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“あの”企画の誕生秘話

How to plan

話題になった京阪の様々なプロジェクト。

関西のみならず、全国にその名を馳せる「超(スーパー)ひらパー兄さん」、
京阪特急“無料の伝統”を変革した「プレミアムカー」、
0→1の商品・サービス開発で京阪のSDGsを体現する「BIOSTYLE(ビオスタイル)」、

噂の“あの”企画はどうやって誕生したのか?
真相を知る当事者3人が、お互いの企画の秘密を語る。

2005年入社
福祉社会学部 福祉社会学科卒

京阪ホールディングス株式会社
経営企画室 経営戦略担当(広報)
課長

2009年入社
農学部 森林科学科卒

株式会社京阪ステーションマネジメント
管理部総務担当
係長

2000年入社
経済学部 経済学科卒

株式会社ビオスタイル
取締役

※社員の所属や掲載内容は、取材当時のものです。

@ひらかたパーク前

“あの”企画の誕生秘話1PLAN

1通の手紙から実現した
「超(スーパー)ひらパー兄さん」

私がひらかたパークの運営会社である京阪レジャーサービスに異動した2012年当時、ブラックマヨネーズの小杉さんを起用した「ひらパー兄さん」は4年目を迎えていて。プロモーションとしては話題になっていたものの、年間入園者数の増加にはつながっておらず、次の打ち手を検討していました。そんなとき、ある雑誌のインタビューで岡田准一さんが「僕の地元である枚方が、『ひらパー兄さん』で話題になって嬉しい。自分もやってみたい」と語っていたのを見かけて。それならば、岡田さんにオファーできないかと思ったのが始まりでした。

広告代理店からの提案じゃなかったんだ!自らプロモーション刷新の糸口を?

発案者は実は、私なんですよ。それまでは人事の仕事をしていて、広告や宣伝に関してはまったくの素人だったゆえの発想でした。普通に考えれば、翌年に大河ドラマの主演を控えた俳優さんが、関西ローカルの遊園地のイメージキャラクターに就任するなんて考えられないですよね。パートナーであった広告代理店に相談すると「可能性にかけてみますか?」と話をつけてくれ、私がご本人宛にお願いの手紙を書くことに。

どんな手紙を書いたんですか?

「我々はひらかたパークです。こういう想いで100年間、ここで遊園地をやっています。枚方から大阪を、大阪から日本を元気にしたいと思っているので、ぜひお力をお貸しいただけないでしょうか」と。無理だろうな、と思っていたら、ある日突然、岡田さんがやりたいと言ってくださっていると連絡が来て。

すごいね!!

了承を得て、そこから企画がスタート。岡田さんご本人が初めて園にいらっしゃった日、やる気にあふれた姿で「超ひらパー兄さん」を演じ切るのを実際に目の当たりにして、あのインタビューで語っていたことは本当だったんだ!と、本当に嬉しくなりました。当時は、SNS普及期。「AISAS※」の概念に則り、「超ひらパー兄さん」という強力な“Attention”をフックに、園長ミッション「年間来園者100万人達成できなかったら、さようなら」や映画タイアップによる話題提供など、「話題になる→行ってみたい→行く理由がある」状態を常に用意し、来園を促進しました。「超ひらパー兄さん」の顔出しパネルや「目隠しライド」用の「兄さんアイマスク」、枚方パーカーを着て写真が撮れる園長室などを用意し、「ワイが枚方生まれの、超ひらパー兄さんでおま!」と写真撮影を楽しんでもらう。写真はシェアされ、それを検索した人が来園し・・・と、そのサイクルが回るように次々と企画を投入していきました。
※AISAS
消費者の購買行動プロセスを説明する代表的モデルの1つ。
Attention(注意)→ Interest(関心)→ Search(検索)→ Action(購買)→ Share(情報共有)

それで、100万人突破を達成し、園長の期間“延長”!

