京阪沿線でお気に入りのアートを見つけよう!
アートと巡る建物探訪
Vol.2
京都市京セラ美術館

1933(昭和8)年に開館。荘厳な洋風の建物に和風の屋根を冠した帝冠様式の建築造形が目を引きます。2020年には既存の構造や意匠を生かしつつ、京都市京セラ美術館という通称で新たな姿に生まれ変わりました。
過去から現在、そして未来へとつないでゆく
現存する国内最古の公立美術館建築
2023年に開館90周年を迎える京都市京セラ美術館。重厚感のある壮麗な建築様式で、国の登録有形文化財にも登録されています。2020年のリニューアルでは、西側のメインエントランスを1階から地階に移し、非公開だった中庭も改修して公開、屋上テラスを備えた「東山キューブ」を新設するなど、大きく生まれ変わりました。
リニューアルの基本設計は建築家の青木淳さんと西澤徹夫さんによる共同設計で、青木さんは現館長に就任しています。
「リニューアルでは素材から意匠まで、あるものをなるべく残して、最低限必要なものだけを足しました。例えば1階の中央ホールは、地階のロビーからつながる大階段と、2階バルコニーとらせん階段、エレベーターを加えたのみです。『ホールが前より明るくなった』と言われますが、トップライトも変えていませんし、窓も増やしていないんです」。なめらかな曲線美が目を引くらせん階段は、今や本館のシンボル的存在になっています。
ロビーを通り抜け、大階段を上がると中央ホール。さらに奥へ進むと、大きなガラス窓の向こうに日本庭園と東山の借景が広がります。「日本庭園は以前から公開されていましたが、本館の東玄関の扉が閉じられていたので、館内からは見ることはできませんでした」と青木館長。リニューアルでは東玄関の扉を開放し、現代アートなどを展示する新館「東山キューブ」と本館をつなぐ「東山キューブロビー」を設置。ガラス張りの通路からは庭園を望むことができ、内と外の境界を感じさせないボーダーレスな空間になりました。
クラシカルな名画から前衛的な現代アートまで様々なアート作品をジャンルレスに発信している京都市京セラ美術館。それらを内包する建物もまた、古いものと新しいもの、内と外が継ぎ目なくつながり、悠久の時を刻み続けています。
天井のステンドグラスや床のタイル、石造りの荘厳な階段や柱などが見応えある「西広間」。創建時の雰囲気を今に伝えています。 非公開となっていた中庭を整備し、大屋根をかけて室内空間となった「光の広間」。現在はイベントスペースとしても活用されています。 撮影:来田猛
メインエントランスのある建物正面は流線型のガラス窓がリボンのように見えることから「ガラス・リボン」と呼ばれています。

敷地内の日本庭園は、改修前はあまり知られていなかったようです。現在では、来館者や近所の方の憩いの場となっています。
京都市京セラ美術館館長
青木 淳(あおき じゅん) さん
1956(昭和31)年神奈川県生まれ。建築家。「潟博物館」や「大宮前体育館」などの公共建築から、商業施設、個人宅まで幅広く手掛ける。2005(平成17)年に芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。
京都市京セラ美術館
- 10時~17時30分(入場)
月曜(祝日を除く)休館 - 075-771-4334
- 京都市左京区岡崎円勝寺町124
- 三条駅下車 北東へ徒歩約15分/
地下鉄東山駅下車 北東へ徒歩約10分
京都市京セラ美術館周辺のアートの余韻を楽しむスポット
FROMAGERIE Harmonieフロマージェリー アルモニー

フランス産を中心に常時約30種類のチーズを扱う専門店。併設のカフェでは、味の特長が出やすいイタリアやオランダ産のチーズを使用した5種類のチーズケーキや、ドイツ・ロンネフェルト社の紅茶などが味わえます。
- 11時~18時(カフェは17時L.O.)
※火~金曜は17時まで
(カフェは16時L.O.)
木曜休業 - 075-761-4770
- 京都市左京区岡崎成勝寺町1-8
- 三条駅下車 北東へ徒歩約15分/
地下鉄東山駅下車 北へ徒歩約10分
bistro&wine 苑ビストロ&ワイン えん

白川沿いの築100年を超える町家を改装したビストロ。近隣農家から仕入れる野菜や京都ポーク、和歌山県や兵庫県産の鮮魚など、ローカルフードを用いたフランス料理と南フランス中心のワインが人気です。
- 11時~14時30分(L.O.)
17時~23時(L.O.)
月曜(祝日は翌日)休業 - 075-748-1811
- 京都市左京区岡崎円勝寺町57-8
- 三条駅下車 東へ徒歩約15分/
地下鉄東山駅下車 北東へ徒歩約5分
営業情報は通常のものを記載していますが、政府および地方公共団体の要請により、時間を短縮するなど変更になる場合があります。