こころまち つくろう 活動レポート
花と緑を通して魅力的な生活環境づくりを手がける京阪園芸は、2025年12月23日で70周年を迎えました。総合造園・園芸会社として培った高い技術と経験を活かし、グリーンインフラの整備の側面から“人とくらしに豊かな彩りをもたらすまちづくり”に大きく貢献しています。快適な緑の空間を創造し、くらしやまちに憩いや多彩な趣きをもたらす。京阪園芸の取り組みを、70年の歩みを振り返りながらご紹介します。
造園・園芸のノウハウを活かし、
緑あふれるまち、くらし輝くまち、
歴史を守るまちづくりを手がけてきました
バラ育成・管理の匠として歴史をスタート
京阪園芸の歴史は、1955年にひらかたパークの植栽を管理する会社として設立された「京阪ひらかた園芸企画」にさかのぼります。当時、京阪電気鉄道は「東洋一のバラ園」の造営を目指し、日本で唯一の英国園芸協会会員であった岡本勘治郎氏に監督を依頼。バラへの想いを結実させ、ひらかたパーク内に「ひらかた大バラ園」が誕生しました。以来、京阪園芸には日本をリードするバラの匠の技術が脈々と継承され、現在、後身であるローズガーデンには約600種類、4000株ものバラが咲き誇っています。また、万博記念公園の「平和のバラ園」をはじめとする多くの公園や緑地などの植栽管理にも、その技術が活かされています。


京阪園芸の歴史は、1955年にひらかたパークの植栽を管理する会社として設立された「京阪ひらかた園芸企画」にさかのぼります。当時、京阪電気鉄道は「東洋一のバラ園」の造営を目指し、日本で唯一の英国園芸協会会員であった岡本勘治郎氏に監督を依頼。バラへの想いを結実させ、ひらかたパーク内に「ひらかた大バラ園」が誕生しました。以来、京阪園芸には日本をリードするバラの匠の技術が脈々と継承され、現在、後身であるローズガーデンには約600種類、4000株ものバラが咲き誇っています。また、万博記念公園の「平和のバラ園」をはじめとする多くの公園や緑地などの植栽管理にも、その技術が活かされています。
総合造園・園芸会社として幅広い分野を手がける

バラ園の造営から始まった一歩は70年の歩みの中で発展を続け、今では大規模な造園施工・植栽管理による環境整備から、官公庁や商業施設、マンションなど集合住宅の緑地施工・管理、あるいは個人邸のエクステリアデザイン、さらにはバラ苗や生花の販売事業まで多岐にわたって手がけています。こうした造園・園芸の技術を支えるのが、資格と経験・知識を併せもつ専門家たちです。京阪園芸には、質の高い設計・施工を可能にする1級造園および1級土木施工管理技士をはじめ、1級造園技能士、植栽基盤診断士、樹木医など、さまざまな公的資格を持つエキスパートが多数そろっており、最良のプランニング、正確で安全な工事、価値ある風景の創出を可能にしています。
また幅広い造園業の視点を活かし、正倉院の外構柵整備や平等院鳳凰堂の境内にある藤棚と松の樹勢回復など、伝統文化や歴史景観を次世代に伝える歴史を守るまちづくりの活動もしています。
かつて枚方の地で開催されていた秋の風物詩「ひらかた大菊人形」においても大菊の栽培や装飾などを担当していました。
このような多様な領域で豊かなまちづくりと文化の継承に貢献するスピリットは、京阪園芸が手がけるPMO※事業にも反映されています。公園で「人々」と「自然」をつなぎ、まちづくりに新たな魅力創造を仕掛けるPMO事業には、“植える・教える・創る”という京阪園芸70年の事業のほとんどが詰まっています。その取り組みを次にご紹介しましょう。
※Park Management Organization
花と緑の空間づくりやコミュニティづくりで、
まちが華やぐ公園をマネジメントするPMO事業

