Tsugu Story
「酒蔵のまちが、
こんな近くにあるなんて…」

京阪電車の「中書島駅」に降り立ったおけいはん。
日本の三大酒どころのひとつ、伏見へとやってきました。
どことなく懐かしい雰囲気の大通りから小径をゆくと、
柳がゆれる水路の向こうに、白壁土蔵の連なる光景が。

白い漆喰に黒い焼杉(やきすぎ)のコントラストが美しい建物は、「月桂冠大倉記念館」の敷地に建つ内蔵。
いまも昔ながらの製法で希少な限定酒をつくる酒蔵へ、特別に入らせてもらいました。

現代のような設備が整うまで、真冬の凍るような水で米を洗い、真夏のような暑さの密室で麹をつくる酒づくりは、自然と闘う、とても過酷な作業だったとか。



一方で、水と米から複雑な味を醸しだすお酒は、人が発見し、磨きあげた自然の宝。
伏見が天下の酒どころとなったのも、かつて「伏水」とも呼ばれたほど、良質の地下水に恵まれていたから。

さらに豊臣秀吉が伏見城を築き、江戸時代には宿場町や河川の港町として発展するなかで、酒づくりがさかんになったそうです。

地元で愛された伏見の酒ですが、幕末の戦乱や米不足などで老舗の蔵は江戸時代の
1/4ほどに減少。
「明治維新で新たな都となった東京を中心に、少しずつ知名度を上げていったんです」と、館長の立花さん。
当時、ちょうど発達しだした鉄道にのって全国に進出し、他の酒蔵と協力して品質を高めたことで、日本屈指の銘醸地へ。
この記念館も、「そんな伏見の歩みを伝えたい」という想いから伝統的な佇まいを
保っているのだそうです。




伏見のお酒とまちの結びつきを、さらに体感できる場所がもうひとつ。
レトロモダンな外観でおけいはんの心をとらえた、「伏見夢百衆」です。
中に入ると、色とりどりのボトルがずらり。ここは蔵元たちの絆が生んだお店で、伏見に
ある17もの蔵元のお酒がそろうショップ&カフェなのです。

それぞれに技や工夫を凝らして、先の時代まで愛されるお酒をめざす。
「そんな酒造家さんたちの想いに応えたくて、若い人も気軽に日本酒を楽しめる空間づくりを心がけています」
と店長の中川さん。
創作した「清酒アイスクリーム」は、お酒
初心者にも大好評のメニューです。



昔ながらの十石舟に旅人をのせて、いまも歴史の面影を伝える伏見のまち。そのなかで時代の波に揺られながらも、たくさんの想いを注がれて、おいしさを磨いてきたのが、伏見のお酒。まだ日本酒になじみがない人たちにも、この魅力が伝わりますように。
「まろやかで、やさしい味だったな」。
キラキラ輝く水とお酒に導かれ、思いがけない歴史やひとの想いにふれたおけいはん。
知れば知るほど興味が湧いてくる、伏見のまちをめぐる旅はつづきます。

月桂冠大倉記念館
お酒のまちを
まるごと体感。
「伏見のまちに観光名所を増やしたい」と、歴史ある自社の建物を使って1982年に開設。リニューアルされたエントランスやショップはもちろん、空間全体から伝わる老舗の風格に圧倒されます。わかりやすい展示で創業からつづく酒づくりの歩みにふれた後は、好きなお酒をテイスティング。あまり日本酒を知らない人でも、館を出る頃には伏見のお酒ファンになっている、まちめぐりの出発点です。
ここだけの味に出会える
[ きき酒処 ]
お酒好きはもちろん、初心者にもうれしいのが、もらったコインと引き替えに3種類のお酒を半杯ずつ味わえる「きき酒処」。いろんなお酒を知り尽くしたベテランスタッフと会話しながら、常に約10種類がそろうメニューの中から自分にぴったりの一杯を見つけられます。

- 入館料
- 20歳以上:600円、13歳~19歳:100円
(13歳以上の方はお土産付き・20歳以上の方は3種類のきき酒付き) - 営業時間
- 9:30~16:00(受付)
- 定休日
- 8月13日~16日、12月28日~1月4日、ほか臨時休館日
- 電話番号
- 075-623-2056
- アクセス
- 中書島駅下車 北東へ徒歩約5分 Google Mapを開く>
伏見夢百衆
伏見のよいものが集結。
大正期に建てられた老舗蔵元のオフィスを活用したお店は、クラシカルな雰囲気たっぷり。趣向を凝らした和洋折衷の空間に、伏見の蔵元17社から季節ごとに出荷されるお酒が集まります。他にも醤油や酒粕スイーツなど、店頭に並ぶのは伏見ゆかりの逸品ばかり。好みに合うお酒を探してくれる店員
さんもいるので、失敗しないお土産選びを楽しめます。お酒に自信のある方はぜひ、伏見17蔵元の銘酒を堪能できる「きき酒会」にもチャレンジを。
喫茶室でいただく
[ 清酒×アイス ]
店の奥に広がるのは、100年前の椅子やテーブル、照明に彩られた喫茶室。地元のファンも多い「伏見の水出し珈琲」の他、日本酒を知らない方にこそ試して欲しいのが「清酒アイスクリーム」。アイスにかけたお酒の良い香りに、「家でも味わいたい」とショップで買い求める人が続出です。

