『宇宙兄弟』©小山宙哉/講談社 『五等分の花嫁』©春場ねぎ/講談社
左から鈴木祐貴(すずきゆうき)選手〈背番号11番、アウトサイドヒッター/ミドルブロッカー〉、大竹壱青(おおたけいっせい)選手〈背番号4番、オポジット〉。京都国際マンガミュージアムの芝生グラウンドで好きなマンガを手にして笑顔!
Vリーグ所属で枚方市を拠点とする男子バレーボールチーム「パナソニック パンサーズ」の選手が京阪沿線のおすすめスポットをご紹介。今回は前編でマンガ愛を熱く語り合った大竹壱青選手と鈴木祐貴選手が、満を持して、マンガファンの聖地・ 京都国際マンガミュージアムを初めて訪れました。様々な展示を楽しむおふたりの様子とともに、マンガの博物館であり図書館でもあるこの施設の魅力に迫ります!
京都の真ん中にある日本最大級のマンガ総合博物館!
京都市中京区にある京都国際マンガミュージアムは、江戸中期から現代に至るまでのマンガに関する資料を約30万点所蔵している、日本最大級のマンガを総合的に扱う文化施設です。1869(明治2)年に創設された京都市立龍池小学校の校舎(昭和初期の建物)を改修し、2006(平成18)年に開館。マンガ学部を持つ京都精華大学が管理・運営を行っています。
入口からレトロモダンなテイストの京都国際マンガミュージアム。
京都国際マンガミュージアムについにやってきました! 僕もスズキもマンガが大好きで、しかも関西が本拠地のチームなのに、ここにはまだ来たことがなかったんだよね。
京都の真ん中にこんな立派なマンガ専門の博物館があるなんて、世界的に見ても例がなさそうですよね。
もとは明治時代に開校した小学校で、校舎は昭和初期のものらしいよ。レトロなデザインがものすごくおしゃれ!
落ち着いた色合いで街の雰囲気とも合ってますよね。さっきからお客さんが入っていく姿を見てたら、僕もワクワクしてきましたよ。早く入りましょう!
というわけで、いそいそと入館した大竹選手と鈴木選手。そんなおふたりを館内で待ち受けていたのは、1~3階の壁を埋め尽くす「マンガの壁」! 1970年代から2005(平成17)年までを中心に、それぞれの時代を代表するマンガ雑誌やコミックスが本棚に配置され、すべての本を自由に読むことができます。
「マンガの壁」に圧倒されつつ、うれしそうな表情の大竹選手と鈴木選手。
壁一面、天井までびっしりマンガが入ってるよ! 僕、最近、自宅に結構大きなマンガの専用棚を作ったんだけど、とても比較にならないね……(笑)。
約30万点あるうちの約5万冊が館内に並んでるんですって! もう圧倒されますね。さっき棚を眺めていたら、おじいちゃんの家で読んでいた『名探偵コナン』(※1)や『うしおととら』(※2)とかを見つけて感慨深いです。
※1…『週刊少年サンデー』(小学館)を代表する青山剛昌の推理マンガ。1994年から連載中。
※2…1990年~1996年、『週刊少年サンデー』(小学館)で連載。少年と妖怪の絆を描く藤田和日郎の作品。
僕はマンガの入り口が『月刊コロコロコミック』(※3)だったので、そこに載ってた『おれは男だ! くにおくん』(※4)を発見してテンションが上がったよ! 確かゲームが元になってる作品で。
※3…1977年から小学館が発行している小学生向けコミック誌。
※4…1991年~1996年に連載。作者は穴久保幸。熱血高校生を主人公とするギャグマンガ。
もう、今日はずっとここでマンガ読んで過ごしましょうか(笑)。
幼い頃に読んでいたマンガを見つけるたび、手にとって懐かしむ。
マンガの本棚に囲まれた2階のメインギャラリーには、常設展示として「マンガって何?」のコーナーが設けられ、日本におけるマンガの歴史の変遷を社会、産業など様々な側面から学ぶことができます。こちらの展示は、施設の広報担当である中村浩子さんに解説していただきながら見学しました。
広報・中村さんの解説に興味津々、真剣に聞き入るおふたり。
こちらではマンガの歴史をご覧いただくことができ、江戸時代の浮世絵や新聞・雑誌の風刺画など、ルーツとなるものから紹介しています。近代のものでは、『週刊少年マガジン』〈1959(昭和34)年創刊、講談社〉や『週刊少年サンデー』〈1959(昭和34)年創刊、小学館〉の創刊号なども展示されているんです。
あ、この長嶋茂雄さんが表紙に載ってる『週刊少年サンデー』の創刊号、何度かテレビで見ました! 現物が見られるのはすごい!