PMOとは「公共の施設を管理・運営し、新たな魅力向上を実現する事業組織」を指します。これは都市公園などの設置者である自治体が民間に管理運営を委託することで、より魅力あるものにしていこうという仕組みの指定管理者制度です。
京阪園芸は70年に及ぶ植栽管理の技術力と時代を見据えた提案力で、さまざまな特色を持つ公共公園の指定管理を委任され、地域の方々がより楽しく過ごせる魅力あふれるパークマネジメントを各地※で実践しています。

●鏡伝池緑地

●服部緑地

●びわ湖大津館
※関西圏で委任されている施設には<滋賀県>柳が崎湖畔公園 <大阪府>枚方都市公園(枚方市 市民の森 鏡伝池緑地・王仁公園・東部公園・中の池公園・香里ヶ丘中央公園)/万博記念公園/服部緑地/浜寺公園 <奈良県>唐古・鍵遺跡史跡公園などがあります。
京阪園芸のPMO事業では、花と緑の空間づくりやイベントの企画、また市民協働活動を通したコミュニティづくりを受託している各公園で実施しています。とりわけ空間づくりにおいては、京阪園芸の歴史そのものであるバラの魅力を最大限に発揮し多くの来園者に楽しんでいただいています。加えて、ヒマワリやチューリップなど季節の草花を使った景観づくりや、心地よいこもれびをもたらす樹木管理にも定評があります。一方のコミュニティづくりでは、ローズフェスタや梅まつりなどにおいてワークショップや販売などのイベントを企画。また、バラをはじめとする草花管理技術の講習会でボランティアを養成し、公園の活性化や地域のコミュニティ力の向上に寄与する市民協働活動を展開しています。
公園づくりでくらしとまちに彩りと憩いを提供するPMO事業部のお二人と、びわ湖大津館イングリッシュガーデンのガーデナーに、京阪園芸が創造する公園や庭園の魅力を聞いてみました。
公園や庭園がもたらす喜びと楽しみ、
そして、くらしを豊かに広げる未来へ
- PMO事業部では統括のお立場とのことですが、どんな役割を担っているのでしょう?
委託を受けている都市公園はそれぞれ離れた場所にあるので、担当外の公園の情報がなかなか入りづらく、孤立してしまいがちなんですね。そこで私が各公園を定期的に巡回し、困りごとの解決やより良い植栽管理方法の共有などを行っています。また、技術研修や会議を通して、所属社員のレベルアップにも取り組んでいます。
- PMO事業部のやりがいや魅力については、どんな点が挙げられますか?
指定管理は他業種の企業とJVを組んで受けることが多いのですが、当社が代表企業として公園全体の管理運営を担う場合や、構成企業として緑地の維持管理だけを担う場合など、いろいろな形態で事業活動を行っています。また、委託を受けている公園についても地域密着の小規模な都市公園から100haを超える大規模な府営公園までさまざまです。多様な形態で趣きの違う空間づくりに関わることができるのはそれぞれに刺激的でやりがいを感じますね。私たちは全員が花や緑が好きな社員ばかりです。心を込めて管理した園内をお客さまが楽しそうに散策する姿を見るだけでも幸せを感じますが、「いつもきれいにしてくれてありがとう!」と声をかけていただく機会も多く、そんな時は喜びを噛み締めるひとときになります。
- PMO事業においての公園づくりで課題はありますか?
最近、道路や水道管などで劣化が原因となる事故のニュースを見かけると思いますが、都市公園の各所においても同じく「老朽化」が課題になっていると現場で感じることが多いです。公園の樹木に関しても植えられてから数十年が経過し、外見的には葉が生い茂って元気に見えても、樹木内部が腐朽することで突然倒れて事故につながることがあります。安心して公園を楽しんでいただくには安全管理が一番大切です。そのための予算の獲得も重要な課題となっています。コミュニケーション力や提案交渉力をもって各関係機関と一丸となって取り組めるようになる必要があると思っています。
京阪園芸株式会社
PMO事業部 部長
池田 拓朗さん
- 最後に、池田さんが今後目指したいことは何でしょう?
この仕事をしていると、温暖化をはじめ気候変動による問題を日常的に実感します。そうした社会的課題にPMO事業としてどのように応えられるか、もっと役立てることはないかを色々と検討しています。最近はビルを緑化したり都心にあえて芝生の公園を造ることで温暖化対策につなげたりしていますよね。現在でも公園があると地価が上がるといった付加価値はありますが、もっと踏み込んで、例えば公共空間に緑があることで健康度が上がるとか、緑化のメリットを複合的に組み合わせることで“緑の価値”をもっともっと上げていけたらと模索しています。
- 武田さんはPMO事業部の中でも花菖蒲の育成を得意とされている方だと伺いました。育成のコツはどういったところにありますか?
私が担当する公園の「枚方市 市民の森 鏡伝池緑地」と「大阪府営 山田池公園」は花菖蒲が見どころの一つなんですね。その育成に携わらせていただいています。花菖蒲って日本の古典園芸植物なんですが、現在見られるものの多くは江戸時代に品種改良されたものです。元々は日本の気候に適した耐寒性と耐暑性に優れた花ではあるのですが、やはり江戸の頃と今では夏の暑さがまったく異なり生育環境としては厳しくなっていますから、毎年の猛暑を、防熱シートを駆使したり水やりに奔走したりして何とか乗り切っています。江戸時代の人たちは、暇があったらちょこちょこ植物をいじる、みたいな手間暇をかけることができていたんでしょうが、現代人にはなかなか難しいと思います。なので、せめて公園で楽しんでいただけるように、細やかに手をかけるよう気を配っています。

