温室効果ガスの削減
気候変動対応については、世界的な課題であり、事業継続のためにもCO2の削減が重要な経営課題であるという認識のもと最優先で取り組んでまいります。「BIOSTYLE環境アクション2030」においてCO2について具体的な数値目標とロードマップを定め、着実に目標を達成してまいります。
CO2排出量削減目標
2050年度のCO2排出量実質ゼロを目指して、
2030年度のCO2排出量46%削減(2013年度比)を目標として設定します。
- ※CO2排出量削減目標は、省エネ法定期報告の対象となる特定事業者9社(京阪ホールディングス㈱、京阪電気鉄道㈱、京阪バス㈱、京阪建物㈱、㈱京阪流通システムズ、㈱京阪百貨店、㈱京阪ザ・ストア、㈱ホテル京阪、京阪ホテルズ&リゾーツ㈱)のCO2排出量(Scope1、Scope2)を対象としています。2013年度の同9社の排出量は261,134tでした。
「BIOSTYLE環境アクション2030」における取り組みの方向性 | |
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エネルギー使用量の削減 |
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CO2排出量抑制に資する設備投資 |
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クリーンエネルギーの利用 |
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脱炭素ビジネスの創出・地域連携による次世代のまちづくり |
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京阪グループのCO2排出量とエネルギー使用量
京阪グループでは、グループ全体で省エネルギー化を進め、CO2排出量削減に取り組んでいます。また、グループ全社のエネルギー使用量を管理し、環境経営専門委員会で報告、削減状況をモニタリングしています。
グループ全社のCO2排出量・エネルギー使用量
主要会社のCO2排出量・エネルギー使用量原単位
CO2排出量削減目標に対する主要会社9社のCO2排出量は次表のとおりです。2023年度には、2013年度比で約30%の削減となっています。
2013年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
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運輸業※1 | 181,698 | 106,595 | 102,328 | 89,032 | 112,650 |
不動産業※2 | 7,716 | 12,434 | 12,318 | 11,167 | 8,552 |
流通業※3 | 45,510 | 26,781 | 28,198 | 24,301 | 31,262 |
レジャー・サービス業※4 | 26,210 | 18,806 | 21,182 | 24,035 | 29,036 |
計 | 261,134 | 164,616 | 164,026 | 148,535 | 181,500 |
2021年度は、前年に引き続き新型コロナウイルス感染症拡大の影響にともなうホテルの稼働率低下や店舗休業など、施設の稼働状況により、使用するエネルギー量が全体として減少しています。また、2016年度に京阪電気鉄道(株)の不動産業を京阪ホールディングス(株)に移管しました。
- ※1京阪電気鉄道(株)、京阪バス(株)
- ※2京阪ホールディングス(株)、京阪建物(株)
- ※3(株)京阪流通システムズ、(株)京阪百貨店、(株)京阪ザ・ストア
- ※4(株)ホテル京阪、京阪ホテルズ&リゾーツ(株)
鉄道車両のエネルギー使用量原単位
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
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京阪電気鉄道㈱鉄道電力 エネルギー使用量(kl)/走行距離(千km) |
0.633 | 0.637 | 0.639 | 0.548 |
対前年削減率(%) | 2.8 | ▲0.7 | ▲0.4 | ▲14.8 |
