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アートと巡る建物探訪

Vol.8

京都府立
堂本印象美術館

京都府立堂本印象美術館

京都・衣笠山のふもとに位置し、様々なレリーフで装飾された白い壁が青い空に映える京都府立堂本印象美術館。大正から昭和にかけて京都で活躍した日本画家・堂本印象の生涯にわたる作品を収蔵・展示しています。

京都画壇を代表する日本画家の堂本印象その美的思考を具現化したアート空間

京都画壇を代表する日本画家の堂本印象
その美的思考を具現化したアート空間

日本画家として知られる堂本印象は1891(明治24)年に京都に生まれ、28歳で画壇デビューを果たしました。以降、多くの作品を残した堂本印象。彼自身が設計・デザインし、1966(昭和41)年に開館した堂本印象美術館も、その作品のひとつです。
1952(昭和27)年に61歳で初めて渡欧した堂本印象は、その際に見て回った宮殿や個人美術館を参考にしながらこの美術館の構想を練りました。そして緩やかなカーブを描いた船のような形状で、外壁にいくつもの彫刻レリーフを施した抽象的なデザインの建物を完成させました。
「外観を初めて見た方は、その奇抜な見た目に、これは本当に美術館なのかと思われるのでは。美術館としては類を見ないデザインですが、これこそが堂本印象が目指したものです」と、彼に師事した日本画家で館長の三輪晃久さんは語ります。

京都府立堂本印象美術館鍛金技法の銅板を貼り付けた大きな柱やエントランスのステンドグラス、ドアノブや小さな室内装飾に至るまで、すべて堂本印象が手掛けました。中でも3階サロンの扉の装飾は、ひとつの作品と言えるほど、細かいところまで意匠を凝らしています。
繊細なタッチの具象的な日本画から始まった画家人生ですが、安住を好まず、躍動感のある前衛的な抽象画を発表するなど、常に作風は変容。その一方で彫刻・陶芸・染色などの工芸にも取り組み、様々なジャンルの制作に没頭しました。
「知的好奇心が強い人で、本当にひとりの仕事なのかと疑うほど多彩な活動をしました。それを全部、この美術館に取り込んでいます」と三輪館長。
84歳で生涯を終えるまでエネルギッシュに美を追求し続けた堂本印象。その美的思考を体感できる唯一無二の空間です。

  • 館内の木製のイスは、背もたれや座面のデザインが異なり、豊かな表情を見せています。これらも堂本印象による作品のひとつです。

    館内の木製のイスは、背もたれや座面のデザインが異なり、豊かな表情を見せています。これらも堂本印象による作品のひとつです。

  • 3階サロンの扉は、三輪館長が「装飾の域を超える」と語るほど凝ったデザイン。そのこだわりこそが挑戦的な堂本印象を象徴しています。
    3階サロンの扉は、三輪館長が「装飾の域を超える」と語るほど凝ったデザイン。そのこだわりこそが挑戦的な堂本印象を象徴しています。
  • 樹木が生い茂る庭園には、堂本印象がデザインしたベンチやイスが開館の頃から置かれ、来館者の撮影スポットになっています。
    樹木が生い茂る庭園には、堂本印象がデザインしたベンチやイスが開館の頃から置かれ、来館者の撮影スポットになっています。

京都府立堂本印象美術館 館長 三輪 晃久 さん

3階のサロンの窓からは眼下に堂本印象宅が見えます。瓦や通用門などを見るたびに師匠との思い出がよみがえります。

京都府立堂本印象美術館 館長 
三輪 晃久(みわ あきひさ) さん

1934(昭和9)年生まれ、京都市出身。日本画家。堂本印象に師事し、京都市立美術大学(現京都市立芸術大学)日本画科を卒業。2012(平成24)年に京都府立堂本印象美術館の館長就任。2018(平成30)年、京都府文化賞特別功労賞受賞。

今後の主な展示

企画展

「若き日のロマン、大正時代の印象さん」

第4回京都工芸美術作家展

12月9日(土)~2月25日(日)

第4回京都工芸美術作家展

堂本印象「丘上の女達」1912年
京都府立堂本印象美術館蔵

SPOT DATA

京都府立堂本印象美術館

  • 9時30分~16時30分(入館)
    月曜(祝日は翌平日)、12/8(金)までと12/28(木)~1/4(木)休館
  • 大人510円・高大生400円・小中生200円
  • 075-463-0007
  • 京都市北区平野上柳町26-3
  • 三条駅からバス 立命館大学前下車 北へすぐ

京都府立堂本印象美術館周辺のアートの余韻を楽しむスポット

CAFE

フルーツ&パーラー クリケット

イチゴやキウイなど7種類のフルーツを甘さ控えめの生クリームが引き立てる「フルーツサンド/1,400円」
イチゴやキウイなど7種類のフルーツを甘さ控えめの生クリームが引き立てる「フルーツサンド/1,400円」

京都中央卸市場で果物商を営んでいた初代店主が、世界の果物をおいしく食べてもらいたいと1974(昭和49)年にオープン。現在は3代目が受け継ぎ、フルーツサンドやフルーツパフェ、自家製レモンスカッシュなどを提供しています。

  • 10時~17時30分(L.O.)
    ※1/1(月・祝)~3(水)は16時30分(L.O.)
    12/31(日)休業 ※ほか火曜不定休あり
  • 075-461-3000
  • 京都市北区平野八丁柳町68-1
  • 三条駅からバス 衣笠校前下車 北へすぐ/嵐電(京福)北野白梅町駅下車 北へ徒歩約5分
GOURMET

蕎麦酒房 櫟そばしゅぼう いちい

「鴨せいろ/1,900円」。たっぷりの九条ネギとローストした香ばしい鴨肉が入ったつけ汁がそばとよく合います
「鴨せいろ/1,900円」。たっぷりの九条ネギとローストした香ばしい鴨肉が入ったつけ汁がそばとよく合います

古民家を改装した白壁の和モダンな空間で楽しむそばと鴨料理のお店。季節ごとに独自ブレンドするそばの実を、当日使う分だけ石臼で挽(ひ)いた新鮮で香り豊かなそばと、旨味たっぷりの河内鴨を味わえます。

  • 11時30分~13時30分(L.O.)
    17時~20時30分(L.O.)
    木曜休業
  • 075-286-8286
  • 京都市北区平野宮西町62
  • 三条駅からバス わら天神前下車 南へすぐ/嵐電(京福)北野白梅町駅下車 北へ徒歩約10分
制作:2023年12月
バックナンバー
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Vol.2 京都市京セラ美術館
Vol.3 京都文化博物館(別館)
Vol.4 京都国立博物館(平成知新館)
Vol.5 こども本の森 中之島
Vol.6 藤田美術館
Vol.7 京都国際マンガミュージアム
Vol.8 京都府立堂本印象美術館
Vol.9 京都国立近代美術館
Vol.10 龍谷ミュージアム
Vol.11 国立国際美術館