
左から大塚達宣(おおつかたつのり)選手〈背番号15番、アウトサイドヒッター〉、垂水優芽(たるみゆうが)選手〈背番号7番、アウトサイドヒッター〉、エバデダン ラリー アイケー選手〈背番号23番、ミドルブロッカー〉。出身高校が京都市内のため、京都にはゆかりのある大塚選手と垂水選手。一方、岐阜県出身のラリー選手は京都や京都タワーに興味津々!
Vリーグ所属で枚方市を拠点とする男子バレーボールチーム「パナソニック パンサーズ」の選手たちが京阪沿線の“ええとこ”をご紹介します。今回の舞台は、京都の玄関口に立つ 京都タワー。国内外から訪れた多くの観光客でにぎわうこの場所にやってきたのは、全員同い年でチーム入団時期も一緒の大塚選手、ラリー選手、垂水選手。仲良しの同期トリオが最初に向かったのは、 KYOTO TOWER SANDO(京都タワーサンド)(京都タワービル地下1階~地上2階)にある和菓子体験教室です。本格的な和菓子を手作りできるということで、少しドキドキしながらもやる気満々の選手たち。さて、どんな和菓子が完成するのでしょうか?
“和文化”の体験フロアで和菓子作り。繊細な作業に集中&緊張!
京都のシンボル・京都タワーは、先端の避雷針を含めると約131mあり、建築物の高さ制限がある京都市街では最も高い建造物です。白くほっそりとした優雅な姿は、灯台がモチーフ。かつてはほとんどの家々がそうだった瓦屋根を波に見立て、古都を静かに見守っています。
京都タワーには京都らしい街並みを眺望できる展望室のほか、土台となっている京都タワービル(地下3階~地上9階)にホテルやレストラン、京の美食・土産・体験のお店が集まった「KYOTO TOWER SANDO」などが入っています。

京都タワーは京都のランドマーク。夜は白くライトアップされ、啓発活動期やクリスマスなどのイベントに合わせて月に数回、色が変わる。

京都タワーにやってきました!僕は子どもの頃に家族と展望室にのぼったことがあるけど、かなり昔のことだからあんまり中の様子とか覚えてなくって。

僕も京都は久しぶりに来たな。学生時代は高校(大塚選手と同じ洛南高校)に行くために毎日通っていたけど、実は京都タワーは初めてやわ。

京都には小学校の修学旅行で来たけど、金閣寺とか清水寺とか定番の名所にしか行ってなかったからな。京都タワーはもちろん初めて!

今はちょうど紅葉の時期やし、京都の名所はたくさんの観光客でにぎわってるよね。

ここ(京都タワー)もすごく人気みたいやね。展望室にのぼったら、どこまで見えるのか気になるな~。

2人が通った高校も見えるんじゃない?

ホンマや!

ホンマや!

その前に、和菓子作り体験ができるらしいから、まずはそっちに行こう。

京都タワーで和菓子作り体験ができるなんて知らなかったなぁ。

そうそう。今日の取材の話を聞いてから、すっごく楽しみにしてた。早く行こう!

京都タワーの入口でトークがはずむ。高身長の選手たちが並ぶと、入口もなんだか低く見える!?
【京都タワー展望室】営業時間:10時~21時(最終入場20時30分)/定休日:無休/電話:075-361-3215(平日10時~17時)
【KYOTO TOWER SANDO】営業時間:地下1階(FOOD HALL)11時~23時、1階(MARKET)10時~21時(一部店舗は異なる)、2階(WORKSHOP)10時~19時/定休日:無休/電話:075-746-5830(10時~19時)
交通アクセス:七条駅からステーションループバス京都駅 北西へ徒歩約5分、丹波橋駅のりかえ近鉄京都駅下車 北へ徒歩約5分、東福寺駅のりかえJR京都駅下車 北へすぐ
さっそく中へ入り、観光気分で3選手は「KYOTO TOWER SANDO」の2階へ。ここは京都らしい“和の文化”を体験できるワークショップフロア。和菓子、伝統工芸、にぎり寿司の体験教室や着物レンタルがそろい、今回は京菓匠として150年以上の歴史を刻む『七條甘春堂』で、季節の和菓子作りを体験させていただきます。

和菓子作りって職人さんの世界だし、すごく難しそうやけど。

初心者でもできるっていうけどホンマかな?普段はボールばっかり触ってるから、和菓子みたいに小さくて繊細なものが作れるかちょっと不安…。

僕、実はあんこが苦手でさ…。今日作るのはどんなお菓子なのかな?