入園者数を増加させ、維持するという目標を達成できました。これは「超ひらパー兄さん」という舞台に様々な人がアイデアを持ち寄り、人の善意と善意がうまく重なった結果。スタッフの疲弊を心配するほどの大盛況でした。でも、忙しくなればなるほど、園内の活気も出てきて、スタッフ一丸となって、お客さまのために笑顔で頑張ってくれました。

たしかに。施設が賑わっていると、忙しい反面、スタッフも笑顔になるよね。ちなみに映画タイアップポスターは誰のアイデア?

それこそ、善意と善意の重なり合いによって生まれたものでした。岡田さんが、映画『図書館戦争』1作目のプロモーションで関西に来られ、各メディアを回られた際、本来ならば映画の話をすべきところ、その直前に「超ひらパー兄さん」就任の発表をしたために、その話題一色になってしまって。申し訳なく思い、配給会社の東宝さんに謝罪に行くと、逆に「話題になってこちらも嬉しい。次の映画で、タイアップ企画をご一緒しませんか」と言っていただいて。それが、最初のタイアップポスター『永遠の0』「たいくつな時間0」になりました。

あれが一発目だったのか! すごいな、と思ってたよ。

最初はパロディではなくて、単に映画とひらかたパークのポスターを横に並べて、「ひらかたパークは映画『永遠の0』を応援しています」みたいなコピーを添えて、掲出するだけのつもりだったんですよ。ところが、担当クリエイターさんが「これぐらいやらなきゃ!」と、パロディポスターのデザインをおまけで制作して送ってくださって。それを見た関係者一同が、「これしかないんじゃないですか!?」と盛り上がり、パロディ版が採用されることに。以降、岡田さんが出演される映画では、別の配給会社の作品でも、コラボポスター制作が続けられています。一緒に仕事をしていく中で、会社の垣根を越えて、いつの間にか「超ひらパー兄さんチーム」になれた気がします。
面白いとか、わくわくするものがあれば、善意と善意でつながっていく・・・感謝しかないですね。この輪がつながり、これからもひらかたパークがもっと賑わっていくと嬉しいです。

@出町柳駅ホーム

“あの”企画の誕生秘話2PLAN

“攻め”の鉄道サービス、
それが「プレミアムカー」

上質な移動空間を提供する有料座席指定車「プレミアムカー」。そのはじまりは、鉄道事業の活性化を目的に2013年に結成された「鉄道活性化委員会」でした。ここでは、役職や所属に関係なく、組織横断的に集まったメンバーが様々な意見を交わしていて、「着席保証」サービスという案もここから生まれました。その後、「着席保証」サービスを具体的に進めていく段階で、入社以来鉄道事業に携わってきた私にも声がかかりました。

様々な意見が出た中で、特に「着席保証」にニーズがあると?

ええ。大阪から京都方面に観光などで向かうお客さまの様子からも、需要はあると見込みました。京橋駅は、京阪本線とJR環状線、地下鉄の乗換駅。でも、京阪本線の途中駅となるため、3~4名のグループでそこから乗車されるお客さまは一緒に座ることができない。その様子を実際に見ていて、プラスアルファの料金を払っても、座れる環境があれば、使ってもらえるのではないかと。

なるほど。でも、「プレミアム」というキーワードはどこから出てきたの?

初期の段階で、1編成まるごと有料の列車にするか、1編成の一部車両を有料にするかの議論になって。1編成まるごと有料特急にすると、既存の特急もある中で、どうしても運行頻度は下がります。そう考えると、編成の一部で「着席保証」を提供した方が良いのではないかという話になりました。また、既存車両でも座席のクオリティは高いので、追加料金をいただいて「着席保証」だけを提供するのでは納得されないだろうということから、更にプレミアムな空間を提供しようと考えました。
京阪は、テレビカーやダブルデッカー車(2階建車両)など、お客さまに喜んでいただくためにいろいろな車両を導入してきた歴史があるので、車両にこだわりたいという思いもありましたね。

追加料金なしで有料特急のような座り心地の良いシートに座れるというのは、京阪特急の特徴でもあった中で、「プレミアムカー」は本当に受け入れられるのか?という声もあったよね?

京阪特急“無料の伝統”の変革者?

そういう意味では、伝統の変革者ですね。京阪“初”の有料座席指定車ですから。

実際は何から着手したの?