- 武田さんは樹木医の資格もお持ちとか。最近、樹木医として関わって感じることは何でしょう?
公園管理者としての樹木医の主な仕事は、病害虫の駆除のほか、落枝や倒木による被害を防ぐ目的で外観診断や打音診断などを行っています。打音診断は道具を用いて樹の幹を叩くことで、内部に空洞がないかなどを確認しています。いま一番頭が痛いのは、クビアカツヤカミキリという特定外来種のカミキリムシで、全国の公園で被害が拡大しています。この幼虫がサクラやモモ、ウメなどのバラ科の樹木の内部を食い荒らして弱らせてしまうんですね。これが原因で枯死する樹木が増えていて、放置すると落枝や倒木といった困った事態につながってしまいます。温暖化も背景の一つにあるかと思うのですが、やはり、今までいなかったような生物が入ってきて樹木を枯らしてしまっている状況が生まれていることに危機意識があります。樹木医のネットワークでは、クビアカツヤカミキリへの最新の対策方法や新たな害虫についてなど、さまざまな情報が回ってくるので、勉強になります。
京阪園芸株式会社
PMO事業部 マネージャー
武田 泰葉さん
- 緑地管理・公園づくりのエキスパートとして、もっとこうしたいという目標などありますか?
心を込めて手入れをした公園は一人でも多くの方に見ていただきたいという願いはあります。また、緑や花はやっぱり癒してくれますので、忙しい現代人の皆さんには、公園でホッと一息つける時間を過ごしていただけたらと思います。ただ、どのようにしたらもっと多くの方々に来ていただけるかという宣伝に関しては、実は悩みどころなんです。私たちは花と緑の専門家で、プロデュースやPRには明るくありません。そうした部分を強みとするパートナーや仲間をこれからはたくさんつくって、公園の魅力をさらに広めていけたらいいなと思っています。
- 中川さんはガーデナーとして経験を積んだ上で、「びわ湖大津館イングリッシュガーデン」に強く惹かれて入社されたとか。その経緯を聞かせてください。
最初は一年草の花壇づくりをメインに行う園芸会社にいました。次に英国人デザイナーが設計やデザインをコントロールするイングリッシュガーデンの会社に移り、そこで英国流の庭づくりや宿根草の扱いなどを徹底して学びました。そうした経験を活かせる場所を探していた時に、ちょうどこのガーデンを訪れたんです。湖畔に映える自然美あふれた景観と、それを支える高いガーデン技術に魅せられて「ここなら今まで身につけた集大成を活かせる!」と希望したのがきっかけです。

