店で、国の重要文化財にも指定。近代建築が立ち並ぶ三条通のシンボル的存在です。
建築家の辰野金吾らが日本近代化への気概を込めた
明治時代を代表する西洋建築
日本銀行京都出張所(後の京都支店)として1906(明治39)年に竣工した京都文化博物館別館。設計は東京駅の設計を手掛けた建築家・辰野金吾と、その弟子の長野宇平治です。赤レンガに白い花崗岩のラインが特徴的な外壁は「辰野式」と呼ばれるデザインで、その中でも初期のものとして知られています。
日本銀行京都支店が移転する1965(昭和40)年まで営業し、平安博物館を経て1988(昭和63)年に現博物館の別館となり、現在は一般公開されています。吹き抜けの天井を貫くコリント式の列柱が堂々とした存在感を放つメインホールは、元は銀行業務を行う営業室。「営業室の床材は、植物由来の建材・リノリウムを竣工当時から使用しています。設計段階で導入を決めましたが、当時、日本にリノリウムはなかったので、わざわざドイツから輸入したそうです。働く人が動きやすいように、と継ぎ目がないのも特徴のひとつです」と学芸員の村野正景さんは語ります。待ち合い室と営業室を隔てるカウンター上のスクリーンや壁面、天井の格子窓など、明治という時代を感じられる装飾も随所に施されています。
歴史的建造物が残る三条通で、周辺の景観を保全するための重要な役割も担っています。「例えば、隣接する三条通沿いの建物は別館の正面玄関より前にせり出してはいけないなど、重要文化財建造物の景観に対する京都府内のガイドラインの基点になりました」。
時代の転換期に建てられた別館は、日本の近代化の象徴でもあります。「当初は町家で営業していた日本銀行京都出張所は、三条高倉への移転を機に堅固な洋風建築になりました。そこには“両替商”ではなく“銀行”という新たな金融機関を通して新しい社会を作るという意図もありました」と話す村野さん。『西洋に負けない、強い国家にしたい』という辰野らの気概を今に伝えています。
お気に入りは椅子が置いてある中庭。休憩中はここでリラックスしています。中庭に面した金庫棟も重要文化財に指定されています。
京都文化博物館 学芸員
村野 正景(むらの まさかげ) さん
2011年京都文化博物館学芸員に着任。重要文化財建造物担当。「京の三条まちづくり協議会」などと連携し、別館を3D計測してデ ータ保存する取り組みを行う。金沢大学古代文明・文化資源学客員准教授。
京都文化博物館(別館)
- 10時~19時30分 月曜(祝日は翌日)休館
- 075-222-0888
- 京都市中京区東片町623-1
- 三条駅下車 西へ徒歩約15分/
地下鉄烏丸御池駅下車 東へ徒歩約5分
京都文化博物館(別館)周辺のアートの余韻を楽しむスポット
Café MALDAカフェ マルダ
「体と環境に優しく、おいしいものを美しく」がコンセプトのカフェ。厳選したオーガニック食材を中心に、ヴィーガンやグルテンフリーのお菓子を手作りで提供。「米粉のメープルマフィン/410円」も定番の人気商品です。
- 11時30分~16時30分(L.O.)
※ランチは14時(L.O.)
月・火曜休業 - 075-606-5385
- 京都市中京区丸木材木町684
- 三条駅下車 北西へ徒歩約15分/
地下鉄烏丸御池駅下車 東へ徒歩約5分
松之助京都本店まつのすけ きょうとほんてん
アメリカンケーキ専門のパティシエによるアップルパイとスイーツのお店。アップルパイはたっぷりの生のリンゴとサワークリームを重ねて焼き上げています。常時7種類あるニューヨークスタイルのパンケーキも好評です。
- 9時~17時30分(L.O.)
※パンケーキは14時(L.O.)
火曜休業 - 075-253-1058
- 京都市中京区亀甲屋町605
- 三条駅下車 北西へ徒歩約15分/
地下鉄烏丸御池駅下車 東へ徒歩約5分
営業情報は通常のものを記載していますが、政府および地方公共団体の要請により、時間を短縮するなど変更になる場合があります。