オフィスビル・商業施設のエネルギー使用量原単位
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
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オフィスビル・商業施設※ エネルギー使用量(kl)/床面積(千km2) |
29.24 | 29.05 | 29.95 |
対前年削減率(%) | 8.6 | 0.64 | ▲3.1 |
- ※京阪ホールディングス(株)、京阪建物(株)、(株)京阪流通システムズ所有物件
鉄道電力削減プロジェクト
鉄道は他の交通機関と比べて、エネルギー効率の良い乗り物とされていますが、鉄道の運行には大きな電力が必要で、この電力を発電する過程でCO2が発生します。京阪電気鉄道㈱は、「鉄道電力削減プロジェクト」を2003年に開始し、省エネルギー車両の導入や鉄道設備のLED化などにより省エネルギー化を推進しています。
省エネルギー車両の導入
「VVVF(Variable Voltage Variable Frequency)インバータ制御」や「回生ブレーキ」を取り入れた省エネルギー車両の導入を進めています。「VVVFインバータ制御」は、半導体素子を用いて電圧と周波数を変化させながら交流モーターを駆動する方式で、電気抵抗を使わずにモーターの回転数を効率よく制御します。「回生ブレーキ」とは、モーターを発電機として使用し、減速時の運動エネルギーを電気エネルギーに変換することでブレーキ力を発生させる方式です。発生した電力は架線に戻され、走行中の他の列車が使用することで、消費電力の削減に大きく貢献します。2022年3月末現在で97.6%(704両中687両)が回生ブレーキ車両で、最新型の13000系車両では、従来の車両(2600系)との比較で約35%の電力削減効果を実現しています。
電力設備の省エネルギー化(上下線一括き電)
上り線と下り線のき電線を電気的に接続することで、回生ブレーキで発生した電気を加速中の列車に最短で送り、電力消費量の軽減を図ります。また、架線での電力損失低減も期待できます。
鉄道設備のLED化の推進
各種信号機のLED化を推進し、2022年3月末現在、542基をLED化しています。駅では、照明更新時にLEDなどの高効率器具の導入を進め、2021年度には、宮之阪駅コンコース、土居駅上下ホーム、淀駅上りホーム階段などでLED化しました。
鉄道車両の車内灯、前照灯(ヘッドライト)のLED化も進め、2022年3月末現在、車内灯は704両中322両、前照灯は232両中210両をLEDに更新しています。
車両用クーラー更新(新冷媒化)
車両冷房装置の更新時、空調装置の冷媒にオゾン層破壊係数がゼロの「R407C」を使用し、環境負荷の低減を図っています。2020年3月末現在、704両中435両が新冷媒クーラーに替わっています。2020年度も20両の更新を予定しています。なお、廃棄処分する冷房装置は義務として処理業者の委託確認書を交付し、フロン類を適切に処理しています。
機能性フィルム(遮熱・断熱フィルム)
車両空調環境の改善と空調機による消費電力量の削減を目的に、8000系全車両の窓ガラスに遮熱・断熱効果のある機能性フィルムを2019年から貼り付けています。
中之島線の環境対策
2008年に開業した中之島線の大江橋駅では、地上から太陽光を取り込み、地下階の壁面・床面に自然光を照射することで、消費電力を年間約500kWh、CO2排出量で年間約300㎏削減。なにわ橋駅でも太陽光採光システムで消費電力を削減しています。また、中之島駅・大江橋駅・なにわ橋駅では、駅冷房によって発生する熱を直接大気に放出するのではなく、河川水に吸収させることでヒートアイランド抑制の対策とし、それぞれ効果を上げています。
太陽光発電システムの設置
大容量の電力を消費する鉄道会社であるがゆえに電気の大切さを知る企業として再生可能エネルギーの普及促進に貢献するために、鉄道事業における社有地において2014年に橋本駅付近、2015年に中書島駅付近に太陽光発電システムを設置しました。
2ヵ所合わせた発電量は約102,000kWh/年となり、一般家庭が消費する電力の約28世帯分に相当し、年間約32,000kg前後のCO2削減の効果があります。
公共交通利用促進
鉄道の環境優位性