浮世絵とか、江戸時代にすでに今のマンガに通じるようなものを作っていたんですね。時代ごとに絵の傾向が変わっていくのもすごく興味深いです。
手塚治虫先生が登場する前の時代、マンガは美術の素養のある方が描くことも多かったんです。そのため、絵のタッチもちょっと重厚な雰囲気があったりしますね。このコーナーでは、ほかにも表現技法やマンガ産業、海外での認知度など、面白くてためになる展示をたくさんご用意しています。
ミュージアムのシンボル「火の鳥」とご対面!
2階の吹き抜けスペースには“マンガの神様”とも称される手塚治虫の代表作「火の鳥」の巨大オブジェが展示されています。京都の仏師が仏像彫刻の「寄木(よせぎ)造り」と「玉眼(ぎょくがん)」の伝統技法によって制作し、2009(平成21)年に設置されたものです。縦約4.5m×横約11mの色鮮やかな「火の鳥」を前に、大竹選手と鈴木選手も思わず足を止めて見入っていました。
©Tezuka Productions
「火の鳥」のオブジェと記念撮影。なぜか、ちょっとアイドルっぽいポーズ!?
おぉ、「火の鳥」だ! 外から見たあのガラス張りの壁の向こうにこんな大きなオブジェがあったんですね。
これは記念に一緒に写真を撮っておかないと。手塚治虫先生の作品は『ブラック・ジャック』(※5)をよく読んでたな。お金にシビアかと思えば人情家な部分もあるブラック・ジャックのキャラクターが大好きなんだよね。
※5…『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)で1973年~1978年連載、1979年~1983年不定期連載。無免許の天才外科医を主人公とした医療マンガ。
「火の鳥」のオブジェのある渡り廊下から南側へ進むと、ギャラリーや紙芝居小屋などがあるスペースへ。ここには常設展示「マンガ家の手」のコーナーがあり、来館した有名マンガ家のペンを持つ手をかたどった100以上の石膏が、手描きの色紙と一緒に展示されています。
「マンガ家の手」では、マンガ家たちの手の石膏(せっこう)やイラストメッセージ、制作の様子を記録したVTRなどを見ることができる。
普段、マンガ家さんのお姿を見る機会って少ないけど、その手元となると、さらに貴重だよね。
これだけ並んでると感動ですね。左手の石膏を作っている先生もいて、「この人はサウスポーだったんだ!」って分かるのも興味深い。
本当だ! そういう見方もできるよね。先生方のこの手から数々の名作が生み出されてきたと思うと、つい見入ってしまうな~。
かつて校庭だった芝生に座って、青空の下で読書体験!
館内をゆっくりと巡った大竹選手と鈴木選手が次に向かったのは、昔は小学校の校庭だった場所に人工芝を敷き詰めた広大なグラウンドです。11月中旬のこの日は、風もなくおだやかな天気。敷地内(トイレ、イベント会場は除く)ならどこでも書架のマンガを自由に持ち出して読むことができるので、おふたりもお気に入りの1冊を手に、青空の下での読書を楽しみました。
『宇宙兄弟』©小山宙哉/講談社 『五等分の花嫁』©春場ねぎ/講談社
鈴木選手が選んだ作品は『宇宙兄弟』、大竹選手が手にしているのは『五等分の花嫁』。
スズキは何を持ってきたの?