最初は、予算もついていない段階からのスタートでした。既存の車両を改造するのか、新造するのか、席の予約はどうするのかなど、課題は山積みで。その中で全体の進捗を管理する「プレミアムワーキング」というチームができ、その下に既存車両の改造について検討する「車両改造分科会」、座席予約システムの構築を進める「システム分科会」、現場のオペレーションについて検討する「営業推進部ワーキング」が立ち上がり、私はそのすべてに参加していました。

全部に参加していたんだ! 特に大変だったのは?

予約システムの開発もそうですし、車両の改造もオペレーションも、すべて一からのことなので、どれも大変でした。車両の改造にしても、座席の間隔、座席の幅やシートの硬さ、肘掛けをどうするかなど、仕様を決めるために、他社の特別車や特急にメジャーを持って乗ったことも(笑)。とにかくやってみる、何でも経験して情報を集め、「プレミアムカー」に必要なものを取捨選択しながら実現していった感じです。

運行開始のときは、どうだった?嬉しかった?

運行開始が2017年の8月20日だったんですが、実はその直前の7月1日付けで、京阪ホールディングスの法務部門に異動になりまして。だから、運行開始当日は私服で見に行きました(笑)。

そうだったの!

システムもうまく稼働し、2週間前から販売していた乗車券は一瞬で売り切れたと聞いて本当に嬉しかったです。私も当日乗車しました。鉄道は、安全・安心が大前提というのはこれからも変わらないところですが、「プレミアムカー」のような新しいチャレンジも大切だと改めて感じました。中之島線延伸の検討など新しい動きもありますが、守りに入らず、新しい価値を提供し、人の動きを作り出していくことが大切だと思います。サービス面でも、もっとシームレスに、関西の鉄道の利便性を高めていけるようにしたいですね。

@GOOD NATURE STATION 4F Hyssop

“あの”企画の誕生秘話3PLAN

0→1の商品・サービス開発で、
「BIOSTYLE」の概念の事業化に挑む

人にも地球にも貢献できるライフスタイル(=BIOSTYLE)は、京阪の今後のサービスや事業を創造する起点になる考え方だと思っています。それをテーマにした施設や事業の企画、立ち上げを担当したのですが、本当に、企業内起業家的な面が多くて・・・。

BIOSTYLEは、SDGsの観点から「京阪らしさ」を事業として発信するプロジェクトですよね。BIOSTYLEに関わるそもそものきっかけは何だったんですか?

10年ほど前に秘書をしていた頃、新しい価値観を京阪から発信するプロジェクトの構想があると聞きました。それが、気が付くと秘書をしながら、プロジェクトチームの一員になっていた(笑)。ちょうど2014年に有機野菜を扱う、株式会社ビオ・マーケットがM&Aで新たに京阪グループに加わったこともあったし、社会的にも「オーガニック」という言葉が使われ始め、環境への意識が高まり始めた頃だった。

時期的には、持続可能な開発目標「SDGs」が国連で採択される前ですよね?

そうそう。「SDGs」は2015年なので、当時としては、かなり先進的なコンセプトだった。さらに、その概念を、CSR※ではなく「ビジネス」として構築しようとしたところがポイントで。まずは、今話をしているこの場所(京都四条河原町)を開発し、世界に向けて発信する拠点として活用しようと企画が立ち上がった。ただ、あるのは、1000坪の更地と新しく迎え入れた「ビオ・マーケット」だけ。不動産事業に長けた京阪なら、建物に入居してもらうテナントをリーシングして施設を作るのが妥当だけれど、それでは京阪が新しい価値観を発信することにはならず・・・悩みました。
※CSR
企業が社会的存在として果たすべき責任。

そこからどうやって、今の「GOOD NATURE STATION」と「GOOD NATURE HOTEL」の施設を?

