京阪沿線でお気に入りのアートを見つけよう!
アートと巡る建物探訪
Vol.4
京都国立博物館(平成知新館)

和の趣を感じる京都国立博物館の「平成知新館」。設計はアメリカ・ニューヨーク近代美術館新館も手掛けた建築家・谷口吉生(よしお)です。明治時代に開館した「明治古都館」をはじめ、この地に刻まれた歴史を意匠に反映しています。
平成の現代建築と明治の西洋建築が並ぶ
千年の都の息遣いを感じられる博物館
約5万km2の広大な敷地面積を誇る京都国立博物館。平安時代後期には後白河法皇の御所があり、鎌倉時代には六波羅政庁が設置され、安土桃山時代には豊臣秀吉が方広寺を建立するなど、厚い歴史の上に築かれています。
2014(平成26)年に開館した平成知新館には、そんな歴史の一端を感じられるモニュメントが随所にあります。「平成知新館を建設する際の発掘調査で、方広寺の南門と回廊跡が出土しました。入口周辺の水盤の中に二重の輪のような金属がありますが、これは回廊の礎石跡に合わせて置いています」と館長の松本伸之さん。
敷地内にある明治古都館は1897(明治30)年に開館しました。“宮廷建築家”と呼ばれた片山東熊(とうくま)の設計で、ヨーロッパの視察で得た様々な建築様式を盛り込んだモダン建築です。一方、平成知新館はスタイリッシュな現代建築。そこに格子やひさし、すだれといった伝統的な日本家屋を連想させるモチーフを取り入れ、グランドロビーや通路には曇りガラスを通して障子から差し込むようなやわらかな自然光が降り注いでいます。
明治維新後の日本は西洋諸国に負けまいと産業育成・富国強兵策に突き進み、文化財を保護する環境は荒れ果てていました。加えて京都はさらなる危機的状況にありました。「東京に遷都したことで人口が減少した京都は、衰退する恐れもありました。それだけに町をあげて文化や伝統、繁栄を守ろうという意識は強くあったと思います」と松本館長。平成知新館もその意志を継承し、現在でも最新技術を用いて文化財の保護や活用に努めています。
「さらに人が集う場所になれば」と、これからの京都国立博物館の役割について考えます。展示のほか、グランドロビーや明治古都館では音楽イベントなども開き、多くの人が博物館へ足を運ぶ機会を設けています。
自然光が遮断されトーンを落とした照明の展示室とは対照的に、緑あふれる庭園や京都の街が見渡せる明るい空間のグランドロビー。 1895(明治28)年に竣工した明治古都館。現在は免震改修工事で展示を休止していますが、正面玄関に施されたレリーフなどを見学できます。 写真右の袖塀は、明治古都館、表門とともに重要文化財に指定されています。史跡の方広寺石塁と隣接し、交差する歴史を物語っています。

庭園にも平安京に関連するものや、歴史的に重要な石塔や石仏などがたくさん展示されています。ぜひ散策してみてください。
京都国立博物館 館長
松本 伸之(まつもと のぶゆき) さん
京都国立博物館館長。東京国立博物館副館長、奈良国立博物館館長などを歴任し、2021年に就任。専門は彫刻・工芸。日本・中国を中心にアジア各地の古代から近世にかけての彫刻史と工芸史を研究。
京都国立博物館
- 9時30分~16時30分(入館)
月曜(1/2・9を除く)、12/27(火)~1/1(日・祝)・10(火)休館 - 075-525-2473(テレホンサービス)
- 京都市東山区茶屋町527
- 七条駅下車 東へ徒歩約5分
京都国立博物館周辺のアートの余韻を楽しむスポット
CAFE attmos,カフェ アットモス

祇園の和食割烹「ぎをん今(こん)」が展開するカフェで、フルーツをふんだんに使った華やかなスイーツが人気です。和食料理人の繊細かつ丁寧な手仕事が光るパフェは都度デザインが変わり、旬のおいしさも味わえます。
- 9時~16時30分(L.O.)
※1/3(火)・4(水)は10時から
12/25(日)~1/2(月・休)休業 ※ほか不定休あり - 070-1847-8818
- 京都市東山区下馬町490
- 七条駅下車 北東へ徒歩約15分
Kyoto Beer Labキョウト ビア ラボ

高瀬川沿いのクラフトビール醸造所で、常時8種類のテイストが並びます。人気は京都府・和束(わづか)町産の茶葉を用いたクラフトビール。深蒸し茶やほうじ茶とホップという斬新な組み合わせを出来立てで味わえます。
- 15時~21時30分(L.O.) ※土・日・祝日は13時から
- 075-352-6666
- 京都市下京区十禅師町201-3
- 七条駅下車 北西へ徒歩約5分
営業情報は通常のものを記載していますが、政府および地方公共団体の要請により、時間を短縮するなど変更になる場合があります。