僕は『宇宙兄弟』(※6)。中学時代に家族全員でハマって。もともと星空を見るのが好きだったんだけど、これがきっかけで宇宙への興味がさらに深まったんですよね。僕もふたり兄弟なので、主人公の兄弟には自分を重ね合わせたりして……。壱青さんは何を?
※6…2008年より青年漫画誌『モーニング』(講談社)で連載中。子どもの頃から宇宙飛行士に憧れていた南波兄弟が、夢の実現に向けて歩む姿を描く。
僕は『五等分の花嫁』(※7)。ここ数年でいちばんはまった作品かも。最近、連載もアニメも映画も全部が完結しちゃって、今ちょっとロス状態で(笑)。
※7…生活に困窮した高校生・上杉風太郎が五つ子姉妹の家庭教師となるラブコメディ。2020年まで『週刊少年マガジン』(講談社)に連載。
大好きなマンガって、先は読みたいけど、終わってほしくないですもんね。
そうそう。だから終わっても何回でも読み返したくなる!
ところでこの芝生グラウンド、寝転がったり座ったりして自由に過ごせるし、すごくのんびりできていいですね。
うん。こんな環境でマンガを読めるってそうそうないから、マンガ好きな人にはぜひ体験してほしいね。
『宇宙兄弟』©小山宙哉/講談社 『五等分の花嫁』©春場ねぎ/講談社
鈴木選手に『五等分の花嫁』の魅力を語る大竹選手。まるで自宅にいるかのようにくつろいだ雰囲気。
京都国際マンガミュージアムには、オリジナルグッズを購入できるショップや、本格的なコーヒー・スイーツ・軽食などが味わえるカフェ「前田珈琲 マンガミュージアム店」も。カフェの壁に所狭しと書かれたマンガ家の直筆イラストとサインも見どころのひとつです。 また、土・日・祝日には、昔懐かしい紙芝居パフォーマンス(2023年4月1日以降は休館日を除く毎日開催)やプロのマンガ家による制作の実演が行われるほか、「ニガオエコーナー」で好みのタッチをリクエストして似顔絵を描いてもらうこともできます。
いや~、館内をじっくり回らせてもらったけど、本当にたくさんのマンガが展示されてたね。これは時間がいくらあっても足りないわ。
本当に。オフの日に開館と同時に来て、閉館までずっとマンガを読んでいたい!
僕らでも知らなかった作品がたくさんあるし、通いたくなるよね。次は、もうチーム全員で社会科見学として来よう!
今日は時間がなかったけど、マンガ家の先生方の直筆イラストとサインがたくさん壁に書かれたカフェもあるみたいだし、次は絶対に行きたいですね。
入館後は終始、目をキラキラさせながら施設や展示を楽しんでいた大竹選手と鈴木選手ですが、この日は取材ということもあって、どうやら全然時間が足りなかったようです。 最後に、おふたりを代表して、大竹選手に読者へのメッセージをいただきました!
これを読んで興味を持たれた方は、パンサーズの試合を見に来られたときに、ちょっと足を伸ばして、京都国際マンガミュージアムまで行っていただきたいです。ぜひ、この施設で日本のマンガ文化の素晴らしさを体感してください!
【京都国際マンガミュージアム】
- 開館時間:10:30~17:30(最終入館17:00)
- 休館日:
火・水曜(祝日は翌日)〈2023年4月1日以降は水曜(祝日は翌日)〉、年末年始、メンテナンス期間
※不定休あり。公式HPの開館カレンダーでご確認ください - 入館料:大人900円・中高生400円・小学生200円
- 075-254-7414
- 京都市中京区烏丸通御池上ル(金吹町452)〈元龍池小学校〉 MAP
- 三条駅下車 北西へ徒歩約20分/地下鉄烏丸御池駅下車 北へすぐ
- 詳しくはホームページをご覧ください
さっそく次の来館について相談していた大竹選手と鈴木選手。もしかしたら、オフの日に来ているおふたりとばったり遭遇することもあるかも?
マンガ好きにとっては夢のような空間が広がる京都国際マンガミュージアムへ、みなさんもぜひ足を運んでみてください!