京阪沿線でお気に入りのアートを見つけよう!
アートと巡る建物探訪
Vol.10
龍谷ミュージアム
龍谷大学創立370周年事業の一環で、日本初の仏教総合博物館として2011(平成23)年に開館。西本願寺の門前町というロケーションに配慮した和風の建築デザインは、「京都建築賞」をはじめ数々の建築賞を受賞しています。
京都らしさを感じる意匠が随所に
門前町にたたずむ人と文化をつなげる場
御簾(みす)をイメージした正面玄関の外壁や切妻(きりづま)屋根など、西本願寺の門前町という歴史ある周辺環境との調和を図ったデザインが特徴的な龍谷ミュージアム。
地下1階のエントランスホールの石垣もそのひとつで、「西本願寺の周辺にはたくさんの堀が残っており、それをモチーフとして取り入れています」と学芸員の岩井俊平さん。
「受付が地下1階にあるのは導線上あまり望ましくないのですが、京都市の景観条例で建物の高さが限られているので、十分な展示室と収蔵庫を確保するため地下に設けることに。この構造は最後まで議論の的になりました」と話します。
このため、興味を引く工夫として堀川通に面した壁をガラス張りにしました。「ガラス越しに見下ろした時、エントランスにいる人や中庭のグリーンが目に入ることで、“ちょっと下りてみようかな”という気持ちになるのでは」。
敷地内には堀川通と油小路通を東西に結ぶ通路もあり、京都の路地を歩いているような感覚も楽しめます。「大路と小路で区画をつなげているのが京都の基本的な街の構造です。この通路には、建物で区画を分断しないようにという意図もあります」。
館内の1番の見どころは、2階にあるベゼクリク石窟大回廊復元展示。「こちらは龍谷大学の研究成果とあって、当初から館内に展示する計画でした。実際の石窟内は真っ暗ですが、ここでは安全面も考慮しロウソクの明かりのような照明にしています」。
龍谷ミュージアムの役割について「仏教を軸足にしてアジアの文化を広く発信し、いかに日本の文化がそれらに影響を受けているか紹介すること」と岩井さん。人と街、人と文化をつなげる場としても広く開かれています。
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3階のミュージアムシアターでは、作品上映後にスクリーンが天井に収納されると、窓の向こうには西本願寺の荘厳な境内が広がります。
ベゼクリク石窟大回廊の復元展示は、見るたびに「狭い暗がりの中、どうやって絵を描いたのだろう」など想像が膨らみます。
龍谷ミュージアム 学芸員
岩井 俊平(いわい しゅんぺい) さん
1976(昭和51)年生まれ、宮城県出身。京都大学文学部卒業。中央アジア考古学が専門で、古代遺跡の土器の発掘・研究に携わる。2007(平成19)年に龍谷大学に着任。龍谷ミュージアムには開設準備室時代から関わる。
『文明の十字路・バーミヤン大仏の太陽神と弥勒信仰
-ガンダーラから日本へ-』
6月16日(日)まで
『仏教の思想と文化
~インドから日本へ~』
7月13日(土)~8月18日(日)
弥勒菩薩交脚像
ガンダーラ 2~3世紀
平山郁夫シルクロード美術館
『文明の十字路』展より
龍谷ミュージアム
- 10時~16時30分(入館)
月曜(祝・休日は翌日)、展示替期間休館 - 075-351-2500
- 京都市下京区丸屋町117
- 七条駅からバス 七条堀川下車 北へすぐ/丹波橋駅のりかえ近鉄京都駅下車 北西へ徒歩約15分/東福寺駅のりかえJR京都駅下車 北西へ徒歩約15分
龍谷ミュージアム周辺のアートの余韻を楽しむスポット
GOOD TIME COFFEEグッド タイム コーヒー
築約100年の町家を改装したコーヒースタンド。ハンドドリップで淹(い)れるコーヒーは「グアテマラ」をはじめ5種類の豆があり、焙煎度も5段階から選べます。軽食メニューとして2種類のホットサンドも。
- 10時~17時
- 075-202-7824
- 京都市下京区突抜二丁目357
- 七条駅からバス 七条堀川下車 北西へ徒歩約15分
食と森しょくともり
大正時代に建てられた町家を活用した食堂で、座敷でゆったり食事が楽しめるとファミリー層にも人気。季節の野菜を取り入れた定食のほか、優しい甘さが好評の「丹波卵のプリン/550円」などスイーツもおすすめです。
- 11時30分~14時30分(L.O.) ※売り切れ次第終了
不定休 - 080-4703-4028
- 京都市下京区蛭子水町605
- 七条駅下車 北西へ徒歩約20分/七条駅からバス 七条堀川下車 北東へ徒歩約5分