- イングリッシュガーデンの魅力をあらためて教えてください。また、ガーデナーとしての腕の見せ所はどこにありますか?
旧琵琶湖ホテルをリニューアルし、びわ湖大津館としてオープンする際に整備されました。当初は英国人デザイナーが厳格に植栽していたようで、芝生の間隔や土台が本当にしっかりと作られています。現在は私たちが、約5,900m2もある本格的な英国庭園の四季にふさわしい草花を選び、手入れをしています。植物の芽吹から朽ちていくまでを楽しんでいただくのがイングリッシュガーデンの醍醐味ですので、四季折々の植物が順番に咲くように工夫して組み合わせていて、いつ来ても楽しんでいただけます。腕の見せ所としては、イングリッシュガーデンは人の手を加えつつも自然な風情で見せることが持ち味ですので、そこに力を注いでいます。湖畔で風が強いため背の高い植物は倒れやすいのですが、できるだけ支える柱を見せないように配したり、組み合わせる植物も高低差が自然に映るようにしたりして気をつけています。
- 京阪園芸さんの顔であるバラのガーデンも麗しいですね。
はい、園内には弊社のローズソムリエ小山内健監修の「フレグランスローズガーデン」を設け、希少種のオールドローズから最新のモダンローズまで県下最大級、約300種類、3000株のバラが甘い香りを放っています。四季咲きのバラをそろえていますので、春から初冬までほぼオールシーズンでバラを楽しんでいただる点も魅力です。バラは育てにくい花ではないのですが、繊細なため病気や害虫に弱いんですね。その点、京阪園芸はバラの育成にかけては卓越した技術と経験があるので、何かトラブルがあった際にもリカバリーする知識や技がすごいんです。ただ、それはバラに限らず他の草花や造園についても同様で、何か困ったことが発生しても社内の達人があれこれ助けてくれます。知識や技をみんなで共有して、みんなで高めていこうという社風で、おかげでガーデナーとして日々成長させてもらっています。あと、バラだけでなく藤もすごく綺麗なんですよ。細やかな剪定や高度なつるの誘引などによって花が葉に隠れることなく、初夏の見頃にはうっとりするほど大ぶりの花房の優雅な姿に仕上げます。ここのイングリッシュガーデンには京阪園芸の造園の粋が集められていると思います。
- コミュニティづくりで何か意識されていることはありますか?
「びわ湖大津館」を運営されている京阪グループの琵琶湖汽船さんが館内イベントや集いを定期的に催されるので、私たちも一緒に花や緑に関するイベントを企画しています。最近、インスタで花を紹介するライブやSNSを使った情報発信を始めましたが、ガーデンがあるだけで花を目当てに多くの方が自然と集まってくださるんですね。七五三や入学式、結婚式の前撮りの舞台としても多くの皆さまに利用していただいています。ご近所の方々は散歩のついでに「蕾が今年は多いね」など気軽に話しかけてくださいますし、ボランティアで庭園の手入れをお手伝いしてくださる方々は20年越しのお馴染みさまです。それくらい、緑や花が自然発生的なコミュニティづくりにつながっている気がします。
京阪園芸株式会社
大津支店 リーダー
中川 恵美子さん
- イングリッシュガーデンをどのように楽しんでいただきたいですか?
小さなお子さまを連れた若いお母さまの忘れられないエピソードがあります。ちょうど満開のミモザを眺めておられたので「お写真を撮りましょうか?」と声をおかけしたところ、思いがけずお母さまが涙をこぼされて。「あまりに綺麗なので涙が出てしまって…」とおっしゃっていましたが、きっと大変な子育ての日々の中で、花に触れてふっと心が解きほぐされたんだと思います。このお庭が一瞬でもそうした緊張感をほぐす、ゆるりと心が緩む一助になれたらうれしい限りです。

枚方公園駅から徒歩5分にある京阪園芸の本社には2025年10月に「ガーデナーズPARK」がオープンしました。ここには、ペットも楽しめるカフェやお庭の相談ができるショウルームが併設されています。また、イベント・展示スペースや京阪園芸オリジナルのF&Gローズが揃うコーナーも常設。一年を通して、ガーデンセミナーやさまざまな季節のイベントも実施していますので、花と緑に気軽に触れるひとときを、お楽しみください。
https://keihan-engei.com/gardeners


2025年12月掲載