月並みだけどリサーチして、市場が広い食と美容、集客力のあるホテルを軸に定めて、施設の枠組みを決めていった。
その際に大切なのがコンセプト。出発点となった「オーガニック」は、ともすればストイックで「~をつかわない」「~しない」というless志向。これを「美味しい」「きれい」「環境にいい」というmore志向に変えなければ、ビジネスとしては広く受け入れられない。発想の転換を求められ、メンバーやクリエイターと検討を重ね、最終的には「GOOD NATURE」という言葉と5つのGOOD「GOOD for Health」「GOOD for Minds」「GOOD for Locals」「GOOD for Social」「GOOD for Earth」という価値観を作り、自前のブランドとして展開することにしました。
すべて自分たちで業態開発し、ブランディングから始めて新しい価値観を発信していこうと。

楽な方に流れなかったのがすごい。ゼロから自前でやるって、実際はなかなか難しいですよね。しかも、これまで京阪グループとしては経験のなかった製造業にも挑戦していますよね。

そうなんだよね。プロダクトブランドを作るという挑戦。植物の「根も葉も」余さず使う完全自然派コスメの「NEMOHAMO(ネモハモ)」やBean to Bar※のチョコレートの「RAU(ラウ)」は、大きな挑戦ではあるものの、当初から構想にはあった。当時、「オーガニック」を扱う店は増えているのに、その棚に並べる商品が少ないことに気づいて。だから、商品をつくるという流通の川上に進出すれば、ビジネスチャンスが広がるのではないかと目を付けた。
※Bean to Bar
カカオ豆がチョコレートになるまでの全工程を自社管理し、環境負荷を軽減しながら理想の味わいを追求する製造手法。

協業先はどうやって探したんですか?

「BIOSTYLE」の考え方に共感して入社してくれたメンバーたちが、その力をフルに発揮してくれて。「NEMOHAMO」は化粧品会社出身のメンバーが、九州にある、とある小さなメーカーを見つけてくれたのですが、小さいながらも信念をもって製造する姿勢にほれ込んで、1年間、足繁く通ってパートナーシップを結びました。最初に工場に伺ったときは、「鉄道会社がコスメ製造?本気なの?」と怪しまれたけどね(笑)
チョコレート「RAU」は、実は気がついたらできていたという感じで。ホテルにはパティスリーが必要だと、招いた2名のパティシエのクリエーションがすごかった。コスタリカの農家からフェアトレード※のカカオをダイレクトに仕入れるなど、あふれる感性で“映える”スイーツを作り上げてくれて。瞬く間にSNSで話題になりました。
※フェアトレード
貧困のない公正な社会をつくるために、途上国の経済的・社会的に弱い立場にある生産者と経済的・社会的に強い立場にある先進国の消費者が対等な立場で行う貿易。

本当に何もないところから1をつくり出していったんですね。

実際やってみる中で、多くの人のネットワークで事業が広がっていくことも感じられた。「人を活かすことで、己も活きる」ことをモットーとして仕事をしてきたけれど、まさにそれを体感した仕事。今も、チームみんなで悩みながら、力を合わせ「BIOSTYLE」を世界に発信し続けているところです。

京阪は、仕事の面では「やらせてくれる」会社。人の面では「支えてくれる」会社。自分の経験だけでなく、今日、二人の話を聞いて心からそう思いました。初めての仕事に「面白い」「わくわくする」という目線で取り組むことができる人に、最高の場所かもしれません。

お二人の話を聞いて、良くも悪くも無茶ぶりがある会社だなと思いました(笑)。でもその無茶ぶりが楽しかったりする。「プレミアムカー」がまさにそうでしたから。自分が経験したことは、どこかで必ず活きてきます。その経験を京阪で活かしてほしいと思います。

「堅実さ」と「柔軟さ」、その2面性があるのが京阪の魅力。「超ひらパー兄さん」も「プレミアムカー」も「BIOSTYLE」もその中から生まれました。現状に満足せず、危機感を一緒に共有してくれる人、何かを変えることを是とするような人が入ってくれると、より面白い組織になると思います。

「あなた目線」の仕事が、
京阪の新しい風となるのを
楽しみにしています!

<ショップ紹介>

「Hyssop」
GOOD NATURE STATION 4F
(四条河原町)

ぽっかり空に向かって開いた中庭を眺めながら、
深呼吸するようないやしの時間を過ごせる、
カフェ・レストラン&バー。

3人がいただいたメニューは・・・
「クラフトコーラ」