- おすすめ商品
- 清酒アイスクリーム:700円
17種類のきき酒体験(30分間):1,900円 - 営業時間
- 10:30~17:00
- 定休日
- 月曜
- 電話番号
- 075-623-1360
- アクセス
- 中書島駅下車 北東へ徒歩約10分 Google Mapを開く>
魚三楼
伏見の酒が輝く、京料理。
創業の地で約260年。大名屋敷で腕をふるう料理方から、お祝いなどの席として地元に愛される名料亭へ。時代に応じてかたちを変えながらも、守りつづけてきたのは、繊細な伏見のお酒に合う、素材の良さにこだわった料理です。各地の産物が集まった地ならではの、山海の美味を散りばめた「花籠御膳」は、先の万博ロゴをモチーフにしたような器のセットも華やか。目の前で開けたての香りを楽しめる、伏見の銘酒がすすみます。
酒と合う美味の秘密が
[ お庭の井戸 ]に!
「和の文化を伝えたい」という店主の心意気で、すべてのお部屋が伝統的な畳敷きの本格和室。中庭にも創業から変わらぬ姿の井戸が残ります。この井戸から湧きでているのが、伏見一帯の酒蔵で使われているのと同じ地下水脈の水。まろやかな伏見のお酒に合う料理や出汁の要です。

- おすすめ商品
- 花籠御膳:6,000円(税サ込、ランチのみ)
会席料理は10,000円〜(税サ別、ランチ・ディナー) - 営業時間
- ランチ 11:30~13:30(入店)
ディナー 17:00~19:30(入店)
※日曜は18:00(入店)まで
※月曜が祝日の場合、日曜は変更なし、
月曜が18:00(入店)まで - 定休日
- 火曜・年末年始・夏季
- 電話番号
- 075-601-0061
- アクセス
- 伏見桃山駅下車 南へすぐ
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御香宮神社
酒づくりを見守る水の社。
伏見桃山の駅を出ると目に入る、大きな鳥居に誘われて境内へ。華やかな桃山文化の面影を残す表門や拝殿、本殿の彫刻とともに、参拝者の心を潤すのが、約1100年前に湧き出たという「御香水」です。伏見城の盛衰や鳥羽伏見の戦いなど、伏見の歴史を見守ってきた古社には、蔵元たちの願いで勧請された松尾大社の末社が。冬のはじめには毎年、伏見の酒造家たちが集まり、よい酒づくりを祈願する祭が行われます。
[ 名水百選 ]の水で占う
おみくじ!
秋の「伏見祭」には大きな花傘でにぎわう境内も、普段は落ち着いた雰囲気。その中で心静かに楽しめるのが「水占い」です。絵だけのおみくじを「名水百選」にも選ばれた御香水にひたすと、たちまち文字が。かつて御「幸」宮とも呼ばれた社の神さまに、幸運を占ってもらいませんか。

- 料金
- 水占い:200円
- 拝観時間
- 9:00 〜 16:00
- 定休日
- なし
- 電話番号
- 075-611-0559
- アクセス
- 伏見桃山駅下車 東へ徒歩約5分 Google Mapを開く>
きのわ
伏見育ちのあったか新名物。
お出汁をベースにほんのり甘めに炊いたご飯と、丁寧につくられた具材が木の曲げわっぱで蒸しあげられて一体に。蓋を開けた瞬間に立ち込める湯気、盛りつけの美しさ、絶妙な味のハーモニーが、多くのリピーターを生み出している「京わっぱ」は、お店のオリジナル商品です。伏見の農家さんの無農薬米や天然調味料にこだわり、地元の食通にも育てられた味を、伏見などのお酒といっしょにご賞味ください。
完全自家製の
[ 米粉シフォン ]にも感動!
デザートにも手を抜かない「きのわ」の米粉シフォンケーキは、無農薬の米粉、宇治の平飼い玉子や奄美産の砂糖など、厳選材料で手作りされた本格スイーツ。ふわふわの食感、酒粕や抹茶、季節のフルーツや野菜といった素材のおいしさが口の中に広がります。

- おすすめ商品
- 京わっぱランチセット:2,100円〜(京わっぱ、サラダ、ドリンク等5品)
酒粕のシフォンケーキ:980円、
抹茶のシフォンケーキ:1,000円
※どちらもアイスクリーム、生クリーム付き。 - 営業時間
- ランチ 11:00~15:00(L.O.)
カフェ 14:00~15:00(L.O.)
ディナー(木〜日)
17:00〜21:00 - 定休日
- なし
- 電話番号
- 075-632-9352
- アクセス
- 伏見桃山駅下車 北東へ徒歩約5分 Google Mapを開く>