鉄道は環境にやさしい交通手段と言われており、1人を1km運ぶ際のCO2排出量はマイカーの7分の1と試算されています。
京阪電気鉄道(株)では環境方針の重点実施項目に「公共交通利用促進」を掲げており、鉄道の環境優位性をPRし、マイカー利用の方を鉄道利用に導くことでCO2削減に努めています。
パーク&ライド
京阪電気鉄道(株)では、市街地や観光地へマイカーで向かう人に対して、駅周辺の駐車場にマイカーをとめ、そこからは公共交通機関を利用するパーク&ライドへの移行を促し、環境負荷の低減に努めています。
特に、京都方面へ向かう人に対して市内中心部での道路渋滞を緩和するために2005年より行政機関と協働でパーク&ライド駐車場の案内に取り組んでいます。
また、自宅周辺に公共交通機関がないなどの理由によるマイカー利用者が公共交通機関を利用し易くするために、京阪電気鉄道(株)とタイムズ24(株)は、京阪電車沿線の時間貸駐車場「タイムズ」において、全国で初めて、交通ICカード「PiTaPa」や「ICOCA」で支払い可能な電子マネーサービスを導入、交通ICカードを用いて京阪電車をご利用のお客さまに駐車料金を優待する「交通ICパーク&ライドサービス」を2011年から開始しました。加えて、「京阪パーキング」のブランドにて駐車場事業に新規参入した京阪建物(株)においても、沿線の駐車場で同様のサービスを2018年6月より展開しています。
さらに、江若交通(株)は、2019年4月より、びわ湖バレイ来場者による交通渋滞への対応策として、JR志賀駅前の所有地の一部をakippa(株)と提携した一時貸し駐車場に整備し、路線バスでびわ湖バレイまで輸送することで環境負荷の低減に取り組んでいます。
サイクル&ライド
京阪電気鉄道(株)では、市街地への自動車の流入を抑制して電車の利用を促進するため、関係行政と連携し、駐輪場の設置や現在問題となっている放置自転車対策についての協議を進めています。2019年度は、野江駅・守口市駅・橋本駅・三室戸駅・出町柳駅にて駐輪場を新増設しました。
自転車シェアリングサービス
京阪電気鉄道(株)は、2018年6月より京都市内の4駅(七条、三条、神宮丸太町、出町柳)、大阪市内では2019年1月よりなにわ橋駅にてシェアサイクルポートの設置場所を提供し、自転車のシェアリングサービスに協力しています。本サービスは1台の自転車を複数人で共有して利用するもので、レンタサイクルと異なり決められたシェアサイクルポートであれば、どこでも借りて返せるのが特徴です。京阪電車では駅から目的地までの新たな移動手段を提供することで、移動の円滑化と環境負荷低減に寄与してまいります。
バス会社における公共交通利用促進策
京阪グループバス各社では、次世代型総合検索サイト「京阪グループバスナビ」による情報発信や、環境定期券制度、京都府のバス・エコファミリー等の取り組みを通じて、環境負荷の低いバスの利用促進活動を継続しています。
「ecoサマー」キャンペーン
京福電気鉄道(株)と京都バス(株)、京阪京都交通(株)、京阪バス(株)は、京都市の「ecoサマー」キャンペーンに呼応して、2019年7月から9月にかけて、運賃支払い時に「ecoサマー」の合言葉を伝えると大人1名につき小学生2名までの乗車料金が無料になるキャンペーンを実施しました。このキャンペーンは2008年から実施しており、公共交通機関の利用を呼び掛けることで、環境負荷低減に貢献しています。
京阪グループ各社の地球温暖化防止への取り組み
バス会社における環境負荷低減
環境負荷低減の取り組みとして、京阪グループのバス各社では、自動アイドリングストップ装置付き車両やハイブリッド車両などの低公害車両の積極的な導入、エコドライブの推進による燃費の改善、燃料使用量の抑制に努めています。また、環境マネジメントシステムを通じて①アイドリングストップを含むエコドライブ活動の強化、②新排出ガス規制適合車両への代替、③冷暖房の適温設定・照明の適正使用やLED化による電力消費量の削減などの取り組みを行っています。
電気バスの導入
京阪バス㈱では、京都駅や七条駅などを結ぶ約7kmの路線を走行するバスを2021年12月より電気バス化しました。1路線すべてが電気バスになるのは日本初です。1回(約120分)の充電で約150km走行可能で、従来のディーゼルバスと比べて、年間のCO2排出量を1台当たり約38トン削減でき、今後も順次導入を拡大予定です。
