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アートと巡る建物探訪

Vol.13

大阪市立美術館

大阪市立美術館

1936(昭和11)年に開館し、間もなく90周年を迎える大阪市立美術館。3月1日(土)には、開館以来初の約2年5カ月におよぶ大規模改修工事を経てリニューアルオープン。館内は本来の輝きを取り戻しつつ、さらなる進化を遂げました。

より美しく、明るく、オープンに 大規模改修を経て、よみがえる美の殿堂

より美しく、明るく、オープンに
大規模改修を経て、よみがえる美の殿堂

大阪・天王寺公園内にたたずむ大阪市立美術館は、日本で3番目に古い公立美術館です。その敷地は、元は住友家の本邸と庭園・慶沢(けいたく)園で、1921(大正10)年に用地が住友家から大阪市に寄贈されました。
登録有形文化財指定の建物は、土蔵をイメージした左右対称の鉄筋コンクリート造りで、当時の大阪市職員が設計。館長の内藤栄さんは、そこに大阪らしさを感じると話します。「当館とほぼ同時期に作られた東京や京都の博物館と美術館は帝冠様式のお城のような外観で、戦前の日本の雰囲気を感じさせます。そんな中、蔵のイメージで設計したところに、商人の町らしい気概を感じます」。
この度の改修工事では、1977(昭和52)年に設置され、美術館のシンボルとして親しまれてきた中央ホールのシャンデリアを、耐震強化のため惜しくも撤去することに。しかしそれが、予想外の展開になったと内藤館長は続けます。「シャンデリアと一緒に貼られた天井も撤去したところ、隠れていた本来の天井が現れました。天井は開館当時のものを復元しようと計画していたので、これには本当に驚きました。白さも当時のままで、塗り直しもしていません」。天井を支える大理石の柱も、呼応するように自然と輝きを放ち、中央ホールがさらに明るくなりました。
一方、「ひらかれたミュージアム」というコンセプトのもと、館内は大きくリニューアル。かつての正面玄関の下にエントランスを新設し、外の大階段を使わず地上からダイレクトに入館できるように。また、慶沢園を望むカフェなど入館無料のゾーンを増やし、憩いの場も作りました。

大阪市立美術館美術館の核である約8,700件を超える館蔵品の多くは市民の寄贈と、まさに市民と共にあり続けた美の殿堂。その新章が始まります。

  • 建物の北側に慶沢園が見渡せるオープンテラスを設置。慶沢園から美術館中央ホールに出入りできる新たな導線にもなりました。

    建物の北側に慶沢園が見渡せるオープンテラスを設置。慶沢園から美術館中央ホールに出入りできる新たな導線にもなりました。

  • 中央ホール北側の旧展示室を多目的ホール「じゃおりうむ」に。開館当時の採光を再現し、天井から自然光を取り入れています。
    中央ホール北側の旧展示室を多目的ホール「じゃおりうむ」に。開館当時の採光を再現し、天井から自然光を取り入れています。
  • 2階の窓からは大阪のシンボルの通天閣や天王寺動物園などが見えます。洋風のデザインの窓枠も開館当時の姿を保っています。
    2階の窓からは大阪のシンボルの通天閣や天王寺動物園などが見えます。洋風のデザインの窓枠も開館当時の姿を保っています。

大阪市立美術館 館長 内藤 栄(ないとう さかえ) さん

エントランスからエスカレーターで上がり、中央ホールが視界に入る瞬間が好きですね。これだけ広い空間のある美術館はなかなかありません。

大阪市立美術館 館長 
内藤 栄(ないとう さかえ) さん

1960(昭和35)年、埼玉県生まれ。専門は仏教工芸史。2005(平成17)年に筑波大学より舎利荘厳美術の研究で博士号(芸術学)を授与。奈良国立博物館では学芸部長など歴任し、毎年秋に開催される正倉院展を長年担当した。2022年より現職。

今後の主な展示

「What’s New! 大阪市立美術館
名品珍品大公開!!」

3月1日(土)~30日(日)

特別展「日本国宝展」

4月26日(土)~6月15日(日)

「What’s New! 大阪市立美術館名品珍品大公開!!」

SPOT DATA

大阪市立美術館

  • 9時30分~16時30分(入館) ※3/1(土)は10時から
    月曜(祝日は翌平日)、2月末まで休館
  • 06-6771-4874
  • 大阪市天王寺区茶臼山町1-82
  • 京橋駅のりかえ JR天王寺駅下車 北西へ徒歩約10分/
    天満橋駅・淀屋橋駅のりかえOsaka Metro天王寺駅下車
    北西へ徒歩約10分

大阪市立美術館周辺のアートの余韻を楽しむスポット

CAFE

YARD
Coffee & Craft Chocolateヤード コーヒー アンド クラフト チョコレート

芳醇で濃厚な味わいのチョコレート「クレーム・オ・ショコラ/700円」とコーヒー「シングルオリジン・ハンドドリップ/700円から」
芳醇で濃厚な味わいのチョコレート「クレーム・オ・ショコラ/700円」とコーヒー「シングルオリジン・ハンドドリップ/700円から」

コーヒーとチョコレートの専門店。主に中南米・アフリカ産コーヒー豆を扱い、風味や余韻を伝える味わいに焙煎。カカオ豆の状態で仕入れるチョコレートは店舗内の工房で手作り。スイーツは常時7~8種類が並びます。

  • 10時~18時
    火、第1・3・5水曜休業
  • 06-6776-8166
  • 大阪市天王寺区茶臼山町 1-3
  • 京橋駅のりかえJR天王寺駅下車 北へ
    徒歩約10分/天満橋駅・淀屋橋駅のりかえ
    Osaka Metro天王寺駅下車 北へ徒歩約10分
RESTAURANT

てんしばカフェ
SPOONBILL 天王寺てんしばカフェ スプーンビル てんのうじ

ビーフシチューオムライスなどをメインに、ミニパンが食べ放題の「パンブッフェ/2,750円」 ※11時~14時(入店)
ビーフシチューオムライスなどをメインに、ミニパンが食べ放題の「パンブッフェ/2,750円」 ※11時~14時(入店)

観葉植物などのグリーンに囲まれ、日の光が降り注ぐ店内は、開放的な雰囲気。テラス・パラソル席はペットの同伴OKで、散歩ついでに立ち寄る人の姿も。「鴨肉のロースト/1,738円」など3種類の肉料理も人気です。

  • 11時~21時(L.O.)
    月曜不定休
  • 06-6796-9186
  • 大阪市天王寺区茶臼山町5-55
  • 京橋駅のりかえJR天王寺駅下車 北西へ
    徒歩約5分/天満橋駅・淀屋橋駅のりかえ
    Osaka Metro天王寺駅下車 北西へ徒歩約5分
制作:2025年03月
バックナンバー
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Vol.2 京都市京セラ美術館
Vol.3 京都文化博物館(別館)
Vol.4 京都国立博物館(平成知新館)
Vol.5 こども本の森 中之島
Vol.6 藤田美術館
Vol.7 京都国際マンガミュージアム
Vol.8 京都府立堂本印象美術館
Vol.9 京都国立近代美術館
Vol.10 龍谷ミュージアム
Vol.11 国立国際美術館
Vol.12 福田美術館
Vol.13 大阪市立美術館