そうなん?僕は和菓子、好きやなぁ。抹茶がすごい好きやから、和菓子と合わせて飲むのも楽しみ。

僕も粒あんの和菓子とか、あっさりしてるから好きやなぁ。

初めての和菓子作り、誰が一番うまく作れるか勝負しよう!
![『七條甘春堂』の前で。和菓子手作り体験教室は、三十三間堂前に構える本店とここ京都タワーサンド店で開催。小さな子どもも体験でき、幅広い世代から人気を集めている。【七條甘春堂 和菓子体験教室 京都タワーサンド店】営業時間:10時~19時/体験時間:①10時②13時③15時④17時(1回約60分~90分、当日予約可能)/体験料金:1人2,530円/電話:075-371-0801[WEB予約]https://airrsv.net/7jyo-kansyundo/calendar](../assets/img/osaka-bluteon/vol15/img4.jpg)
『七條甘春堂』の前で。和菓子手作り体験教室は、三十三間堂前に構える本店とここ京都タワーサンド店で開催。小さな子どもも体験でき、幅広い世代から人気を集めている。
【七條甘春堂 和菓子体験教室 京都タワーサンド店】営業時間:10時~19時/体験時間:①10時②13時③15時④17時(1回約60分~90分、当日予約可能)/体験料金:1人2,530円/電話:075-371-0801
[WEB予約] https://airrsv.net/7jyo-kansyundo/calendar
選手たちがのれんをくぐると、先生を務める職人さんがにこやかに迎えてくれました。作る和菓子は季節ごとに異なりますが、みなさんには12月の和菓子3種のうちのひとつ、「山茶花(さざんか)」に挑戦していただくことに。

それでは始めましょう。ピンク色の練り切りをコロコロと丸めたら、手のひらで平たくのばしてください。手元の動きは前にあるモニターのライブ映像を参考にしてくださいね。

細かい作業もすべて目の前のモニターに映し出されるのでわかりやすい。

なんかサラサラした手触りで、粘土で遊んでるみたい!

うん、サラサラ、モチモチで気持ちいいな。誰が一番手先が器用かな?

僕は……未知数(笑)。

子どもの頃に粘土遊びをたくさんしていたかどうかも出来上がりに差が出るみたいです。

僕は母親がパン作りが好きだったから、家で作ってるのをよく見てたなぁ。

それはラリーもパン作りしてたってこと?なら和菓子作りも有利じゃない?

いや、ほとんど見てただけ(笑)。

あと大事なのは、作り方の説明をちゃんと聞いているかどうかですね(笑)。

それは自信…ありません(笑)!!

アスリートは再現能力も大事だと思うので、みなさん上手に作れると思いますよ。

先生、ハードル上げないでください(笑)。

先生の話を真剣な表情で聞く選手たち。私語を控え、モニターに集中する。
次は、平たくのばしたピンク色の練り切りの上に、小さく丸めてある白色の練り切りをのせ、境目をぼかしてなじませます。ここが花の中心の白い部分になります。先生が作る様子をライブカメラが映し出すモニターでじっくりと見て、選手たちもトライ!

白い練り切りをピンク色の練り切りになじませる。繊細な作業のため、指先を慎重に動かすラリー選手。
続いて、こしあんを包むのですが、簡単そうに見えても、熟練の技を持つ先生のようになかなかうまくは包めません。

リズミカルにこしあんを包み込む先生にアドバイスを受け、その手つきを真似するも……。

いつもはバレーボールコートで強烈なスパイクを打つ手を細やかに動かし、こしあんを包んでいく大塚選手。大きな手で包むように作業をすると、和菓子がとても小さく見える。

先生の見本、キレイすぎません!?つるっとキレイな形にならないのはなんで?

普段、手先を使って何かをするっていうことがあんまりないから、こういう作業は新鮮やなぁ。

チームのメンバーみんなでこういう体験をやってみたら楽しいかもね。

うんうん、それは楽しそう!

新さん(新貴裕選手)とか、すごく手先が器用そうじゃない?

確かに!家ではご飯を作る機会も少ないから、メンバーの中で誰が上手に作れるか競うのは楽しそうだよね。

今のところみなさん、順調そうですね。作業はまだまだこれからですよ。

えぇ!もう完成に近いと思ってた!
先生の言葉通り、完成までの工程はこれで半分ほど。次は濡らした茶巾で練り切りを包み、布をねじって、その上から指で花のフォルムを整えて筋を付けます。少しずつ形になっていくのを実感し、選手たちもだんだん楽しくなってきたようです。

茶巾で練り切りを包み、指でそっと押し込んで「山茶花」の形に。手元に集中しながらていねいに作業を進めていく。

どこまで押し込んでいいのかわからないから、難しい!

そっと押すだけでも潰れてしまいそうで怖いなぁ(笑)。

和菓子作りって思った以上に工程が多くてびっくり。やってみないと分からないことばっかりで楽しいね。

ホンマに。普段は完成したものを買うだけだから、こういう体験ってすごくタメになるな。

布巾をねじったシワで花の筋を表現するとか、知らないことだらけやもんね。
茶巾を開き、できた形をお互いに確認しながら、次はヘラを使って切り込みを入れる工程に。一発勝負なので、ちょっぴり緊張感が漂います。そして最後は、裏ごし器を通して細かくした黄色の生地を箸でそっと取り、“しべ”を飾って完成!

形を整えた練り切りにヘラをすべらせて切り込みを入れる垂水選手。この作業は思いきりが肝心?