- ※2022年9月より「京都駅八条口」「大石橋(九条駅)」「十条・京都ユウベルホテル」に延伸しています
京阪百貨店における取り組み
(株)京阪百貨店では、守口店に、大幅なCO2削減を可能とする空調システムを2015年に導入。空調に要する冷温水ポンプの電力使用量を約60%削減しました。同店では、館内照明のLED化も推進しており、2016年には基本照明のLED化が完了。他店においても順次LED化を推進しています。また、枚方店では、冷温水発生器など大型設備の改修更新を実施しています。これらの取り組みにより、電力使用量の削減に努めています。
くずはモールにおける取り組み
夜間電力を活用した氷畜熱型空調システムの採用によるCO2削減等の省エネルギー活動やナイトパージ(夜間の低温外気取り入れによる冷房)採用による省エネ対策を実施しています。また、エアコン(EHP・GHP)や冷凍機の間欠運転等、エネルギー診断プロフェッショナルによる、エネルギー使用状況の把握と省エネ対策により、年間3%以上の電気・ガス使用量の大幅削減を実現しました。
その他、ライトダウンキャンペーンへの参画、屋上の緑化・太陽光発電パネルの設置、節水器具の採用、業務車両の削減、ペットボトル等のリサイクル推進、適正包装の推進、生ごみ等廃棄物処理対策等の活動も随時実施しています。
船舶の環境負荷低減に向けた取り組み
琵琶湖汽船(株)が運航する「megumi」は、造波抵抗の軽減による低燃費化のほか、バイオディーゼル燃料対応機関や太陽光・風力発電システムの搭載など、環境に配慮した観光船です。2016年11月には、一般社団法人滋賀グリーン購入ネットワーク主催の第2回「買うエコ大賞」で滋賀県知事賞を受賞しました。また、「megumi」以外の船舶についても、環境対策された主機関や推進機に順次換装しており、2021年には「ミシガン」の機関換装を計画しています。
大阪水上バス(株)でも、船舶や船着場、待合所の照明LED化を推進しています
環境・社会配慮型施設の建設
商業ビルやオフィスビルなどにおいて、省エネルギー化の取り組みを進めています。2016年に開業した内陸型物流施設「京阪淀ロジスティクスヤード」は、「環境・社会への配慮がなされた不動産」を評価する認証制度である「DBJ Green Building認証」において、「非常に優れた『環境・社会への配慮』がなされたビル」として「3つ星」を取得しています。同施設は、屋上に約150万kWh/年(一般家庭400世帯分)の発電量を持つ太陽光パネルを、建物南側には緑地帯を配し、館内照明にはLED照明を採用しているほか、災害時の防災拠点としても活用可能としている点などが評価されています。
「ザ・サウザンド京都」における取り組み
2019年1月に開業した京阪グループのフラッグシップホテル「ザ・サウザンド京都」では、建物に京都の美しい山々の風景を表現した緑化を積極的に行っているほか、環境や地域への配慮・貢献の観点から、太陽光発電による自然エネルギーの採用をはじめ、京都の豊富な水脈を活かした井水活用など、環境負荷を考慮した高度なエネルギーマネジメントシステムを導入しています。非常時に一時避難所として役立つようエネルギーの自立を確立するほか、地域の防災拠点としての機能も果たしています。
日本の伝統・禅の思想をベースにしたシンプルな空間に、光・緑・アートで艶を添えるというデザイン発想、京都の知恵と日本の美学を繊細に取り入れながらも、非日常性を感じるダイナミックな空間、駅前ながらも京都らしさを自然と感じることができるデザイン性の高さなどが評価され、「2019年度グッドデザイン賞」(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しました。
CO2削減/ライトダウンキャンペーンに参加
環境省では、2003年から地球温暖化対策のため「CO2削減/ライトダウンキャンペーン」を実施し、2008年のG8サミット(洞爺湖サミット)が日本で7月7日の七夕の日に開催されたことを契機に、毎年7月7日がクールアース・デーと定められました。京阪グループ各施設においても「CO2削減/ライトダウンキャンペーン」に参画しています。さらに、京阪ホテルズ&リゾーツ(株)が運営するニデック京都タワーでは、京都議定書が2005年2月16日に発効したことにちなみ毎月16日の「DO YOU KYOTO?デー」(環境に良いことをする日)に、タワー塔体のライトダウンに参加しています。