先生が作った見本と自分たちのものを見比べて、「やっぱりプロは違うな~!」。

ラリー選手が見守る中、まずは大塚選手が“しべ”となる生地をお箸で取っていく。潰さないようにそっと……緊張の一瞬!

よし、できた! いい感じじゃない?

同じ材料と工程で作ってるのに、それぞれ微妙に違うのが面白いな。

どこが難しかった?

ヘラで切り込みを入れるところが特に…。力の加減が難しかったなぁ。

“しべ”をそっと取って飾る作業は緊張感がありすぎた!試合より緊張したかも(笑)。

24対23、あと1点で勝ち!みたいなプレッシャーがあったよな(笑)。

それはすんごいせめぎ合いやな(笑)。

誰が一番きれいか、和菓子作りの勝負は……。

引き分けですね。みなさん、上手にできていますよ。

完成した「山茶花」には三者三様の個性が!
完成した和菓子を味わい、抹茶を一服。ラリー選手は苦手克服なるか?
『七條甘春堂』の体験は作って終わり、ではないのがポイント。出来立ての和菓子を自分で抹茶をたてて味わうことができます。

作った和菓子を手に記念ショット。出来立てをすぐに食べられるのがうれしい。

では、これからみなさんに抹茶をたてていただきます。難しいイメージがあるかと思いますが、そんなに作法とか気にしなくていいですよ。

子どもの頃に抹茶をたてたことがあるけど、作法とか気にしてなかったからなぁ。

茶筅(ちゃせん)で混ぜるのはわかるけど、どういう風に混ぜるのか知らないもんなぁ。

抹茶は飲めるけど和菓子が苦手だから…お茶をたてたことはなかったな。

茶筅を垂直に立てて前後に動かして…、あんまり力を入れずに素早く。そうそう上手ですよ。

あ~、手首の動きが意外に難しい!!

オーバーハンドパスをするときの手にしたら、いい感じじゃない?

茶筅、飛んでいくって(笑)。

気楽に、とは言われても神妙な顔つきで抹茶をたてる選手たち。心なしか背筋もピンと伸び、姿勢がよくなっている?

先生から「素早く混ぜましょう」と言われた途端、気合が入ったラリー選手。スナップをきかせて抹茶をたてていく。

そっと茶碗に手を添え、しなやかに茶筅を動かす垂水選手。抹茶好きということもあって、手つきが様になっている。

抹茶をたて終わり、ほっとした表情が印象的。さあ、これから実食!

お茶の作法とか知らないけど、順番も決まってるんじゃなかったっけ?抹茶が先?

お菓子が先のはず!

お菓子が先のはず!

茶席ではお菓子を先にいただくのが作法ですが、あまり気にせず好きなように食べていただいていいですよ。

自分が作ったお菓子、切るのがもったいないなぁ。

どう切ってもいいの? ひと口でもいけそうだけど。

(お菓子を味わって)あんこがあっさりしてて、おいしい!

(大塚選手と垂水選手に注目されながらお菓子を口に入れて)あっ、これは甘すぎなくておいしい!あんこって苦手だと思ってたけどイケる!!

あんこって、おいしいやろ?ラリー、今日ここで和菓子を克服できたやん(笑)!

うん。食わず嫌いだったのかも(笑)。

たまに差し入れでも和菓子をもらうけど、ヘルシーやし、いいよね。

黒文字を使って和菓子をいただき、いつもとは違うスイーツタイム。苦手なあんこのおいしさをラリー選手が知った記念すべき瞬間も共有!

抹茶もいただいてみようよ。

あ~、和菓子のあっさりした甘さに、やっぱり抹茶はよく合う♪

抹茶オレとかはカフェで飲んだことあるけど、抹茶そのものをたてて飲むと独特の苦みがあって味わい深いな。

和菓子作り体験は初めてだったけど、プライベートでももう一度来たいくらい、すごい楽しかった!

初心者でも気軽にチャレンジできるしね。京都タワーの中に体験教室があるのを知らない人もいるかも。

僕は今日、苦手なあんこも克服できたし!京都での思い出作りにぴったりだよね。

ラリーみたいな京都初心者はもちろん、何度も京都に遊びに来ている人にもこの体験はぜひおすすめしたいな。

出来立ての和菓子と自らたてた抹茶を堪能し、大満足で体験教室は終了!

『七條甘春堂』の和菓子手作り体験教室では、季節の和菓子3種4点を手作り。1種は2点作り、うち1点は抹茶をたてて味わい、残り3点はお土産として持ち帰ることができる。写真はクリスマスをテーマとした季節の和菓子で、「サンタ」「聖夜」「山茶花」。
※季節によって和菓子は変わります。
10月からVリーグのシーズン(2023-24 V.LEAGUE DIVISION1 MEN)が始まり、パンサーズの選手たちは熱戦と練習に明け暮れる日々が続いています。そんな中で、ほっと心が落ちつく和菓子作りのひとときを楽しんだ大塚選手、ラリー選手、垂水選手。みなさんが次に向かったのは、地上約100mにある展望室です。この続きは後編でご紹介!
★後編では大塚選手、ラリー選手、垂水選手からの読者プレゼントもあります。お楽しみに!